大磯左義長


 760枚も写真を撮ってしまうと、そこから1枚を選ぶことなんかすぐには出来ない。というわけで適当に選んだ1枚です。動きの少ない駒を。

 大磯の左義長は、いわゆるどんど焼だが、砂浜に大きな、藁で三角錐状に作った数メートルの高さのサイト(と言われると町の観光案内に書いてあった。http://www.town.oiso.kanagawa.jp/isotabi/matsuri_event/matsuri/sagichou.html)は、さらにその上に挿された竹まで含めると、10メートルくらいにもなる。そのサイトというのは、英語のウェブサイトとかのサイトではなくて、祭(さい)と関係のある昔からそう呼ばれる言い方なのかな。
 そのサイトは町内ごとに作られているのか、そのあたりは私にはわかりませんが、9つあって、そこに昼間のうちから町内の人がやってきて、正月の飾り物とか、古いだるまなどが、サイトに結び付けらたりする。そのほかにも、上記の観光案内によればいろいろと夜に向かったスケジュールが12月ごろから進められているらしいのだが、いよいよ左義長の夜になると、これらのサイトに火が付けられる。昼間に町内で配られた(あるいは売られるのかな)、この火で焼くための数珠状に丸くつながったお団子を竹などの棒の先に括り付け、それを火で焼いて食べるのが、いかにも子供たちにとっても楽しいイベントである。一方、火が盛んに燃えているあいだに、ふんどし姿の男が何人か海に入り、砂浜側にいる男たちと綱引きのようなことをする行事も行われる。火が盛んに燃え上って、いっせいに煙が出て、それがその日の風向きによって流れていく様子は活気がある。そのころには浜には大勢の人が繰り出している。やがてサイトは燃えながら崩れたりして火は小さくなる。大勢いた人たちはだんだんと帰宅していき、火が小さくなるとともに、火を囲む人たちの輪が、二重三重になっていたのが、一重になりやがてまばらになる。それでも十数人がいて(それを構成しているのは三世代くらいからなっていそうな家族連れだったり、若者のグループだったり)真っ暗な砂浜にある九つの焚火に集まって、暖を取りながらあれこれ、世間話や近郊報告を交えてしゃべっている。その声もだんだんと小さくなっていく。
 なるべく引きで、火の勢いが衰えたあとにもそこに集まって残っている人たちを眺めていたい(というか、結局はそれを写真に撮っているのだが)。こちらは一人ぼっちだが、残り火に掌を差し出すと暖かいように、それらの人たちの場の片隅に掌を差し出してそのぬくもりのかけらのおこぼれに預かるようにしているのだった。
 二年前には何軒か屋台も出ていたように思うのだが、今年はそういう店はなかったように思えた。そういえば三脚を立ててうろうろと歩き回るカメラマンの数も、一昨年に行ったときよりずーっと少なかったのはどうしてなのかな?
 私は一昨年には三脚をたてて、数秒のスローシャッターで写真を撮っていたが、カメラの高感度特性が上がったこともあり、今日はほとんど手持ちで撮影した。28mmのレンズで、1/4秒のシャッター速度でも、手振れ補正もあって、手持ちでもそれなりにぶれない。1/8秒や1/10秒はほぼすべて問題なくぶれていない。感度は6400から12800くらいを多用。そうか、ほかのカメラマン諸氏も私と同じように、手持ちに切り替えたから目立たなくなったのか?