『Movable Typeで今すぐできるウェブログ入門』&『ウェブログ入門』
この本は、ウェブログを書く際に使うツール"Movable Type"に特化したウェブログ入門である。
日本にはもともとウェブ日記という文化があったので、ウェブログの特性の一つである「日記をwebに公開する」という点は驚くに値しない。本当に注目すべき点は、これらのウェブログツールが実装しているXML関係の技術にある。
XMLは個人のレベルにおいて十分に活用するのは難しそうというイメージがあるが、このMovable Typeを用いたウェブログを見る限り、その懸念は消える。我々人間が接するインターフェースは、従来のものと変わりないのに、内部的には高度なXML生成が行われているのである。
ただし、ウェブログにただ興味がある人は『ウェブログ入門』を読むほうが良いだろう。本書はいささかMovable Typeに特化しすぎており、Movable Typeが実装できる環境にないと「実際に動かしてみたくてしょうがなくなる」というストレスがたまる本である。
Movable Typeを実際に運用している人にとっては、巻末付録にあるMT特殊タグリファレンスが役に立つだろう。
Why PDF?
http://d.hatena.ne.jp/rain1/20030823#p6
PDFを用いる一番の(個人的)理由としては
- 数式が綺麗に表示できる
- 環境に依存せず読める
ということでしょうか。一般的に広まった理由としては、http://d.hatena.ne.jp/kanryo/20030823#p5でかみさま(id:yhvh)が指摘されているようです。
PDFが成功を収めているのは、かつて存在した「活字の権威」を其の身に体現しているからでありましょう。
そう遠くない昔まで活字にはある種の権威があったといいます。その権威の源泉は、
- そもそも活字による文書作成が難しい
- 訂正箇所が明確に分かる
といったところに存在しているような気がします。
ところが、「活字の権威」は情報技術の発達により地に落ちてしまいました。この凋落は誰でも活字を書いたり送ったりすることが出来るようになったことと不可分の現象ではありえません。
しかしながら、PDFによる文書は「誰にでも作成できる」という現在の活字の特性を技術により上手く剥奪することを可能にしました。
例えば、わたしがワープロで「○○局○○課」のクレジットの入ったPDF文書を作成することは可能(技術的には可能にしろ、やったら公文書偽造罪になりますね)なわけですが、「○○局○○課」の電子透かしをいれたPDF文書を作成することは極めて難しいといわざるを得ません。
つまり、「誰でも読める」という状態を確保しながらも「××にしか作れない」という文書を作成することを技術的に可能にした点がPDFの成功の最たる点でありましょう。