平成版・滝川事件を傍観していては言論の自由は崩壊する

 
 朝日新聞素粒子欄が鳩山法相を「死に神」と風刺した件について、私は別のブログで書きました。
 
資本主義から民主主義へ!小さな行動
死に神大臣”騒動を言葉狩りで終わらすな
 ■ [キーワード]死神大臣死に神大臣
  http://catchcopy.g.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080621/p1
 
 全国犯罪被害者の会が抗議文を出したということで、新しい局面を迎えたようです。
 
 被害者の方が復讐を望むのは当然のことで、何ら構わないのです。
 しかしもし被害者が実行してしまえば、あだ討ちのようになってしまいます。
 子が親の仇を討ち、孫がさらに親の仇を討ち……と連鎖反応が続いてしまいます。
 だからそのような血の連鎖を止めるため、法律や第三者が死闘やあだ討ちを禁じているのではないでしょうか。
 それが法治政治というものです。
wikipedia:敵討 重敵討は禁止されていたようだ)
  
 被害者が手を下すのは法的に禁じられてはいても、法の範囲内で世論を高めるのは法的に問題はありません(私は法の専門家ではないのですが、間違ってはいないはずです)。
 だから今回の件においても、全国犯罪被害者の会あすの会)が抗議文を送った行為について批判するつもりはありません。
 しかし、抗議文の内容に関しては批判や議論は許されると思う。
 
wikipedia:全国犯罪被害者の会 
全国犯罪被害者の会 http://www.navs.jp/index.html
  
 法治国家では、人はそれぞれ意見を表明することが許され、異なる意見を持つ者は法の範囲内で議論することが許されています。
 今回の件でも、全国犯罪被害者の会の意見を「神聖にして侵すべからず」とタブー視するのではなく、雰囲気や見かけの多数派に惑わされず、各人が色々な意見を見比べて自分で考えることが必要ではないでしょうか。
 
 しかし、どの団体からどんな意見が出たからといって、鳩山邦夫法務大臣失格であることには変わりありません。
 その根拠については前回書いたのでご覧下さい。
  
資本主義から民主主義へ!小さな行動
死に神大臣”騒動を言葉狩りで終わらすな
 ■ [キーワード]死神大臣死に神大臣
  http://catchcopy.g.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080621/p1
 
 今回、上の記事に追記の形でまとめておきます。
 
 問題はまず大臣の資質の問題。
 マスコミに風刺されたからといって被害者ぶったりマスコミを批判したりする大臣は、民主体制下の大臣として失格ではないでしょうか。これではまるで独裁政権の大臣ではないでしょうか。
 自分に対する批判や風刺を許さずに言論を弾圧しようとする大臣。
死に神大臣」と呼ぶにふさわしい悪行です。
  
 次に、国民の側の問題。
 政府の大臣を風刺することは民主体制下では当然のことなのに、熱狂的に批判している。
 批判するから許されない、などと、批判のための批判の集中砲火。
 例えコラムに品格がなくても、死刑制度に賛成であろうとも、それは別にして考えるべきです。
「私はあなたの意見には反対だが、あなたが意見を述べる権利は命がけで守る」
というのが民主政治の基本。
 だから法相も被害者ぶらずに自説を堂々と述べていれば問題はないのです。
「私は朝日の意見には反対だから、朝日が意見を述べないように潰してしまえ」
なる短絡的・好戦的・攻撃的な意見にめまいがする。
 
 これは民主政治の自殺行為ではないでしょうか。
 ネット世論がよってたかって朝日新聞を攻撃し、一定の成果を上げると、悪しき前例を作ったことになります。
 そうなれば今後、与党の政治家を批判することができなくなってしまいます。
 後の世から今回の事件を振り返れば、独裁体制につながるターニングポイントという位置づけかもしれません。
  
 今回の事件の当事者が鳩山邦夫ということで、滝川事件を思い出します。
  
wikipedia:滝川事件

斎藤内閣の鳩山一郎文相が小西重直京大総長に滝川の罷免を要求した。京大法学部教授会および小西総長は文相の要求を拒絶したが、同月26日、文部省は文官分限令により滝川の休職処分を強行した。

 
 もちろん教授が大学を追放された事件と風刺したマスコミが批判されている今回の事件は性格を異にする。(見出し効果を狙うキャッチコピー的な意図があることは否定しない)
 最大の共通点は、鳩山家の政治家が主役となっているところ。
 権力をかさにきて悪用する家系のようである。
 そういう意味では、“第二鳩山事件”と言った方が適当か。
 また、犯罪に関する考察と死刑制度に関する事件ということで、背景となるテーマに共通点があるのではないか。
 
 そして、後の世にターニングポイントとなる点でも共通点ではなかろうか。
   
 いまここで平成版・滝川事件を傍観していれば、言論の自由が崩壊してしまいます。
 検索してみると、この死に神大臣騒動について書いているブログは、朝日新聞を批判しているブログが圧倒的のように思います。
「私は朝日の意見には反対だから、朝日が意見を述べないように潰してしまえ」
なる短絡的・好戦的・攻撃的な意見にめまいがする。
「お上にたてつくマスコミは許さねえべ!」
という風潮が広まっているのではないでしょうか。
 これはまさしく政権与党や御用マスゴミの思考パターンです。
 ネット世論が政権与党や御用マスゴミの思考パターンと一体化しているのです。
 御用マスゴミや御用売文家・御用ブロガーにネット世論が同調しています。
  
 今回朝日新聞を批判する意見で
法治主義に則って死刑を実行したのだから問題はない。
 朝日は法相が死刑を中止させる人治主義を主張しているのでけしからん」
というような意見が見受けられます。
 しかし法治・人治を言うなら、マスコミが与党政治家を風刺するのは法治主義では許されている。法の下での言論の自由は認められているのです。
 この認められた風刺を
「大臣を批判するとは許せん!朝日新聞を潰してしまえ!」
といきり立つことこそ、人治主義・誤った人民裁判ではないでしょうか。
 こんなことを繰り返していれば言論の自由は崩壊し、政治家の批判や風刺が許されない独裁体制となってしまいます。
 そもそもこの騒動自体、朝日新聞の同業他社の御用マスゴミが火をつけてあおったものではないですか。
 批判されたことを恨んで言論弾圧という報復をしようとする悪徳政治家と、それにすり寄って利害関係が一致する御用マスゴミが仕組んだ陰謀。ネット世論はこの陰謀にまんまと乗せられているのではないでしょうか。 
 
 このまま鳩山大臣バンザーイ!という結末を迎えれば、今後もこのようなことが繰り返され、鳩山法相は言論の自由にとっての死に神・民主政治にとっての死に神と記録されるでしょう。
 
 ここで良識的・冷静な声を上げていかないと、政権への批判・風刺が許されない時代を迎えることになるのではないでしょうか。
 
 
植草事件の真相封じたねつ造ブログ−−ネットも支配する情報操作の闇−−(中)
  http://news.livedoor.com/article/detail/3701214/

 真偽のほどは分からないが、工作を疑わせる現象は無数に指摘されている。例えば、自民党を擁護するニュース記事がわずか40分間に120を超えるブログに一斉に掲載され、ある時間に一気に削除された。メールや掲示板の書き込み業務の求人も出ている。こうした「闇のバイト」に従事した人の体験談も紹介されている。事実、2006年9月の植草事件直後には、植草氏を中傷するためだけのサイトが幾つも作られた。『AAA植草一秀氏を応援するブログAAA』そっくりのダミーサイトまで出現し、植草氏と支援者を罵倒(ばとう)し続けた。「2ちゃんねる」のそれぞれのスレッドには植草氏を「クロ」と決めつける執拗(しつよう)な書き込み人が居座った。国際評論家小野寺光一メールマガジン『政治経済の真実』は、2006年事件の公判開始前に次のような書き込みが存在したことを指摘している。

  ↑今回の言論弾圧が成功すればこのような工作が本格的にまかり通る時代になる!
  
植草事件の真相封じたねつ造ブログ−−ネットも支配する情報操作の闇−−(下)
  http://news.livedoor.com/article/detail/3703393/
「ブログの虚偽の書き込みという小さな事件は、メディア全体を大きな力が支配する現実を浮かび上がらせている。」
  
恐ろしいサイバー「人民裁判」…一方的バッシングで休学、潜伏、退職へ
  http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=64329&servcode=400§code=40
   ↑「韓国の風潮」などというコメントが並んでいるが、日本でもよくあること。
     J-CASTニュースなどは炎上をしょっちゅう報じている。
     今回の素粒子騒動もまさに「人民裁判」である。
  
s(・・;)
滝川事件などを引き合いに出して、ちょっと大げさ。言論弾圧や民主政治の崩壊など、私のスタンスは時代錯誤で大げさに過ぎるかもしれません。
私の問題意識はこういう観点だ、ということでご理解下さい。
自民党野党共闘関係のTBPに書いておられる皆様はこの件についてはあまり書いていないようですが、私としては重要な問題ではないかな、という問題提起の意味でTBさせて頂きます。
  
玄倉川の岸辺 死神の力
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/c8cbbb230555730d34c2f78dee60290d
玄倉川の岸辺 死刑は「四審制」
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/45460add49a21024e114e76554c05c8c
水葉からの伝言 「死に神」表現に抗議文
http://aqualeafree2.blog50.fc2.com/blog-entry-18.html
HALTANの日記 ■[今日のマスコミ不祥事報道]08年6月26日(木)
 http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080626/p1
反戦な家づくり それでも鳩山邦夫が死神なワケ
  http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-561.html
大石睦のBusiness-Law Tribune 素粒子問題で考える、死刑と「ケガレ意識」
  http://bunjin.cocolog-nifty.com/marupo/2008/06/post_42f4.html
昨日が3つ 死神
 http://bankaer-free.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_39eb.html
死刑〜他人が死神に取り憑かれるのを望まないような仕組み作りこそ: さんけんブログ
 http://nomura.asablo.jp/blog/2008/06/25/3595685
ともるー's ブログ どうだろう?鳩山ブチ切れ、ついでに義家とか安倍
 http://plaza.rakuten.co.jp/BarTomoryu/diary/200806230001/
土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪。
■[光市事件関連][時事]「あすの会」が「救う会」に近づきつつあるように思える件について
  http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20080626/1214442438
 
Under the Sun -HOME-  http://utshome.exblog.jp/
Make Your Peace http://myp2004.blog66.fc2.com/blog-entry-111.html
自民党 トラックバック・ピープル  http://tbp.jp/tbp_9077.html
自民党政治 トラックバック・ピープル  http://tbp.jp/tbp_9149.html 
衆議院選挙 野党共闘! http://tbp.jp/tbp_9134.html
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