マンガでわかる統計学 因子分析編

マンガでわかる統計学 因子分析編

マンガでわかる統計学 因子分析編

マンガとはいうものの読み応えのある内容。
特に153ページから180ページまでの因子負荷量の求めるプロセスの解説が秀逸。

実は、今まで統計を勉強してきたが、主成分分析や因子分析は、分析の中で固有値だとか固有ベクトルなんかが出てくるせいか、ややわかりにくい印象をもっていた。
本書を読んでそれが完全に解決されたわけではないが、マンガのキャラクターの柔らかさでそれが中和され、頭を働かせながら楽しく理解を進めることができた。(完全に理解した、とは言い切れない程度だが・・汗)

また主成分分析と因子分析の違いも、今までは?なことが多かったが、本書ですんなり納得感が得られた。

<理解した内容のメモ(両者の違い)>
(1)分析時の計算方法
 結局、主成分分析は1回しか固有値固有ベクトルを求める計算が行われないらしい。その段階で負荷量も確定させている。それに対して、因子分析(主因法)では1回目の計算のあと、次のようにおこなうようだ。

①それまで計算で使用していた相関行列の対角線上にならぶ1が、ある仮定値に書き換えられる。(「ある仮定値」は、該当する説明変数が別の説明変数群で説明できるとしたときの重回帰係数Rスクエア)
固有値固有ベクトルを再計算
固有値を基準値以上に限定
④限定後の固有値固有ベクトルの計算を行い行列を算出、⑤そこから得られた対角線上の値を①での仮定値と差し換えて、再度計算(④と⑤を⑥になるまで繰り返し計算する)
⑥そうするといつか対角線上の値が1を超えてしまうので、その直前で使用していた固有値固有ベクトルを解として因子負荷量を計算する。

(2)寄与率の計算方法
主成分分析は、当該主成分の固有値に基づく。
因子分析は、当該因子の各説明変数分の負荷量の二乗和を平均し100掛ける。

他の入門書的かつ軽い内容の多変量解析、線形代数をいくつか読んできたのだが、その後にこの本を読めたことがよかったのだと思う。ある程度疑問に思っていた部分が、やわらかい表現で噛み砕いて説明しようとしてくれるため、大変ありがたく思いながら読んだ。