(旧暦 睦月廿三日)

 えらい大顰蹙のようだった第9話。

 で。

 その顰蹙に拍車をかけたらしい第10話。

 といったところでしょうか。
 いやー、びっくりしました。吹雪のあの白さと、その場面の背景(あの衣装は花嫁姿ですよねぇ。で、背景は現代日本ですよねぇ)。
 なんでも、原作ゲームには「ケッコン」というシステムがあるそうで。

 そもそも、「アニメには提督を出さない」と最初に公言されていたとのこと。
 そこからして、あの影だけの提督が、個々のプレイヤー、あるいは視聴者を表しているのは判ります。
 要するに、吹雪の疑問である「どうして未熟な自分なんかが鎮守府に呼ばれたのか?」という問いには、簡単に「そんなん、提督が初回ログイン時に選択したからやん」で終わってしまうワケですね(吹雪は、ゲーム開始時にプレイヤーが選択できる艦のうちの一つ)。
 提督の、いや司令官の「夢に見たから」というのは、プレイヤーのキャラへの愛を示しているということになりますか。いわゆる二次元愛ですな〜。

 いいんですかねぇ、こーゆー手法。
 各ゲームにおいてプレイヤー・キャラに目が描かれないのは、プレイヤーが自身を投影しやすくするためで。しかも、育成系ゲームの場合、プレイヤーはゲーム内には存在しないのが普通です。
 そのため、アニメ版『艦これ』で、提督を描かないというのは、まちがいとは言えないでしょう。

 ただ。
 このままですと、アニメ版の提督は“吹雪愛”にこだわる遊びかたをしていることになります。深海棲艦に鎮守府が狙われる状況下でなお、他の高性能艦をさしおいて、あえて吹雪を優先しているわけですから。
 この方向性、「提督を出さない」とした、言わばプレイヤー・キャラのニュートラル化という姿勢と矛盾しないかが疑問です。
 これなら、提督をちゃんと顔出ししたうえで吹雪に入れ込む、というシンプルなやりかたでよかったんじゃないかと。帝撃の大神一郎隊長みたくね。

 それはそれとしても。
 ここにきて、提督を行方不明とした意図が、これまた見えてきません。
 最後に「あっ」と驚く仕掛けが出てくるなら全然OKなのですが。
 このままだと……。

 提督は二泊三日の社員研修に出ている。

 とか。

 提督はカノジョができてリア充になったので、ゲームに興味をなくした。

 とか。

 提督は規約違反で垢BANされた。

 とか。

 提督は***したため、現在はインできる環境にいない。

 とか。

 実はすでにサービス終了しており、もはや提督のインなど永遠にない。艦娘たちは、そのことを知らずゲーム世界の中で闘い続け、決して戻ることのない提督の帰還を待ち続けている。

 とか。
 とか。
 とか。
 変な妄想ばかりが膨らんでしまいます(魔笑)。

 ちゃんと最終話で解決してくれさえすれば、何も文句はありませんよ、もちろん。