ことのはのカケラ

2008/09/03

異国の空

| 23:54

夜明け間もない静かな街に
スーツケースのキャスター
小気味よく歩道に響く

くすんだ色の空を見上げ
メロディを口ずさむ

幾度となく歌ったその歌の
題名を思い出せないまま
次の街を目指して僕は歩いた

2008/08/31

夜明け

| 21:01

君に泣き顔は似合わないから
ほら顔を上げて涙を拭いて

光なき夜の世界に幕を下ろし
新たな朝を一緒に迎えよう

2008/08/12

朝焼け

| 00:16

どこからともなく
鳥のさえずりが聞こえ始めた

カーテンの隙間から
そっと窓の外をのぞき見ると
朝焼けで茜色に染まった雲が
静かにたなびいていた

思わずはっと息をのむ

昔から見慣れた景色なのに
ただ無心で眺めているだけで
心が洗われるような気がする

やがて窓から差し込む
柔らかな日差し

そんなところにいないで
早く外へおいでよと
誘っているかのような
眩く暖かな光のベール

溢れる涙をぬぐうこともできず
ただいつまでも立ち尽くし続けた

2008/08/09

エンゲージリング

| 17:12

いつまでも一緒にいよう

あの日の彼方の一言が
わたしにとっての
エンゲージリングだった

2008/07/19

帰り道

| 01:04

八年と三ヶ月
君と一緒に通った道

次の交差点を右に曲がると
僕らの団地が見えるはず

その距離
わずか二百メートル

だけどなぜか今日に限って
その距離が短くもどかしい

2008/07/12

ティータイム

| 23:51

異国の街での
一人きりのティータイム

微笑みながら
見つめ合う恋人たち
なぜか胸が痛む

あなたは今
どこで何をしているの?

忘れるために
旅に出たはずなのに
思い浮かぶのは
あなたのことばかり

2008/07/06

祈り

| 21:14

静かに目を閉じ
両手を合わせ
虚空に向かって
低頭する

何を祈るか欲するか

その表情はただ美しく

2008/06/29

夜雨

| 22:23

いつもあなたに逢いたくて
ただ声が聞きたくて

時を刻む秒針とともに
眠れぬ夜を数える

どれだけ募らせても
声なき想いはあなたに届かない

分かっている
そんなの分かっている

当たり前のことなのに
それがただ悲しくて

2008/06/23

綿雲

| 23:41

洗濯かごを両手で抱え
ベランダに出たところで
思わず足が止まる

柔らかな日差しに
ほんのり染まりながら
ゆったりとただよい流れる
綿菓子のような雲のかたまり

ふと我に返り
大きく伸びをしてから
目を閉じて深呼吸

今日も一日
いい日でありますように

2008/06/08

空の色

| 07:36

暮れなずむ景色が涙で滲み
カメラを下ろして目をこする

心が痛むわけは
自分でも分かっている

だから神様

あと少し
ほんの少しだけでいいから
この空の色を留めておいて
もらえませんか