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2016-05-07

[] ハンナ・アーレント『暴力について』

ハンナ・アーレントの論集『暴力について』(みすず書房、2000年、原著1972年)は、1969年〜1971年にかけて書かれた三つの論評「政治における嘘」、「市民的不服従」、「暴力について」、および最後の論評についてのインタビュー記事「政治と革命についての考察」からなっています。それぞれの論評は、ベトナム戦争における国家の嘘・ベトナム反戦・学生の反乱について、同時代の視点から書かれたものです。

「政治における嘘ーー国防総省秘密報告書についての省察ーー」(1971年)

タイトルの「国防総省秘密報告書(ペンタゴン・ペーパーズ)」は、アメリカ合衆国がインドシナ〜ベトナムに介入する中で行われた意思決定の過程についての報告書です。現在では機密指定が解除されていますが、アーレントの論評は、この報告書の内容が1971年にニューヨーク・タイムズに暴露されたことを受けて書かれたものです。

著者は国防総省首脳部における意思決定の過程に「欺瞞、自己欺瞞、イメージづくり、事実からの乖離」といった諸相を見出します。たとえば:

  • 地上軍投入以前の段階(1965年)ですでに、実質的な勝利という目的は取り下げられ、以降は「世界の最強国」というイメージを守ることが究極的な目的とされた。(pp. 15-16)
  • このような究極的な目的としての「心の問題」を解決するために、首脳たちは政策をとっかえひっかえ、それら政策がイメージに与える影響を計算し、評価し続けた。このような計算は結局、戦争そのものとは無関係のものである。(pp. 33-36)
  • 諜報機関は現地の事情に即した情報を一貫して報告しつづけていた。これらの情報は、国防総省首脳部の問題設定・問題解決のモデルに合致しない偶発的な事象として常に無視された。(pp. 20-21)
  • ラオスと南ベトナムの共産化が、カンボジアを越えて東南アジア全域に波及するだろうという理論(ドミノ理論)を本気にしているものはほとんどいなかった。にもかかわらず、ドミノ理論は戦争目的に関する公式見解の前提とされ、また彼ら自身の意思決定の前提ともされた。(pp. 22-23)

著者はまた、「政府はしかるべく機能しうるためには国家機密を必要とする」という考えが疑問に付されたことを指摘します(p. 29)。報告書中に書かれたことの中で、公衆に知られていない目新しい事実はほとんどありませんでした(p. 44)。そのうえ、ホワイトハウスと国務省は、この秘密報告書の存在自体を突き止められませんでした(p. 28)。

一方で著者は、秘密報告書の内容がほとんどあらかじめ公知であったことは、アメリカにおいてジャーナリズムが健全に機能していることを示唆している、とも指摘しています(pp. 43-44)。

「政治における嘘」に関する考察

丸山眞男の「軍国指導者の精神形態」と引き比べて読むと面白そうです。丸山は日本の指導者が、曖昧模糊とした大言壮語を口走りながら、一方でみずからの職務の権限範囲に逃避し、それらを合理的に関連付けないことによって事態が進むに任せた(しかし彼らは指導者なのだから、「事態を進めている」のは彼らなのである)ものとして描写しています。一方でアーレントの描く国防総省首脳は、現実をはなから切って捨てて、まったく観念的なモデルを作り上げて、合理的な計算とアドホックな政策によって戦争を泥沼へと推し進めています。まったく異なる精神形態でありながら、直接的な帰結は似通っています。

「市民的不服従」(1970年)

市民的不服従運動と法秩序に関する議論を受けて、市民的不服従がアメリカ法の中でどのように正当化できるかを考察した論考です。

主な考察は次の通り。

  • 市民的不服従を法体系の中で正当化するのは困難。これはアメリカ法の性質によるのではなく、法の違反を法自体が正当化することは難しい、という一般的な事実による。(p. 92)
  • 一方で市民的不服従は、アメリカ法の基盤となった伝統において枢要をしめる自発的結社の一種とみなせる。 (p. 88)

著者は、アメリカにおける社会契約が必ずしも擬制ではないことを指摘します。これは、異論を唱える権利のある人が異論をとなえないでいたとすれば、それは暗黙に同意しているものとみなされるべきだからです(pp. 80-81)。しかしながら、政府は議会の同意を得ないカンボジア侵攻など、頻繁に憲法を踏みにじり、したがって社会契約を破っているのだから、既に同意は撤回されているとみなさざるをえない。これは「第一級の憲法上の危機」です(p. 82)。

著者は、この危機において、社会契約が行われる基盤となった「法の精神」、およびその発露としての伝統である自発的結社の一種である市民的不服従が、政治的な役割を果たせるのかもしれない、としています(pp. 76, 93-95)。

また著者は、自発的結社は多数決の原理によっているのではなくて、むしろ少数者がみずからの政治的な力を強め、多数派に対して行使するするものであることを(トクヴィル、およびその評者のミルを肯定的に引きながら)指摘します。これはもちろん危険であり、いかがわしいロビイストの一群として既にその危険が顕現しているのですが、しかしそれは多数派の暴政というさらに大きな危険に対する予防策でもあります。(pp. 84, 88-89)。

「市民的不服従」に関する考察

アーレントはアメリカの社会と法の伝統に状況をしぼって書いています。一方で、日本にあって、たまにデモに行ったり集会に参加したりする人間としては、不服従に限らず異議申し立ての運動一般を日本においてどう正当化するか、ということについて考えたい。正当化なんかいらない、やりゃあいいんだ、という考えもあるわけだけど、正当だと思ってるから活動するわけで、その理屈付けはやらないよりはやった方がいい。

「暴力について」(1969年)

新左翼の学生運動が、歴史を転回させる契機として暴力を礼賛していること、およびその理論的支柱となっているサルトルやファノンの主張に対する批判的論考です。とりわけ毛沢東の「権力は銃身から生じる」というスローガンに対抗して(p. 105)、暴力は権力を破壊しはしても、作り出すことはない、と主張しています(p. 145)。

著者によれば、マックス・ヴェーバーをはじめ、左翼・右翼を問わずほとんどあらゆる論者は、他人に対して正統的に行為を強制できる能力として権力を定義し、また「暴力を権力の最もあからさまな顕現と定義」しています(pp. 125-127)。しかしながらこれは大間違いであって、「権力の極端な形態とは、全員が一人に敵対するものであり、暴力の極端な形態とは、一人が全員に敵対するものである」(p. 131)、つまり正反対のものであると著者は主張します。

権力(power)・力(strength)・強制力(force)・権威(authority)・暴力(violence)、以上の語についての著者の定義は次のとおりです(あんまり整理された気がしないんですけど)。

権力 (power)
「他者と一致して行為する人間の能力」(p. 133)。したがって権力は究極的には人民に属する。
力 (strength)
なんらかの実体の特質(p. 134)。どんな「特質」かアーレントは明示してないんだけど、まあだいたい分かります。その実体がいかに強いかを表す特質、ということでしょう。
強制力 (force)
なんらかの運動から発生されたエネルギー。 *1
権威 (authority)
「それに従うように求められた者が、疑問を差し挟むことなくそれを承認することによって保証される」もの(pp. 134-135)。
暴力 (violence)
「道具を用いる (instrumental) という特徴によって識別される」(p. 135)*2

以上の整理の上に立って著者は、暴力と権力が正面衝突したときは、常に暴力が勝利をおさめるが(宮川による例: どんなに大規模でよく組織された熱いデモや集会も、軍が戦車を突っ込ませたらひとたまりもない)、そこにおいて暴力の担い手は自らの権力の基盤である人民の一致をむしばむという代償を負うことになります(p. 143)。この意味において、「暴力は権力を破壊することはできるが、権力を創造することはまったくできない」(p. 145)。

「暴力について」に関する考察

暴力と権力を厳格に区別するべきだ、という主張は正当です。しかし、「暴力は権力を破壊することはできるが、権力を創造することはまったくできない」という主張については、明確に間違っていると考えます。

つっこみどころは二段階に分けられます。

ひとつめのつっこみどころは、結局アーレントが論じている暴力の形態は、少数の支配者が行使する多数の被支配者に対する暴力だけであるということです。「暴力の極端な形態とは、一人が全員に敵対するものである」とアーレントは述べていますが、「一人/少数者に対する全員の暴力」や「外部に対する共同体全員の暴力」を「極端な形態」と呼んでまずい理由はないと思われます。

ふたつめのつっこみどころは、とりわけ「一人/少数者に対する全員の暴力」の形態において、「暴力が権力を創造する」ことは現実に起きる、ということです。

少数の「支配者」に対する暴力としては、フランス革命やロシア革命における王族に対する暴力と、それに引き続く革命権力が例示できます。ただしアーレントの考えでは、これらは人民が既に新たな権力を確立したところで行われた、副次的な暴力の発現とみなされるのかもしれません。

より興味深いのは、支配者でない少数者に対する全員の暴力です。これはルネ・ジラールが「いけにえに対する暴力」として主張したものの典型であり、これはまさにアーレントの言う「権力(=共同体の一致)」を作り出すものとして提示されています。ジラールは『暴力と聖なるもの』において、共同体の危機(疑心暗鬼、信頼の崩壊、アーレントの言う「権力」の崩壊)において、共同体の周縁にいる少数者(理念的には一人)に対して危機の責任を押し付ける同意が生まれ(疫病を持ち込んだのはあいつだ!)、共同体全員の暴力がふるわれ、結果として疑心暗鬼が消え去り、共同体が再度結束する(アーレントの用語法では、「権力」が再生する)、というメカニズムを提示しています*3。このメカニズム自体は実際そうだよね、と言わざるをえない。ここで近世東欧におけるポグロムや、関東大震災の際の朝鮮人虐殺を思い起こしてもいいし、ベッキーに対するバッシングを思い起こしてもいいのですが、よりプリミティブな例として、小説ではありますが、ボルヘスの「じゃま者」という短編を紹介します。

「じゃま者」の主人公は仲の良いガウチョの兄弟。兄貴が女を連れて帰ってきてよろしくやってたのが、弟がこれに横恋慕してギクシャクしはじめる。なんだかんだあって、兄弟で女を「共有」するようになるんだけど、やっぱりどうもうまくない。結局は諸悪の根源である女を殺して埋めて、兄弟ひしと抱き合って泣く、という話。「男社会」ってまさにこれですよね。

というわけで、アーレントは暴力が発揮される状況としてごく限られた状況を想定しており、それ以外の状況においては、まさに暴力が権力を創造することがあり得る。それは単なる偶然とか同時発生ではなくて、前者が後者を生み出すようなメカニズムによって説明できる、と言えます。

もうひとつ、アーレントがファノンやサルトルを単なる暴力の礼賛者として書いていることについて。「ちげーぞ!」とは思うのですが、どう違うのかよく分かってないこと、アーレント自身があんまり筆をつくしていないこともあるので、「ちげーぞ!」にとどめておきます。

*1:んー?よくわからん。

*2:instrumentalの訳は「手段的」の方がよいのではないかと思うのですが、p. 131では「後者(引用者註: 暴力の極端な形態)は道具がなければおよそ不可能である」とも主張しているので、「道具的」で正しいのかも。

*3:自分の卒論「ルネ・ジラールの聖暴力論の射程」: http://ripjohn.net/article/2008_01_31_sotsugyourobun.pdf

2016-05-04

[] 修善寺・西伊豆

阿蘇を再訪するつもりだったのですが、大地震で行けなくなってしまいました。長い休みに出かけないと腐って死ぬので、伊豆を旅行しました。

修善寺

修善寺は中伊豆の桂川のほとりにある、感じのよい温泉地です。川にそって500メートルくらいの筋に、宿や商家が立ち並んでいます。

当地に押し込められて非業の死を遂げた源範頼と頼家の墓所がありました。頼家の墓は繁華なところで、わきに指月殿というお堂まで建っていますが、範頼の墓はさびしい山の中です。お寺からすこし下った民芸店には、修禅寺物語の元となった、頼家の木彫の面が売られていました。

スマートボールと射的の遊技場は、店主が大変なおばあさんでした。

ジオリア

温泉街と駅の中間に、ジオリアという小さな地質学博物館があります。伊豆半島の成り立ちを解説する展示で、地層マニアにはたまらないだろう場所です。

堂ヶ島

バスで西伊豆に出ました。堂ヶ島は火山堆積物の地層が波に削られて断崖や洞窟を形成しているところで、ずいぶんな奇観です。遊覧船に乗ると海岸の景色や洞窟の中が眺められます。

長八美術館

西伊豆をさらに下ると松崎という町に出ます。当地に生まれた入江長八の美術館がありました。長八は左官の名工で、漆喰細工と絵画を融合したような、鏝絵という技法を完成した人だそうです。緻密な描線のひとつひとつに、文字通りの奥行きがつけられています。

2016-03-27

[] 白鵬と稀勢の里

稀勢の里は悪いところがありませんでした。白鵬と日馬富士に負けるのはしかたない。でも、しかたなく負けているのでは優勝できないみたいです。

だいたい、白鵬に負けといて優勝しようってのは虫が良すぎる願いでした。甘い甘い国技館のあんみつよりも甘い。そんな甘かったら36回も優勝できないよ。千秋楽は、大一番に勢い込む日馬富士を見透かしたような変化でした。これが白鵬で、これが勝負で、これが現実です。世界は白鵬を中心に回ってるんだ。

[] 大相撲2016年春場所 心の三賞

今場所も三賞は琴勇輝の殊勲賞のみというシブチンだったので、心の三賞をあげます。

  • 殊勲賞: 琴勇輝(東前頭筆頭、12-3、金星(日馬富士)、本物の殊勲賞)
  • 敢闘賞: 勢(東前頭4枚目、10-5)
  • 技能賞: 正代(西前頭6枚目、9-6)

琴勇輝は文句なし。本物の殊勲賞をもらいました。相手を見ていなしたり、技の幅が広がった気がします。

勢は千秋楽勝てば本物の敢闘賞で、負けたのでもらえませんでした。けちんぼ!

正代は差しての攻めがいかにも筋が良くてぐっとくるので、依怙贔屓で技能賞。来場所は上位と当たるので楽しみです。

[] 大相撲2016年春場所千秋楽

●5-10富士東(右上手出し投げ)11-4千代翔馬○

千代翔馬左に大きく変わって上手投げ、ついで右に飛んで上手を取って出し投げ。

○11-4逸ノ城(寄り切り)佐田の海7-8●

立って右四つ。佐田の海左に回り込もうとするが、逸ノ城正面に捉えて寄り切り。

佐田の海5場所連続負け越し。ざんねん。

○10-5御嶽海(寄り切り)正代9-6●

御嶽海当たって右から弾いて左四つ寄り切り。

○12-3琴勇輝(引き落とし)勢10-5●

突っ張り合い、勢右からいなして琴勇輝俵に詰まるが、再度向き直って、突っ張り合いから引き落とした。

○4-11栃煌山(送り出し)蒼国来5-8-2●

左四つ。栃煌山右で叩いて送り出し。

○7-8碧山(突き出し)豊ノ島3-12●

碧山終始突っ張って突き出し。

○4-11嘉風(寄り切り)照ノ富士8-7●

突っ張り合いから嘉風右差し、照ノ富士抱えるが嘉風構わず寄り切り。

●12-3豪栄道(寄り切り)稀勢の里13-2○

稀勢の里立ち合いすぐに左下手を引いて万全寄り切り。

これで稀勢の里は、結びで日馬富士が勝てば優勝決定戦。

○10-5鶴竜(左下手投げ)琴奨菊8-7●

鶴竜両差し。右で振って、左下手投げ。

琴奨菊の魔法は解けてしまったみたい。

●9-6日馬富士(突き落とし)白鵬14-1○

白鵬左に大きく変化。勢い込んだ日馬富士はそのまま土俵外へ。

白鵬優勝。実に勝負に辛い。

2016-03-26

[] 大相撲2016年春場所14日目

○10-4千代翔馬(寄り切り)誉富士9-5●

千代翔馬左四つ右前廻しで走り、腰を下ろして寄り切り。良い相撲。

○8-6北播磨(寄り切り)錦木9-5●

錦木が押し込もうとするところで上体が起き、北播磨両差しに飛び込んで寄り切り。

錦木ちょっともっさりしてた。

○13-1大砂嵐(左上手投げ)剣翔7-7●

大砂嵐右四つ左上手。あっさり片付けるかと思ったら時間がかかり、最後は剣翔が出るところ逆転の上手投げ。

大砂嵐左ひざが痛そう。

○9-4逸ノ城(叩き込み)里山6-8●

幕内の相撲。

互角に当たって、里山左差して行こうというところを叩かれた。

里山待望の幕内勝ち越しならず。ざんねん。

○8-6千代鳳(寄り倒し)玉鷲8-6●

突っ張り合いから千代鳳左四つで頭を付ける。玉鷲巻き替えて両差しになったが、千代鳳外四つで寄って出る。玉鷲俵に掛かって右からうっちゃりを試みるも逆転ならず。

●3-11豊響(引き落とし)大栄翔9-5○

豊響喉輪でぐいぐい押して、大栄翔は体勢が崩れるが、左に回り込むと豊響足がついていかずに前に落ちた。

●7-7大翔丸(叩き込み)佐田の海7-7○

佐田の海すぐに首根っこを叩くがこれは大翔丸落ちず。大翔丸が出るところを再度左から突き落とし。

●7-7貴ノ岩(寄り切り)徳勝龍7-7○

徳勝龍当たってすぐ叩くが貴ノ岩落ちない。土俵中央で左四つになおる。今度は徳勝龍が寄って寄り切り。

○9-5御嶽海(押し出し)千代大龍2-12●

御嶽海当たって右に変化。向き直って押し合いから今度は千代大龍が引いて、引くところを御嶽海押し出し。

○5-9豪風(押し出し)明瀬山4-10●

豪風左右おっつけから見事に突き起こして押し出し。

●3-11北太樹(寄り切り)魁聖10-4○

左四つで北太樹右上手。引きつけて寄ろうとするが魁聖体を入れ替えて上手出し投げから寄り切った。

北太樹これ勝てないのは辛い。

●6-8英乃海(寄り切り)正代9-5○

正代両差しで寄り切り。

○6-8碧山(突き出し)阿夢露6-8●

碧山景気よく突っ張って突き出し。

●6-8臥牙丸(左突き落とし)安美錦7-7○

安美錦ちょっと右張り手を見せて両差し。寄っておいて左に開いて突き落とし。おみごと。

○11-3琴勇輝(押し出し)妙義龍10-4●

両者なかなか手をつかないで腰を上げる。時間いっぱいから二度目の仕切り、今度は妙義龍が先に右手をつくところ、琴勇輝が土に触れるか触れないかぐらいで立ってぶちかまし、押し切った。

●5-7-2蒼国来(寄り切り)高安5-9○

左四つ。高安先に左下手取って押し込む。高安出るところ蒼国来上手投げを掛けるが逆転ならず。

○3-11栃煌山(左すくい投げ)松鳳山3-11●

栃煌山、松鳳山と突っかける。三度目で立って左四つ。栃煌山が左から肩透かしぎみの掬い投げ。

●6-8旭秀鵬(右すくい投げ)宝富士6-8○

旭秀鵬突き放して右四つ。宝富士出るかと見せて、右から強烈なすくい投げ。

●3-11嘉風(押し出し)栃ノ心5-9○

栃ノ心終始突っ張って押し出し。珍しい。押し出したあと、手のやり場に困る、という風情だった。

○7-7隠岐の海(押し出し)豊ノ島3-11●

豊ノ島一度つっかける。二度目、豊ノ島左四つ右上手で寄って出るが、止まったところ隠岐の海が巻き替えて両差し。豊ノ島すぐに左首投げで逃れようとするが、隠岐の海かまわず吹き飛ばした。

○12-2豪栄道(右首投げ)勢10-4●

勢両差し。豪栄道得意の右首投げで逆転。

●8-6照ノ富士(寄り切り)稀勢の里12-2○

照ノ富士二度突っかける。稀勢の里左おっつけて差し、右上手引いて万全。じっくり寄り切った。強い。

●9-5日馬富士(寄り切り)鶴竜9-5○

日馬富士ぶち当たって左四つ、と思ったら鶴竜巻き替えて両差し。日馬富士動きが止まって体が浮いて万事休す。

●8-6琴奨菊(左上手投げ)白鵬13-1○

白鵬右四つ左上手ですかさず上手投げ。すきがない。

千秋楽の結びは日馬富士-白鵬。稀勢の里ファンだという日馬富士には、ぜひ勝って場所を盛り上げてほしいところです。豪栄道もいるけどね。

2016-03-19

[] 大相撲2016年春場所7日目

○5-2千代翔馬(寄り切り)石浦3-4●

千代翔馬突っ張って右上手寄り切り。

○5-2遠藤(寄り切り)東龍4-3●

遠藤低くあたって突っ張りながら両差し寄り切り。

●4-3誉富士(押し出し)錦木6-1○

錦木ちょっと立ち遅れたが、誉富士の押しをおっつけて受け止め、左から逆襲押し出し。

○7-0大砂嵐(左上手投げ)輝4-3●

大砂嵐ぶちかまして突っ張って左上手、ぐるりと上手投げ。

●2-5北太樹(押し出し)大栄翔5-2○

幕の内の相撲。

大栄翔両ハズ押し。北太樹の叩きに踏ん張って押し出し。

○4-3大翔丸(押し出し)里山2-5●

里山頭を下げて左差し込もうとするがならず、大翔丸の左喉輪にのけぞって押し出された。うまくいかないねえ。

●2-5明瀬山(押し出し)玉鷲4-3○

玉鷲威勢よく突っ張る。明瀬山のカウンターで上体起きかけるが、再度突っ張って押し出し。

○4-3臥牙丸(押し出し)御嶽海4-3●

臥牙丸ぶちかましから突っ張り三発で押し出し。

●4-3千代鳳(押し出し)佐田の海2-5○

佐田の海右差せず、千代鳳左おっつけて押し出し。

○2-5豊響(押し出し)英ノ海3-4●

豊響右喉輪強烈。

ここまで幕の内の取組六番すべて押し出し。

○3-4徳勝龍(寄り切り)千代大龍1-6●

左四つ、千代大龍左下手廻し。徳勝龍前に出ながらながら右上手を取って寄り切り。

●4-3貴ノ岩(左下手出し投げ)阿夢露5-2○

貴ノ岩突っ張って出るが、阿夢露左下手を引いて回り込み、引き落とし気味の下手出し投げ。

○6-1逸ノ城(右下手投げ)魁聖4-3●

魁聖左にずれるような立ち合いで右四つ右下手廻し。逸ノ城は両廻しを引いた。魁聖も上手を取ってがっぷり。魁聖が寄るのを逸ノ城こらえ、再度寄るところを下手投げで崩した。

○3-4豪風(叩き込み)松鳳山1-6●

豪風突っ張っていくが松鳳山の喉輪があごをとらえる。豪風思い切って引き、土俵際左にくるりと回って叩き込み。

●3-4旭秀鵬(寄り切り)正代4-3○

一度立ち合い不成立。二度目、旭秀鵬が二本差すが、正代すぐに左巻き替えて寄り切り。

正代の右四つ得意ってめくらましなんじゃないかなあ。今日も躊躇なく左を巻き替えたし。

○7-0勢(右小手投げ)妙義龍5-2●

妙義龍右差し左おっつけから両差し。ぐいぐい出るところを勢右突き落とし/小手投げで逆転。

○4-3琴勇輝(押し出し)高安0-7●

ゴツンとかまし合い。琴勇輝右からいなして押し出し。

○2-5栃煌山(左すくい投げ)宝富士1-6●

栃煌山両差しではさみつけ、宝富士の巨躯は完全にコントロールされた。土俵中央での左すくい投げで、宝富士は浮き上がって土俵に落ちた。人間離れした強さ。

●1-6隠岐の海(寄り切り)稀勢の里7-0○

稀勢の里左おっつけて差し込んで右上手。両廻し引きつけて万全の寄り切り。

○6-1琴奨菊(左突き落とし)豊ノ島1-6●

琴奨菊右かかえて出るが豊ノ島両差しで腹を突き付けて押し戻した。豊ノ島両差しを頼みに猛攻を掛けるも、琴奨菊こらえて左から強烈突き落とし。良い相撲!

●1-4-2蒼国来(寄り切り)照ノ富士5-2○

蒼国来右を差していい形だが、照ノ富士二枚腰で動じなかった。

○6-1豪栄道(押し出し)安美錦4-3●

豪栄道鋭く当たって安美錦が引くところを押し出し。

○6-1鶴竜(叩き込み)嘉風2-5●

嘉風の突っ張りを鶴竜右にいなした。

●1-6栃ノ心(寄り切り)白鵬6-1○

白鵬左にずれて立ってすぐに上手を引く。右差しを突きつけて、こわいこわい栃ノ心の左腕を遠ざけながら上手廻しを引きつけて寄り切り。実にうまい。流れるようだ。

○5-2日馬富士(寄り切り)碧山3-4●

碧山の突っ張りを見るような日馬富士の立ち合い。突っ張り合いから中に入って寄り切り。冷静でした。

2016-03-13

[] 大相撲2016年春場所初日

○1-0明瀬山(寄り切り)北太樹0-1●

右四つ。明瀬山巻き替えて両差し。北太樹左をしぼって膠着。北太樹が右上手投げで振るところに明瀬山付け入って寄り切り。

●0-1里山(押し倒し)大栄翔1-0○

大栄翔の突っ張りを里山跳ね上げて潜り込もうとするが、大栄翔の両手突きでひっくり返った。

○1-0大翔丸(右掬い投げ)御嶽海0-1●

大翔丸右の差し手を突き付けて派手な掬い投げ。

●0-1千代鳳(引っ掛け)英乃海1-0○

千代鳳右差し左おっつけで終始攻める。千代鳳の寄りを英乃海こらえて頭四つ、英乃海が右に開いてひっかけた。

●0-1徳勝龍(寄り切り)阿夢露1-0○

徳勝龍突っ張るが阿夢露左を差して食いつく。阿夢露が寄るところ、徳勝龍回り込みながら右小手投げで逆転をはかるが、阿夢露の寄りが優った。

○1-0逸ノ城(寄り切り)玉鷲0-1●

玉鷲突っ張り、右張り手一発見舞って右差すが、右四つがっぷりになってしまった。逸ノ城が寄るのを玉鷲が左足を土俵にかけて二度こらえる。三度目で寄り切った。

○1-0臥牙丸(押し出し)佐田の海0-1●

佐田の海ちょっと突っ掛けたように見えたが立ち合い成立。突っ張り合いで佐田の海飛び込む機会をうかがうが、臥牙丸右の突きで吹っ飛ばした。

○1-0豊響(押し出し)千代大龍0-1●

豊響のぶちかまし一発で千代大龍後退、そのまま電車道。

○1-0貴ノ岩(左上手投げ)魁聖0-1●

右四つで貴ノ岩左上手。魁聖がもりもり出るところ、貴ノ岩破れかぶれの上手投げが決まった。

●0-1豪風(押し出し)正代1-0○

正代左差しかけるが、豪風に付き合って押し合い。豪風の引き足になんとか落ちずに押し出し。柔軟だ。

○1-0妙義龍(寄り切り)松鳳山0-1●

一度立ち合い不成立。突っ張り合い。妙義龍下がりながら右に回り込んで、組み付いて押し出し/寄り切り。

○1-0旭秀鵬(寄り切り)蒼国来0-1●

突っ張り合って左四つ。旭秀鵬引きつけて寄り切った。

○1-0勢(押し出し)安美錦0-1●

安美錦一発当たって引くところ、勢が両差しで押し出し。

●0-1嘉風(寄り切り)碧山1-0○

碧山外四つで寄り切り。

●0-1栃ノ心(寄り切り)照ノ富士1-0○

右四つ。栃ノ心一度巻き替えて両差しだが、すぐに照ノ富士右四つに直る。照ノ富士力強く引きつけて寄り切り。

栃ノ心相手にこの相撲なら心配ない。

○1-0豪栄道(寄り切り)隠岐の海0-1●

豪栄道右上手の前廻し、左を差して寄り切り。

ひさしぶりに豪栄道うまいと思った。

●0-1琴勇輝(右突き落とし)稀勢の里1-0○

突っ張り合いで間合いが離れたところを稀勢の里右突き落とし。

○1-0琴奨菊(寄り切り)高安0-1●

左四つ。琴奨菊廻しに手が掛からないが、構わず左差しからガンガン攻めて寄り切り。

先場所に引き続いて好調。

●0-1鶴竜(寄り切り)豊ノ島1-0○

鶴竜すぐに右上手。豊ノ島左の下手で半身気味。豊ノ島一度巻き替えるが、鶴竜これを嫌って離れて手四つ。豊ノ島が右の一枚廻しを取り、廻しが伸びるところを拝んで寄り切り。

鶴竜途中までうまく取ったけど、慎重すぎた気がする。

○1-0宝富士(寄り切り)白鵬0-1●

宝富士すぐに左を差した。白鵬まずいと見たか右で叩くところを、宝富士付け入って寄り切り!宝富士は対白鵬初勝利。

○1-0日馬富士(押し出し)栃煌山0-1●

栃煌山右差せず、日馬富士が弾き飛ばしてそのまま押し出し。

2016-02-08

[] Javaの正規表現における下位サロゲートの問題ある挙動

Javaの正規表現で下位サロゲートコードにマッチするパターンを書くと、完全なサロゲートペアの後半16ビットにマッチしてしまうことがあります。少なくとも、次のバージョンはそのような挙動を示します。

  • Oracle Hotspot 1.8.0_72
  • OpenJDK 1.8.0_66

詳細

次のパターンは、問題を起こす正規表現をJavaの文字列リテラルで表したものです。それぞれ、単一の下位サロゲートU+DC00あるいは下位サロゲート全体の文字クラス (U+DC00-U+DFFF) を表しています。

  • "\\udc00"
  • "\\x{dc00}"
  • "[\\udc00-\\udfff]"
  • "[\\x{dc00}-\\x{dfff}]"
  • "[\\p{blk=Low Surrogates}]"

この挙動は、最後のパターンを使って、孤立した下位サロゲートを検出するプログラムを書いている時に発見しました。孤立した下位サロゲートとは、上位サロゲートコード (U+D800-U+DBFF) に後続していない下位サロゲートのことです。UTF-16のエンコードにおいて、孤立したサロゲートコードは “ill-formed” と定義されていますが、Javaの文字列値はこのようなシーケンスを含む可能性があります。たとえば">>\udc00<<"のように。

上記のパターンは期待通りに孤立したサロゲートコードにマッチしましたが、完全なサロゲートペアの後半16ビットにもマッチしてしまいました。たとえば、コードポイントU+010000を表す"\ud800\udc00"の、2つめのcharにマッチしてしまいます。

Pattern regex = Pattern.compile("[\\p{blk=Low Surrogates}]");
Matcher matcher = regex.matcher("\ud800\udc00");  // U+010000
System.out.println(matcher.find());   // => true
System.out.println(matcher.start());  // => 1
System.out.println(matcher.end());    // => 2

この挙動は、Unicode Technical Standard #18 の “RL1.7 Supplementary Code Points”に違反しているように見えます。ここでは次のように規定されています。

UTF-16を使う場合、先行するサロゲートと後続するサロゲートのペアからなるシーケンスは、マッチにおいて単一のコードポイントとして扱わなければならない。

回避策

生のサロゲートコードをPattern#compileに渡して生成したパターンは、孤立したサロゲートコードのみにマッチし、完全なサロゲートペアの一部にはマッチしません。

Pattern p1 = Pattern.compile("\udc00");
System.out.println(p1.matcher("\ud800\udc00").find());
System.out.println(p1.matcher(">>\udc00<<").find());
// => false true

Pattern p2 = Pattern.compile("[\udc00-\udfff]");
System.out.println(p2.matcher("\ud800\udc00").find());
System.out.println(p2.matcher(">>\udc00<<").find());
// => false true

ステータス

2月7日にJava Bug Reportに報告しました。進展があることを願っています。

JDK-8149446として登録されていました。*1

[] Problematic behavior about low surrogate codes in Java regex patterns

Regex patterns or partial patterns representing low surrogate codes wrongly match the latter half of complete surrogate pairs. At least the following JRE versions are affected.

  • Oracle Hotspot 1.8.0_72
  • OpenJDK 1.8.0_66

Description

The following are example patterns, in Java string literal, which cause the problem. Each represents a low surrogate code U+DC00 or the range of low surrogate codes (U+DC00-U+DFFF).

  • "\\udc00"
  • "\\x{dc00}"
  • "[\\udc00-\\udfff]"
  • "[\\x{dc00}-\\x{dfff}]"
  • "[\\p{blk=Low Surrogates}]"

Actually I used the last pattern to detect isolated surrogate codes, that is, low surrogate codes which are not leaded by high surrogate codes (U+D800-U+DBFF). Isolated surrogate codes are “ill-formed” in UTF-16 encoding, but Java strings may contain those surrogate codes such as ">>\udc00<<".

The pattern matches isolated surrogates as expected, but it also matches the latter half of complete surrogate pairs such as "\ud800\udc00", which represents a single codepoint U+010000.

Pattern regex = Pattern.compile("[\\p{blk=Low Surrogates}]");
Matcher matcher = regex.matcher("\ud800\udc00");  // U+010000
System.out.println(matcher.find());   // => true
System.out.println(matcher.start());  // => 1
System.out.println(matcher.end());    // => 2

Such behavior seems to violate a requirement “RL1.7 Supplementary Code Points” in Unicode Technical Standard #18, which says:

where UTF-16 is used, a sequence consisting of a leading surrogate followed by a trailing surrogate shall be handled as a single code point in matching.

Workaround

When passing raw surrogate codes to Pattern#compile, resulted regex patterns only match isolated ones, and do not match parts of complete surrogate pairs.

Pattern p1 = Pattern.compile("\udc00");
System.out.println(p1.matcher("\ud800\udc00").find());
System.out.println(p1.matcher(">>\udc00<<").find());
// => false true

Pattern p2 = Pattern.compile("[\udc00-\udfff]");
System.out.println(p2.matcher("\ud800\udc00").find());
System.out.println(p2.matcher(">>\udc00<<").find());
// => false true

Status

I have reported the issue on Java Bug Report on 2016-02-07. I'm hoping it will be processed.

The issue has been registered as JDK-8149446. *2

*1:2月10日8:30追記。

*2:Edited on Feb. 10 at 08:30 AM JST.