静岡 三島


 青春18切符を使って、静岡まで映画「パンドラの匣」を見に行く。わざわざ時間と電車賃を使って遠くまで映画を見に行くなら、ちゃんと近くで(都内で)上映しているときに見ておけば良いものを・・・と思う方もいらっしゃるだろうが、そういうことではなくて、電車に長時間乗ったり、その結果知らない町を歩いたり、そういうことが大事であって、日本列島ダーツの旅のダーツのような役割を「××の映画もやっていることだし」という行き先の選択理由にしているのである。しかしだからと言って、どんな映画でも良いかと言うとそうでもなくて、やっぱりネットなどで映画の評判を調べてから決める。「見たい映画を知らない町に赴いて見る」ということがいいんです。ま、多分に自己弁護的かもしれない。先日は「空気人形」を川越で見たし。あとひとつ、「美代子阿佐ヶ谷気分」という映画も見たいと思っています。
パンドラの匣」はとても良かった。良かったけど、やっぱり映画の中に定型的物語があって(ネタばれ注意;ラストで芥川賞作家の女優初挑戦の川上未映子がバスに乗っていて、とあるバス停で某が乗ってくるところとか)そういうのはちょっと辟易してしまう。12/29の日記に「空気人形」の感想でも同じようにラスト近くのシーンが興醒めだと書いたのと同じ感じ。しかし、私の映画の見方は相当に偏屈(天邪鬼)であって、そういう場面がないと、所謂「物語」としての要素が欠落して落としどころのないものになってしまうんだよね。でもそう感じるのは、私の映画の見方が既に物語を欲していなくて、ただ、全体を覆う色合いとか、物語にもならないエピソードの断片だけを求めている、そこに物語を構築しようとすると即刻鼻に付くということに陥っているということだろうな。川上未映子は色っぽいし上手かった。芥川賞も取り、中原中也賞も取り、以前は歌手で、こんどは女優。マルチですね。新作は読んでないけど、芥川賞受賞作「乳と卵」は文芸誌掲載時に読んで、これはすごいな、と思ったものでした。
 とにもかくにもこの映画は気に入りました。ということもあり、見終わったあと静岡駅ビルの書店で本を購入。新潮文庫

パンドラの匣 (新潮文庫)

パンドラの匣 (新潮文庫)


 映画の前の2時間と、映画のあとの1時間、静岡市街を散歩。駿府城公園とか、あとは繁華街。静岡は大都市で活気があって、一方で事前の調査不足もあり古びた街並みなどは見つけられなかった。やたら駐車場が多かった気がする。上の写真は西日の当るフェンスです。解説するまでもないか・・・

 静岡から三島まで戻り、途中下車。三島大社に寄り、初詣。ビルの合間に見える富士山はとても大きいのだが、周りに何もなくなるとそれほどは大きくない。活気があって殺気はない、のんびりとした初詣が出来た。
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(陽射しが柔らかい)


(三々五々という感じで)