「大阪〜大都市は国家を超えるか」(砂原庸介著:中公新書)を読了しました。
『「大阪」という大都市の歴史をたどりながら、
2010年に橋下徹が提起した「大阪都構想」、
そして橋下と大阪維新の会が
多くの支持を得ることが可能となつた状況について考察してきた。』
本書の終章で、著者はこのように述べられています。
本書を読んで、いろいろと勉強になることが多かったのですが、
私が一番参考になったのは、
「大阪都構想」は、ふたつの論理を内包しているという指摘です。
著者によると、
そのひとつは、大都市としての成長を追求する「都市官僚制の論理」で、
もうひとつは、特別区への分権や民営化によって
事業ごとの効率性を求める「納税者の論理」だそうです。
そして、このふたつの論理は、
それぞれ大都市に対する異なる社会的要請に基づくものであるとして、
次のように説明されています。
『世界の大都市と伍していく「大阪」を実現するために、
強いリーダーシッブが必要であるという要請からは、
そのために必要な権限・財源を求める「都市官僚制の論理」が浮上する。
他方、高度経済成長の終焉によって財政資源が制約されるなかで、
大都市が経済に働きかけて成長を続けることが信じられない人々には、
「納税者の論理」を強調する提案が有力な選択肢になるだろう。
問題は、現在の「大阪都構想」が、ふたつの論理をいずれも強調し、
それが両立することを暗黙の前提としていることである。』
さて、「大阪」という大都市は、果たして国家を超えることができるのでしょうか?
この本を読んで、「国のかたち」を決めることや
「真の地方自治」を実現することが、いかに難しいかを思い知った次第です。
- 作者: 砂原庸介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 新書
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