JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺) 所属税理士の日記

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士です。 税法や会計など、特に重要な話を抜粋したミラーブログです。

消費税の仕組み(その7)

(その6)を読む< >(その8)を読む


国税庁ホームページ吉祥寺(武蔵野市三鷹市)の税理士事務所、

宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。


消費税の仕入れ税額控除について、

前回の(その6)では、

消費税非課税の商品である

「車イス」を製造販売しているメーカーでは、

納付する税額も還付される税額も共に存在せず、

材料の仕入れに関する消費税を

仕入先に支払うのみだということを説明しました。


この会社が「車イス」だけを

販売しているのであれば話はここで終わりますが、

しかし仮に、消費税の課税される「事務イス」の販売も

同時に行っているとしたら、どうなるかを

2回に分けて書いていきます。



まず今回は、原則的な計算方法。

この場合、原理原則どおりで一番分かりやすいのが、

「個別対応方式」と呼ばれるものです。


この方式を使う場合には、

その事業者が行う全ての課税仕入れにつき、

それが「課税売上」の為に使われるものなのか、

それとも「非課税売上」の為のものなのか、

厳密に、かつ個別に分けていく必要があります。


その上で、支払った消費税の内、

受け取った消費税に対応する部分のみを控除します。


図にしてみると、こんな感じです。



   (図12)


なお、この図には記載していませんけれども、

課税仕入れの区分を行っていくと当然の結果として、

それが「課税売上」の為のものなのか、

それとも「非課税売上」の為のものなのかが

はっきりと区分できないものが出てきます。


例えば、図で言うところのA社において

「事務イス」と「車イス」の双方を製造している

工場の電気代支払が315円あったとします。


そのうち「事務イス」の製造に使ったのは幾らか、

明確に区分することは、正直、難しいでしょう。


こういう区分困難な課税仕入のことは、

「課税売上と非課税売上の双方に共通して要する」

ものとして、その支払額を按分する計算を行います。


そこで用いる按分比率が、「課税売上割合」です。


これは読んで字のごとく、

課税対象である売上に占める課税売上の割合のことで、

その課税期間中においてその事業者が国内で行った

「課税資産の譲渡等の税抜対価の額」を

「資産の譲渡等の税抜対価の額」で割って算出します。


具体的には、後で示す(図13)をご覧下さい。



原則的な計算方法には、もう1つの方法があります。


それが、「一括比例配分方式」と呼ばれるもので、

こちらは、その事業年度に行われた課税仕入れにつき、

「個別対応方式」の時の区分に係らず、

その支払った消費税の総額に、

上記の課税売上割合を乗じて控除する税額を計算します。


(図12)の事例に「一括比例配分方式」を適用してみましょう。



   (図13)


ちなみに、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の

どちらを使って仕入税額控除の金額を計算するかは、

それぞれの事業者の任意選択にまかされています。


上の2つの図表のように、どちらを用いるかで

控除できる税額も変わってきますので、

しっかりと試算したうえで

どちらが有利かを見極める必要があるでしょう。


ただし、一度「一括比例配分方式」を選ぶと、

最低でも2年間は同方式を使い続けなければ

「個別対応方式」を選ぶことはできません。



また、一定の要件を満たす事業者は

上記の2つとは別の方法を適用することもできますが、

今回は既にかなり長くなってしまっていますので、

その方法については、次回、ご紹介いたします。