『下剋上受験』第3話

前回思った「仕事を後輩に押し付けて業務時間内に勉強してるってどうなの?」ってのがまるっと今回の前フリだったわけですが、まぁ・・・そうなるよね。そらかざぽん怒るわなと。
前回は一応物件には居てなにかあれば駆けつけられる(フォローできる)状態ではあったけど今回は完全に不在だったわけで、それなのに「一緒に売りました」って言われたらそらキレるわなと。
これまでは人の良さを武器になんだかんだで結果だしてた(物件売ってた)らしいけど、それが可能だったのはきっとちゃんと仕事に対して真っ直ぐ情熱を持ってやってたからだろうに、今サダヲの情熱は100%「娘の中学受験」に注がれちゃってるわけで(そういう意味では今回塾で合格の御礼に来た母親からまんまとテキスト全部貰えちゃったってのはその人の良さが発揮されたってなことだろう)(でも「俺が塾をやる」ってブチ上げたのに大量に購入した参考書に手を付けず(それ使ってどう勉強すればいいのかわからず)塾のテキスト手に入れるってなんか違うんじゃなかろうか・・・)、こうなるともうダメだよね。たぶんかざぽんも中卒だろうがサダヲ先輩のそういうところを尊敬し慕ってたんだろうけど、仕事そっちのけで中学受験に夢中になってる姿を見て裏切られた気持ちになってしまったのではないかな。かざぽんに「一人で売りました」と宣言されて青天の霹靂みたいな顔してるサダヲってやっぱりバカなんだなーと思わずにはいられなかった。
でもまぁこれもまた次の展開に繋がるんだろうなと思ってたら、え?仕事辞めんの???。
今回担任の先生がたとえ合格したとしても周りはもっと当たり前に出来る人たちばかりのなかで勉強することになる「その先」のことを考えてますか!?ってなことを言ってたけど、それは入学したあとの話でその前にまず入学するための費用という現実問題があるわけでさ、でもこの父親の性格上ってかキャパシティの問題として「仕事」と「受験勉強」の両立ってのは無理だろうし、これどうすんだろ?。

『奪い愛、冬』第2話

レストランでフラッシュモブプロポーズはいいとして(どうでもいいとしてw)、女の方が卒倒するとか翔平の周りで踊ってた人達のメンタルが心配・・・。依頼されてのこと、つまり仕事としてやってるわけだけど、あんなバカバカしいことをやるうえで何を遣り甲斐にするかっつったらやっぱり喜ぶ人を見たいから、そういう瞬間に立ち会いたいからだと思うんだよね。それなのにあんなことになっちゃって、さぞかし後味悪いだろうなーとどうでもいいことが心配になりました。
わたしこの脚本家がほんっとに嫌いで、脚本家としてというよりこのひとのやることなすこと全否定したいぐらい嫌いなのであんまり反応したくないんだけど、雨降ってきた→倉科さんだけ傘さしてる→二人とも傘持ってなくてずぶ濡れって傘どこ行ったよ?と思いつつ(そういうツッコミを狙って作ってる感がほんとイヤ)、一気にダークサイド堕ちした翔平のすごい顔はよかったです。クローゼットの外で笑う水野美紀は文句なし。
あと水野美紀が「足がー!足が痛いー!」ってなった理由の暴漢、あれ水野美紀の仕込みだろう。あの状況なら普通腹とか胸を刺されるだろうに足ってところがその理由。排卵日にここまで精力メニュー用意するこの女ならそれぐらいやる。いややってほしい。

越谷 オサム『魔法使いと副店長』

魔法使いと副店長 (文芸書)

魔法使いと副店長 (文芸書)

妻子を買ったばかりのマイホームに残し単身赴任中の大型スーパー副店長が自宅アパートに帰宅したら窓を突き破って箒に乗ったフリフリドレスの少女が転がり込んできた。血を流した少女は魔法使い見習いのアリスと名乗り、中年男の声で喋るリスかモモンガのような小動物を連れていた。
作中で副店長自身が深夜アニメかよ!的なツッコミ入れてますが、副店長が魔法使いとそのお目付け役に振り回される序盤はまさにそんな感じでして、副店長とアリスとまるるんの共同生活はそれはそれで微笑ましいものの私は何を読まされているのだろうか感は否めませんでした。でもそれがアリスという少女の素性が、魔法学校に通い魔法使いを目指している子供たちの事情が明らかになった瞬間、一瞬で形をかえた。まるで魔法使いがかけた魔法のように、今まで見えていたものが一瞬で姿を変えたんです。
それがわかると副店長とまるるんの

「そもそも魔法使いって何人ぐらいいるんだよ」
「国内だけで数万」
「多いじゃん」
「総人口と比較すれば、微々たる数だよ。それでも私には、とてつもなく多く思えるけどな」

という会話の意味が全然変わってくるし、魔法使いの活動内容が「人助け」であることの重みが全然、ぜんっぜん違うものになる。
最初は“14歳にしちゃ子供っぽいちょっとおかしな女の子”でしかなかったアリスの言動だけど、ひとつひとつその理由がわかるたびに胸が押しつぶされそうになり、同時に愛しさがぐんぐん増していく。
そして迎えた最後の日。ついにアリスはそれまでできなかった課題をクリアするんだけど、そこはもう予想通りというか期待通りというか、物語として「そうなる」以外の展開はありえないのでそれはそれでいいとして(そこに至る前フリもしっかりあったし)、その場に副店長の友達が立ち会ってるのがいいんですよ!!。この友達の存在、物語の中でこの友達が果たす役割、ここにこういう人物を持ってくるところが越谷オサムなんですっ!!!。
もう私この場面でダーーーーーーーーーって泣きましたからね。この人物にとってこの12年間は苦しいものだったと思うんだ。常に苦しいわけじゃないけどずっとずっと苦しみ続けてたと思う。それをアリスは救った。アリス自身はそのことに気付かないけど、アリスと副店長の友達の関係性があって、そして見事課題をクリアし免許皆伝となったアリスが魔法使いとして初めて救った人が副店長の友達だというこの流れがこれみよがしに“どうだ!”ってんでなくサラっと描かれるのが最高すぎる。
物語のなかにどうしようもない現実はちゃんとあって、それでも希望もちゃんとあって。
副店長と店長の話もよかったし、副店長とまるるんの呑み話もよかったし、麗舞君とお母さんのこともよかったし、そんでもってラストシーン。アリスのあの行動がこんなに素敵なラストに繋がるだなんて全く予想できなかったんで、またもや泣いた。電車の中で泣いたわ。あーもうオサム大好き!!!!!。