あと二分だった映画


 朝、9時半の歯医者。右下奥歯の歯肉の腫れは、一つの奥歯に四つある歯根のうちのひとつの根本が炎症を起しているからだそうで、しかし、その問題の歯根が炎症のせいで歯根の中にトンネルのようにある隙間が狭くなっていて、なかなか炎症中枢部まで治療が進行できず、まだ何回か完治まで治療に通う必要がある、ということを言われる。歯医者の治療中でじっとしていなければいけないときとか、床屋で髭を剃られていてかみそりが喉に当っているときとか、そういうときに限って唾を飲み込みたくなったり、咳払いがしたくなったりする。神経質の証拠なのか?
 歯医者のあと、自転車で鶴嶺神社の銀杏を見に行く。飛行機雲が出来る条件というのがどういう条件なのか知らないけれど、とにかく何本も飛行機雲が見えた。

 昼前に家を出て、床屋に行く。やっぱり唾を飲みたくなる。その後、JRと小田急線を乗り継いで新百合ヶ丘まで映画「南極料理人」を見に行く(川崎市アートセンターアルテリオ・シネマ)。先日、飛行機の中でもうちょっと(だと思われる)ところまで見て、成田に着いてしまい全部見終えることが出来なかった「南極料理人」。今日見たら、飛行機の中で見終えることが出来なかったエンドロールまでの残り時間は2分くらいで、そのあとユニコーンの曲が流れているエンドロールを入れても5分くらいだった。しかし、残り2分のためにわざわざまた見た、なんてことではなくて、あらためて最初っから全部楽しめた。ご年配の女性客の方々、よくけらけらげらげらと声をあげてお笑いになる。それも楽しい映画館。

 新百合ヶ丘の駅の周りに行ったことがなかったので、初めて、映画のあとぶらついてみた。新しいきれいな街で、活気もあった。そのぶん場末とか昭和とかレトロとか、そういうのが全然なさそうな街だった(たまたま歩いたところがそうだっただけなのか?)。エクシオールカフェで、小一時間、珈琲を飲みながら石川直樹のエッセイを読んでから帰る。