不定期で消失日記

2012-05-07

大久保アルファステーションの思い出


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 この度2012年5月7日をもって惜しくも閉店する事となったゲームセンター、大久保アルファステーション。

 自分がアルファステーションに通うことになったのは、およそ2年という、その20年の歴史からすればほんの短い期間の事に過ぎない。しかしながら、その時間はアルファステーションというゲーセンの持つ特濃テイストを味わうには十分過ぎる期間だったと言っていい。ここでは筆者の過去のツイートを引用しつつ、主に自分が通っていたB1Fの話題をメインに、アルファステーションのあれやこれやを振り返って行きたい。


・店内模様

 財布の中の50円玉を探そうとしても、照明の近くに寄らないと判別困難な薄暗い(震災直後も通常通り営業していた当ゲーセンだが、思えば元から省エネ営業だったから全然関係なかったぜ)店内。B1Fへの階段を降りると見えてくるのは、もはや天然記念物的な存在であるスコアボード(2010年あたりから書き換えられなくなり、単なるシンボル的な存在と相成った)。21世紀に突入してから10年の月日が経っているとはとても思えない煤けた店内模様に、ゲームソウルは否が応にも高まる。

 B1F筐体隅のデッドスペースは、QMAVやオトメディウス、デスマIIなど、今はもうここでは稼働していないゲームの等身大ポップの墓場と化していた。お婆さんが寝ていた事もあったとの証言も。なお、自販機裏の封印された扉の中には一体何が封印されているのかという謎が自分の中で未解決のままである。


・ラインナップ悲喜こもごも

 インカムが悪いゲームは週のはじめに筐体に「DANGER-不人気-」マークが付けられ、改善しなければ翌週には高確率で入れ替えになるという生き残りシステムが採用されていたアルファステーション。

 アルファの面白い所は、来るのが必ずしもゲームに関して深い予備知識があるお客さんばかりではないという点。ダブルウィングスというどマイナーゲーが謎にロングヒットしたり、鮫!鮫!鮫!が入って数週は中身の詳細を知らないお客さんが結構付いてたのが、難易度がバレていくにつれ徐々に人が離れていったり、「新しく入ったゲームはとりあえず触ってみる」スタイルのお客さんが多かった事もあって、レトロゲームなのに客のレスポンスがまるで新作。どのゲームが人気出るかもかなり水もの。レトロアーケードゲームが懐古アイテムとしてではなく、現在進行形のものとして蘇るゲーセンであったといえよう。

 それにしても、定番の名作から需要の読めない迷作まで、振り返ってみるといろいろあったなぁとしみじみ。大体はその筐体に前入っていたゲームと関連性のあるゲーム(単純な続編・そのゲームと同系列の基板のゲーム・ゲイングランド→アウトゾーンのようになんとなーく関連性がありそうなゲーム…など)が入る事が多かったのだが、不意打ちでいきなり全然関係ないゲームが入る事もあり、フタを開けるまで次の展開が分からない楽しみが。後述するリクエストへの対応との兼ね合いもあってホームページでの告知と実際稼働しているゲームに少しズレがあったりして、どんなゲームがプレイ出来るか行ってみないと分からない所も。四の五の言わずに足を運んでみると他者のリクエストで「それがあったか」なゲームが入ってたり、思わぬ拾い物をする事もあった。

 基本的に「推し」の意志をあまり表に出さず、淡々とラインナップを入れ替えるアルファではあったが、時に"対戦格闘ゲームの海外産オーパーツ"こと「Time Killers」を猛烈プッシュしたりするお茶目さも忘れてはいけない。


・音がでかい

 聞こえない筐体もあるけど、大音量な筐体は本気の大爆音。↑のように出たツイラスボスやガンバード2の7中ボス&ラスボスの断末魔(何回聞いた事か…)含め、派手な効果音はほぼフロア中に響き渡る仕様。ゲームミュージックに詳しければ、今フロアにどのゲームやってる人がいるのか、そのゲームのどの辺をやってるのかが大体分かる。ゲイングランド攻略に喘いでた頃は、1945IIやりながらゲインで先に進んでる音が聞こえたらパターン見に行ったりしてたなぁ…。まともにゲーム音が聞こえないゲーセンも多々ある昨今、アルファのウリの1つだったと思う。


・プレイ録画&自前環境

 録画可能筐体が並び、録画機材の貸出サービスを行なっていたこのゲーセン。自らの限界を突破するための手助けとして、或いはそんな限界突破の記念碑を映像に収めんと、利用するプレイヤーも多々。毎回アポを取って録画機材を借りる事に煩わしさを感じたプレイヤー(貸出台数に限りもあるし、大型のレコーダーには設置スペースの問題も)は、思い思いの録画機材を自前調達。自分のプレイを全録画して、疑問を感じた瞬間に問題点を見直すなど、最早アスリートの様相。

 より快適なプレイ環境を追求せんと、座布団や充電式卓上扇風機(タバコの煙よけか)などを持参する人も。連射装置も結構持参品だったりしたし、自らのプレイ環境は自らで作る!(もちろん店員さんの協力もあり)

 

・食

 アルファの客といえど人間なので腹も減る。まず、「アルファの食堂」といっても過言ではなかったのが、道を挟んで対面に位置するすき家とSガスト。すき家は牛丼屋で、Sガストは鶏竜田屋です。利用すると同じ店内に「話はした事ないけど顔は知ってる」人が何人か同時にいることも多々。店員の顔も結構覚えた。少しでも多くの時間、少しでも多くのお金をゲームに費やしたいプレイヤーにとっては、こんな感じの飲食店がジャストフィット。アルファ戦士の胃袋を支えた牛丼と鶏竜田に敬礼。

 その他、あっさりいきたければ丸亀製麺。多少腹一杯にしたければおかわり自由で知られるやよい軒などの選択肢が。人が少々集まった時などは、ミラノ風ドリア屋として有名なサイゼリヤも。自分は知り合いとあまりに高頻度でこのサイゼで安ワインをあおり過ぎたため店員に顔を覚えられ、席に着くなり「今日のワインはどうなさいますか?」とVIP待遇を受けるようになってしまった。サイゼで。

 その他、少々離れるがラーメン大などのフリークもいた模様。しかし自分及び身の回りにはあまり食に拘りのある人がおらず、チェーン店ばかり利用してた。食に使う神経をゲームの方に回していたのかもしれない…


・トイレ

 アルファを語る上で欠かせない存在。それがトイレ。

 STG・レトロゲープレイヤーが最もお世話になる事となるB1Fトイレは、洋式便器ながら大禁止というナニソレ仕様の他、ドアには謎の鉄拳3のステッカー、壁に貼られたガムテープには「CAVE」「YGW」の落書きが。そんなトイレにある日現れたのが、三和ボタンを流用したゲーセンならではの水洗システム(上のツイート参照)。あまりに独創的過ぎたのか、当システムは数カ月くらいで消滅する事となった。

 体を任せるように勢い良く座ると横滑りしてバランスを崩す2Fの横スライド式便座も忘れてはいけない(要するに便座は便器に「乗ってるだけ」の状態)。ここは落書きが酷く、しまいには「ここ落書き消さないの?」というパラドックス感あふるる落書きが登場。結果、去年あたりに壁一面を黒く塗る荒業で浄化(?)-K.O-された。Paint it Black!

 4F男子トイレも落書きは酷かったが、こちらは浄化されず。日本社会の一断面を利用者に伝え続ける事となった。


 みんな散々「汚い」「汚い」罵ってたけど、個人的には洋式だというだけで結構ポイントは高かった。積極利用されないからか、空いてる率高かったし。どんな綺麗なトイレでも入れなきゃ意味ないのよ。でもまぁ、B1Fトイレに近いゲームやってた人たちは、時々スメル的な意味で結構大変だったんじゃなかろうかと…

 そんなアルファのB1Fトイレに前使ってたケータイを水ポチャしたのも良い思い出。嘘、屈辱…(ギリギリ壊れなかったからその後3ヶ月は使ったとか今からすると信じられない)。あれ以来あまりパーカーのポケットにケータイは入れないようにしている。


・奴の名はG

 老朽化した味わい深い建物とアストロシティの温もりが育むものは、かつては日本のあちこちにあったビデオゲーセンの熱気…だけではない。『虫姫さまふたり ブラックレーベル』はアルファB1Fの常連稼働タイトルだったが、こっちの方の黒い虫も割と常時稼動。

 1945IIプレイ中には必ず1周目ラスボス前に登場するという法則性が。ラスボスが弱いゲームなので、ある意味空気を読んでいるとも言える。1999ならお仲間らしきものも出てくるものを…

 どうも遠征者をうっかりお出迎えしてしまう率が高いらしく、「アルファといえばコレ」みたいになってしまっていた人も多かったが、実際そんなに毎日毎日出てた訳でもない。特濃ゲーセンのスパイス、刺身のツマ的な役割であったといった所か。


・異常なまでに丁寧なリクエスト対応

 アルファのHPのBBSは飾りじゃない。いかなる無茶そうなリクエストにも、迅速かつ丁寧に対応。ゲーセンに居るときの故障時なども、6フロアもある店内から店員探す(この行為を"エレベーターアクション"と呼ぶ)より、BBSに書き込んだ方が早いんじゃないのか疑惑も。と、それは言い過ぎだが、その対応の丁寧さはここ最近のBBSを覗くだけでも十分伺い知る事が出来る。ある時は録画環境を整える為にわざわざ海外からパーツを取り寄せたり、そこまでやるかと。基板持ち込みや在庫ゲームの稼働リクエストにも迅速対応。リクエストゲームがしばらく入りっぱなしになって、元々そこに入ってたゲームがその間やれなくなる事もあったりしたけど、その御蔭で拾い物をする事もあったのでまぁイーブンという事で。

 

 何にせよスタッフさん達の尽力がなければ、この特濃ゲーセンが成立しなかったのは確か。誰の目から見ても限界が来てるのが明らかな建物の中で、ゲームに関してはちょっぴりウルサイ客たちのリクエストに、そう多くはない人員で対応していくというのを想像すると、頭が下がる一方。本当にお疲れ様でした。


・まとめ

 まだまだ書ききれない事は沢山あるが、全部挙げていくとほんとキリがないので一応こんな所で。特定のお客さんネタなども凄く濃くて面白いのだけれど、一個人に関わる事なので控えさせて頂きました。

 そういえば、去年の年末大晦日をアルファで過ごしたのも良い思い出になったなぁ。「大晦日だし流石にいつもと違う感じだろう、というか人いるのか?」と思って行ってみたら、いつもと居る顔ぶれもやってる事も全然変わらなくて感動した。しかし、あれがアルファ最後の大晦日になるとは…。2011年には大分落ち着いていたアルファでの全一スコア更新が今年頭になってかなり増えたのは、何かの前触れだったというか、虫が知らせたのかもしれない…。


 アルファステーションのおかげで実に様々なゲーム・様々な人々と出会う事が出来た。いつの間にやら、「アルファに行く」というより「アルファに帰る」という感覚で日々を過ごしていたような気がする。アルファでゲームをプレイしたあの日々を、プレイしたあのゲーム達を、そこにいた人々を、あのトイレを、この先決して忘れる事はないだろう…いや、忘れようとしても忘れられないだろう…


    ありがとう、大久保アルファステーション

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