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語り(本)、音(音楽)、映り(映画)を中心にあれこれ書いた雑文です。

2007-09-16

[]書店員のための『ドラえもん』講座

幾世代からも愛されている『ドラえもん』ですが、世の中には簡単には読めない『ドラえもん』がたくさんあります。ドラえもんにはおよそ1200編以上の作品があると言われてますが、単行本に収録されていない作品も多く、作者の藤子・F・不二雄(以下、F先生)自ら封印してしまった作品や、学年誌の3月号に掲載された幾つかの最終回など、現時点では簡単に読むことはできせん。

現在『ドラえもん』のコミックスは数種類出ているので、多少煩雑になっています。今流通しているコッミックスを中心に書店員(主にコミック担当者)として知っていればいい程度解説。書店用なので、コンビニ用のコミックスは扱っていません。

てんとう虫コミックス

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

全45巻。

おなじみ『ドラえもん』コミックスの基本アイテム。とりあえずこれをベースに、他の種類を集めていくって感じでしょう。

『ドラえもん』は1969年から「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」(1970年1月号)と複数の学年誌に同時連載されます。後に「小学五年生」「小学五年生」「てれびくん」「コロコロコミック」などにも掲載されていきます。

各学年誌ごとに対象年齢が違うため掲載作はそれぞれの年齢に合わせた内容で書かれています。ですから、第一話のドラえもん登場のエピソードだけで、6バージョンあるのです。そんな感じで各紙に掲載された作品の中からいくつかが選ばれて「てんとう虫コミックス」に収録されていきます。収録作を選んでいたのはF先生自身らしいです。つまり「てんとう虫コミックス」は「ベスト・オブ・ドラえもん」と呼べるコミックスと言えるでしょう。

そんなわけで、雑誌に掲載された順に、くまなく単行本に収録されているわけではありませんし、発表順もバラバラになっています。

それと、もうひとつ重要な点として、普通のマンガは、雑誌にカラー掲載された作品もモノクロにして収録するのですが、『ドラえもん』はそれをしていません。ですからカラー作品も未収録です。

〈カラー作品集〉

ドラえもんカラー作品集 (第1巻) (てんとう虫コミックススペシャル)

ドラえもんカラー作品集 (第1巻) (てんとう虫コミックススペシャル)

現在6巻まで。

〈てんとう虫コミックス〉にはカラー作品が収録されなかったので、これはそれを集めたものです。ですから〈てんとう虫コミックス〉とかぶっている作品はありません。しかし、現在2、3、4巻が長いこと品切れで、重版予定があるかもわかりません。酷い話です。

〈プラス〉

ドラえもん プラス (1) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん プラス (1) (てんとう虫コミックス)

現在5巻まで。

一番最近刊行された、てんとう虫コミックスのプラスシリーズ。「藤子不二雄ランド」が絶版になっている現在、〈てんとう虫コミックス〉〈カラー作品集〉の未収録が読める! 素晴らしいシリーズ。5巻以降がなかなかでないけど、これからもファンの為に封印作品も収録していって欲しい。

以上が現時点では『ドラえもん』の「三大基本アイテム」です。これさえ集めていれば、日本人として恥かしくないはずです…

〈コロコロ文庫〉

ドラえもん (恋愛編) (小学館コロコロ文庫)

ドラえもん (恋愛編) (小学館コロコロ文庫)

全18巻。

テーマ別に編集された「ドラえもんアンソロジー」みたいなものですが、同じコロコロ文庫の中で作品が被っていたり、テーマ分けしたわりには、ほとんど関係の無いエピソードが採用されていたり、あまり評判のよくないアンソロジー。

ほとんどが〈てんとう虫コミックス〉収録の作品からなのだけど、[ロボット編]のには〈てんとう虫コミックス〉と〈プラス〉にも未収録の作品が3編も入っているので絶対に買いです。

デラックス版という文庫版を組み合せたようなのも出ていますが、内容は完全に被ります。

〈ぼく、ドラえもん〉

雑誌形式で全25巻。

各号の付録に未収録作品集が付いていて、2-4編づつ入っています。F先生のレアな記事も多かったシリーズなので買っても損は無いのですが、ぜんぶで25号もあるので高額です。

三大基本アイテムに収録されていない作品が多く入っていますが、これらは今後〈カラー作品集〉や〈プラス〉に収録される可能性があるものなので、毎朝毎晩小学館に向かって(一ツ橋方向)祈りましょう。

ちなみに1号には幻だったシンエイ動画TVアニメパイロット版『ドラえもん』収録のDVDが付いていて、歴史的事件。さらに全巻予約購読の特典としてプレゼントされた「ドラえもん湯のみ」のデザインは秀逸で、恐らくドラえもんグッズの歴史の中でもっとも素晴らしい作品。

〈もっと!ドラえもん〉

雑誌形式で全5巻。〈ぼく、ドラえもん〉の続編として出たもので、これにも毎号2編の未収録が入っていましたが、資料不足で詳細がわかりません。これは1冊高いので揃えるとなると大変です。〈カラー作品集〉や〈プラス〉に収録されることを願いましょう。

ぴっかぴかコミックス

ドラえもん (1) (ぴっかぴかコミックス)

ドラえもん (1) (ぴっかぴかコミックス)

現在17巻、カラー版1巻、ドラミちゃん1巻。

これにも、三大基本アイテムに無い作品が幾つか収録されているけど、被るものも多い。1冊300円で、安いのでいいが、今手に入るのは、1-4、11、12、14-16、ドラミちゃん、のみ。得にカラー版には他では読めないレア作品がほとんどで、これが品切れ状態というのは小学館の良心を疑う。

ドラえもん―カラー版 (ぴっかぴかコミックス)

ドラえもん―カラー版 (ぴっかぴかコミックス)

大長編ドラえもん

大長編ドラえもん (Vol.1) のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス)

大長編ドラえもん (Vol.1) のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス)

現在24巻。映画の原作シリーズ。

注意しなければいけないのは、F先生が描いているのが17巻までで、後は藤子・F・不二雄プロ作品であるという点と、『のび太のパラレル西遊記』のみ原作が無いことです。

ただし、F先生は死後も映画版が続けられるように、幾つか作品のアイデアやあらすじを残していたらしいので、『のび太のワンニャン時空伝』まではそれを元にしていた可能性はあります。

〈ドラえもん巻頭まんが作品集〉

全2巻。

タイトルのとおり、〈てんとう虫コミックス〉全45巻の一番最初に載っている作品だけを集めた本。何故そんな本が存在するかというと、てんとう虫コミックスに作品を収録するさい、F先生が収録予定の中で一番面白いと思うものを一番最初に持ってくるという編集方針がとられていたからです。ですからこの作品は「ベスト・オブ・ドラえもん」といえる「てんとう虫コミックス」から生まれた、「ドラえもん・ベスト・オブ・ベスト」という位置付けになります。

〈熱血!!コロコロ伝説

現在5冊。Vol.1、Vol.6、Vol.2、Vol.7、Vol.3

コロコロコミックに収録されていた漫画を年代別に収録したシリーズ。今のところ各号に1話〜3話『ドラえもん』が収録されています。うち各号に1話は〈てんとう虫コミックス〉〈プラス〉〈カラー作品集〉に未収録の作品が入っています。

この本は他にもF先生の手に入れにくい作品が読めます。目玉はVol.1の付録『新オバケのQ太郎』でしょう。

ドラベース

『ドラベース ドラえもん超野球外伝』現在13巻まで刊行中。

ドラえもんと同じ世界が舞台の、むぎわらしんたろ氏の作品。第一話にドラえもんが登場するけど、野球漫画です。試合前に指定されたひみつ道具が使えるとか、特別なルールがある。でも、ペタンハンド(丸い手)にボール握らせてる時点で無理があるよ。

児童向けのコミックスではわりと売れている方です。


『ドラえもん』には〈てんとう虫コミックス〉未収録でも面白い作品が多いです。これだけ国民に愛されているにもかかわらず、読めない作品があるのは理不尽。いつまでも一度世に出した作品に製作者側や遺族が固執しているのは単なるエゴ。作品はファンの物です。F先生さえ生きていれば…

『ドラえもんに』限らず、現在読めないF先生作品は多いです。『オバケのQ太郎』にかんしてはスタジオ・ゼロ藤子不二雄A石ノ森章太郎等とともに設立したアニメスタジオ)の作品だったこともあり、現在手に入るものが、ほとんど無い状態。『熱血コロコロ伝説』に『新オバケのQ太郎』が一部付録として付いたが、『新』はF先生単独作なので、出しやすかったのだろうが、其の他の『オバQ』が、何故刊されないかは不明。個人的に『新オバQ』と『パーマン』は『ドラえもん』より名作だと思っています。

以前は『藤子不二雄ランド』という全集的なシリーズがあってそこにかなりの未収録作が入っていたけど、現在絶版。藤子不二雄Aの作品のみ復刊されている。

藤子・F・不二雄全集が出てほとんどの作品を気軽に読めることを願います。


まとめとしては、

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)ドラえもん プラス (1) (てんとう虫コミックス)ドラえもんカラー作品集 (第1巻) (てんとう虫コミックススペシャル)

〈てんとう虫コミックス〉全45巻、〈プラス〉現在5巻、〈カラー作品集〉現在6巻を抑えて、続巻を待つ。というのが基本的な『ドラえもん』の買い方ですが、〈カラー作品集〉に品切れの巻があるので、中途半端です。

それで飽き足らない場合は〈大長編ドラえもん〉を集めましょう。

私自身は『ドラえもん』の魅力は短篇にあり。と思っているので、大長編の優先順位は低いです。

全巻揃えるつもりがない人は、〈ドラえもん巻頭まんが作品集〉を、買えば良いでしょう。〈コロコロ文庫〉のテーマ別アンソロジーは、気に入ったテーマがあれば別ですが、そうでもないなら〈てんとう虫コミックス〉の適当な巻を選んだほうが、安くて良いです。


書店に置くべき優先順位は、コミックスの重要度より、売れ行きの事も考えて以下のようになりました。

  1. 〈てんとう虫コミックス〉全45巻
  2. 〈プラス〉5巻〜
  3. 〈大長編ドラえもん〉24巻〜
  4. 〈コロコロ文庫〉全18巻
  5. 〈ドラえもん巻頭まんが作品集〉全2巻
  6. 〈カラー作品集〉6巻〜
  7. 〈熱血!!コロコロ伝説〉5冊〜
  8. 〈ぴっかぴかコミックス〉全15巻、カラー版1巻、ドラミちゃん1巻
  9. 〈ぼく、ドラえもん〉全25巻
  10. 〈もっと!ドラえもん〉全5巻

〈カラー作品集〉と〈ぴっかぴかコミックス〉は品切れで揃わないので、単行本としての価値は高いが優先順位は低く、〈ぼく、ドラえもん〉と〈もっと!ドラえもん〉は商品が箱形でかなりの売り場スペースを取ってしまうので、そうとう大きな書店以外はそろえられないでしょう。これらは重版予定の可能性はもう低いので、品切れたらそれっきりでしょう。


完全版「藤子・F・不二雄全集」あるいは完全版「ドラえもん」が発売される日はやってくるのだろうか…


人外人外 2007/09/18 16:11 ザ・ドラえもんズが入って無いの何でですか?

なありなあり 2007/09/18 21:55 気になることがあるのですが
ただいま発売されているコロコロ伝説内の作品は
すでに他のコミックスで簡単に入手できるものなのでしょうか?

miruzmiruz 2007/09/18 22:01 人外さん>
コメントありがとうございます。
今までに「ドラえもん」関連の本だけで、1500種類は出版されています。このトピックは「書店員のための…」なので、現在コミック売り場で扱ったほうがいいと私が経験上思った本のみ扱っています。また、お客様から問い合わせを受けたときに最低限知っていればいいと思われる事が書いてあります。
「ザ・ドラえもんズ」全6巻
「ザ・ドラえもんズ スペシャル ロボット養成学校編」全3巻
は全て、出版社在庫無しなので基本的に書店には置けません。
「ザ・ドラえもんズ スペシャル」全12巻
は10巻、11巻、12巻のみ在庫ありでそれ以外は無しなので、置く価値は無いと判断しました。
他にもコミック担当者としては、あまり置く価値の無い、絵本、学習物、English comicsなども、割愛しています。

他にも自分が見逃している本など多々あると思いますが、わかり次第修正していきます。これからもよろしくお願いします。

miruzmiruz 2007/09/18 23:26 なありさん>コメントありがとうございます。『熱血!!コロコロ伝説』には今のところ、各号に1話づつ〈てんとう虫コミックス〉〈プラス〉〈カラー作品集〉に未収録の話しが入っています。
『熱血!!コロコロ伝説』に関しては追加しておきます。

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