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みやきち日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-03-31-Sun

子ども10人、パパ2人。あるゲイ・ファミリーの物語。

Gay Star Newsが、養子を10人育てているゲイ・ファーザーへのインタビュー記事を掲載しています。たいへんおもしろかったので、内容をざっくりまとめてご紹介。

元記事は以下。

インタビューに答えているのは、米国ミシガン州在住のクリント・マコーマックさん。パートナーのブライアンさんとともに、10人の男の子を育てています。子どもたちはいちばん上が20歳、いちばん下が4歳。ずっと子どもが欲しかったと語るクリントさんですが、ブライアンさんともども、まさか10人育てることになるとは思っていなかったそうです。

ゲイ家庭で子ども10人って、どんな風なの?

百聞は一見にしかず、まず映像で見てみてくださいな。以下、この家族を撮ったドキュメンタリー番組『10 kids, 2 dads』の予告編です。

  1. シリーズ全体の予告編。
  2. いじめと誕生日の回の予告編。
  3. ペンキ塗りとレモネード作りの回の予告編。

なぜ10人も育てることになったのか

クリントさんはもともと大家族出身。兄弟が5人、姉妹が2人いて、しかも両親が里子も預かっていたため、家の中に常に小さい子がいる環境で育ったのだそうです。それでずっと子どもが欲しいと思っていて、ブライアンさんと話し合って最初の息子キーガンくんを迎えたのが1998年のこと。そこから次々引き取っていって、結局10人になったのだそうです。

中にはクリントさんたちがゲイだと知って家の中に入れるのを嫌がった里親(養子候補を預かっている人)もいれば、逆に「ゲイカップルを養親に」と望む母親も複数いたとのこと。「どうして10人なのか」と訊かれるたび、クリントさんとブライアンさんは「たまたまこうなっちゃったんだ」(‘it just happened’)と答えているんだそうです。

養子が全員アフリカ系なわけ

この家ではパパ2人は白人ですが、子どもたちは全員アフリカ系アメリカ人。これは単なる偶然で、事実ひとり目の子を引き取るまでにクリントさんたちが面会した妊婦さんたち(生まれてくる赤ちゃんの養親候補を探している人たち)には白人も黒人もいたんだそうです。キーガンくんの産みの親はふたりが7人目に会った妊婦さんで、白人と黒人の両方の血をひいており、養親が白人でも気にしなかったとのこと。そうは言っても98〜99年当時はまだ、白人の親がアフリカ系の子どもを連れているとジロジロ見てくる人がいたのだそうですが、クリントさんは幼い息子に、そういう連中には中指を立ててやれと教えてやったそうです。以下、クリントさんの弁。

子どもにやらせるにはベストなことではなかったかもしれませんが、息子には自分は今いる家族の中にいていいんだと知ってほしかったのです。

It might not be the best thing to do for a child but I wanted him to know it was ok to be in the family he was in.

10 kids, 2 dads: The world’s biggest gay family? | Gay Star News

養子が全員男の子なわけ

本当は女の子もほしかったのに、養子縁組斡旋所からはほとんど女の子の紹介が来なかったのだそうです。唯一紹介された13歳の子には放火癖があったため、引き取るのを断念したんだって。

ちなみに男の子ばかり10人もいると「毎日ドラマが起こる」そうですが、子どもたちはフットボールに熱中したり(フットボールで奨学金をもらった子もいるそうです)、お手伝いをしたり、上の子が下の子をかわいがったり(あまりに面倒見がよすぎて『乳母』(wet nurse)というニックネームをつけられた子もいるとか)しつつ元気にやっている模様。10人連れてレストランに行くと、この子たちにデザートをおごりたがる人が多くて、子どもたちはたいへん喜んでいるそうです。

こんなこともありました

上の方で書いた、ゲイカップルだからと家の中に入れたがらなかった人というのはバプテスト派の牧師です。この牧師の家に預けられていたケイレブくん(当時3歳)がクリントさんたちの家に連れて来られて初めて、この子が脳性麻痺で足に装具をつけており、おまけに栄養失調だとわかりました。ケイレブくんは3歳にして体重が19ポンド(約8.6kg)しかなく、将来精神障害が残る可能性もありました。誰もクリントさんたちにそのことを教えなかったんです。ふたりのパパは「うちが引き取らずに誰が引き取るんだ」とケイレブくんを養子にし、それから丸2年、1日おきの通院を続けました。13歳の今、ケイレブくんは身体こそ弱いものの、学校の普通クラスで元気にやっています。

養子たちの中には他に、「自傷癖がある」とか、「精神障害がある」などと言われていた子もいるそうですが、前者はこの家に来てから明るく外向的な子になり、後者は小学4年生にして数学と理科の才能があるとわかったとのこと。

いじめや同性婚について

同性婚反対派が唱える「ゲイの親を持つ子はいじめられる」説について、クリントさんはこう話しています。

うちの子たちの行っている学校は、わたしがいじめをどう思っているか知っています。子どもがいじめられたらわたしがどんなに怒るかわかっているので、学校は特に用心して事を未然のうちに防いでいると思います。

そんなわけで、うちの子が他の子よりいじめられるとは思いませんね。息子たちにはいつも、誰かに1度は殴らせても2度目はないと思い知らせろと教えてきました。やり返してボコボコにするから、2度目はないぞと。そんな風にして育ててきています。

The schools know where I stand with bullying. They know I could be an extreme pain in their ass if it happened to my children so I think they take special precautions and if anything does arise they nip it in the bud.

So I don’t feel our children are bullied any more than any other kid. I have always taught the kids let someone hit you once but never give them the chance to hit you again and make sure they know that. Because then you beat the shit out of them. And that’s how we’ve brought up our kids.

10 kids, 2 dads: The world’s biggest gay family? | Gay Star News

同性婚については、こう。

わたしは結婚したいと願っています。ブライアンもです。ニュージャージーでは、わたしたちは両方とも子どもの親として認められます。しかし、うちの子のうちふたりはミシガン出身、ひとりはネバダ出身、もうひとりはノース・カロライナ出身です。この子たちの出生証明書にはわたしの名前を載せることができません。子どもにはずっと、そのことを隠しているんです。

I wish we could get married, so does Bryan. In New Jersey we are allowed to adopt our children together. But we have two children who were born in Michigan, a child that was born in Nevada and a child that was born in North Carolina. And I was unable to be put on the birth certificates of those children. I’ve always kept it a secret.

10 kids, 2 dads: The world’s biggest gay family? | Gay Star News

このパパたちが最初にひきとったキーガンくんは、ニュージャージー生まれではありません。そこでクリントさんは、出生証明書のコピーをとり、そこにタイプライターで自分の名前を打ち込んだものを見せていたのだそうです。ところが2年前、学校の書類の関係で本当のことがばれてしまい、キーガンくんはものすごくショックを受けたのだそうです。

あと3回あれと同じことをしたいとは思いません。子どもたちにとっては大切なことなのですから、あんな苦痛をうちの子たちに味わわせたくありません。

I don’t want to have to do that three more times. I don’t want to put our children through that pain because it means a lot to them.

10 kids, 2 dads: The world’s biggest gay family? | Gay Star News

これから親になる人たちへ、クリントさんからアドバイス(要約)

  • 養子を迎えるのなら、大きな子にチャンスを与えることを考えてやってほしい。
  • フォスター・ケア(養護施設や里親制度など)で育てられている子たちはひどい仕打ちを受け、周囲から「この子には大きな問題がある」と誤解されることが多い。でも、子どもに貼り付けられたラベルが必ずしも正しいとは限らない。ラベルの行間を読むことが大事。
  • 親として新米なうちは何でも心配なものだが、そのうち「おしゃぶりを犬が舐めてしまったって、子どもは死なない」とわかるよ。

感想など

10人という人数にまずびっくりしたけど、子どもが大好きでしかも甲斐性があればできることだよね。世の中には家庭が必要な子どもも、子どもを育てたい同性カップルも山ほどいるんだから、もっとこういう養子縁組が増えればいいのに。

「同性愛者は子どもを持たない」と思い込んで、その思い込みをゲイバッシングの口実にしている人たちは、まず自分もこれぐらい育ててみればいいんじゃないでしょうか。できるもんならね。

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