水色石の雑記帳

2018年05月01日

[][]「リズと青い鳥

http://liz-bluebird.com/


瑞々しくて、少し痛くて切ない、少女たちの青春物語


90分という時間的にも、内容的にも決して大作という感じではなく、中編良作という言葉が当てはまりそうな映画でしたが、心に染み入るような一作でした。


鎧塚みぞれと傘木希美。二人の微妙距離とそれぞれの歩みを、「リズと青い鳥」という童話と重ね合わせて描くセンスが素敵です。


さらにそれを生かしていたのが、京アニらしい作画力もさることながら、音の良さでしょう。映画館で観るという行為において、自宅のテレビと最も違うのは音響じゃないかと思いますが、最初の登校シーンでの足音と、それに合わせた音楽だけでやられたって感じです。もちろん、一つのクライマックスと言える吹奏楽演奏シーンでも、劇場メリットは存分に感じられました。家だとあん大音量再生できませんしねえ。


で、物語についてですが、もう余計な口を挟めないような密度でしたので、あらためて語ることもないような気が。でもあえて言えば、二人が「友人同士」であることは間違いなくとも、みぞれにとっての希美と、希美にとってのみぞれは重みが違っていた、ということなんでしょうねえ。それは「大好きのハグ」のところで明確に、そしてみぞれにとっては少々残酷にあらわれてしまっていて。でも、だからといって希美が悪いというものでもなく、二人が喧嘩するわけでもない。みぞれが希美の少し後ろを歩くのも変わらない。ただ、みぞれが少し、希美から離れて羽ばたくことを決めた、そんなお話。良い「ハッピーエンド」でした。



それにしても、なぜスタッフはこの作品に「響け! ユーフォニアム」の名前を冠さなかったのだろう、というのが興味深いところで。最初にこの「リズと青い鳥」のタイトルだけ聞いたときは、まったく別のオリジナルアニメかと思ってましたよ(まあ、それでも山田監督京アニなら見たでしょうが)。ユーフォ名前を関しておけばより分かりやすくTV版のファンを引き込めたでしょうに。


ただもちろん、制作だってそんな事は分かっていたことでしょう。それでもあえて外した。あくまで別作品として存在させたかったということと、加えて、ユーフォのTV版を見ていない層にも見てもらいたかたからでしょうか。


考えてみれば、「違う層に見てもらいたい」という思想キャラデザにもあらわれていますね。どちらかと言うと男性向けの萌え要素が多めだったTV版から少女小説的な、雰囲気の落ち着いた本作へ。平たくいえば、男性向けのTV版と、女性向け、それもキャラと同年代である少女向けの作品にチェンジした、ということなのでしょう。


興行的にはなかなか大きな賭けであるようにも思われますが、良作なのは間違いないので成功してもらいたいものです。ただまあ、全体的には地味めなお話なので、大ヒットというのは難しい気もしますが……。いや、ほんとに頑張ってほしい。

2018年03月18日

[]結城友奈は勇者である -結城友奈の章- 一気感想

Dlifeで始まった再放送自動録画されていたのを機に視聴です。そもそもこれまで、Dlifeなるチャンネルが有ることすら知らなかったですが、作品自体は知っておりました。「ゆゆゆ」こと「結城友奈は勇者である」。リアルタイム放送時には多分まるっきりスルーしてたと思います。多分、「勇者である」というタイトルコミカルものイメージしてしまったんでしょう。実際は全然そんなことなかったわけですが。ええと、2014年10月ということはSHIROBAKOと同じ時期ですか。SHIROBAKOってもうそんなに前なのか、と軽くショックを受けます


1話を見て、おお、これは良作な感じだ、とばかりに毎週待っている気になれず、取り出しましたるはAmazonプライムビデオ。本格的に使用したのは初めてですが、これまでは「PCとかスマホとかじゃないと見るの大変なんでしょ?」という先入観がありました。しかし、PS4アプリ使用すればTVでも簡単に見られる。しかも、比較の結果Dlifeよりも明らかに画質が良いということで、すっかり感心でしたよ。やるなAmazon。聞くところによるとNetflixもっと画質が良いとも聞きますが、どうなんでしょうかね。いずれにしてもAmazonプライム会員のコスパの良さは圧倒的ですが。


で、お話です。「讃州中学校勇者部」の面々が世界危機に本当に変身して戦うことになってしまったよ、というところから、しだいに世界の仕組みが明かされるシリアスな終盤まで。全12話にして中身が濃かったです。しかし、タイトルからはこんなに魔法少女的な話とは想像してなかったですよ。


まず勇者部という物々しい名前は何かと思ったら、実際にはボランティア活動的な部活であったということが冒頭で示されつつ、実はそれは隠れ蓑で本当に勇者となるための人材を集めていたんだよとくる。上手いですね。そして、「神樹様に拝」とか西暦とは違う暦とかで、はっきりとはしないまでも少し不穏な空気を出していくのが良いです。


順調にパワーアップして敵を倒していってというところで、体の不調が出てきたところから一気に不穏な空気に。「大赦からは治ると知らされつつも、いかにも「これは治らないな」的雰囲気を醸し出していきます。こう言ってはなんですが、風みたいに片目だけならまだしも(とは言え、実際片目が見えなくなったら大変でしょうが)、友奈の味覚とか、樹の声とかは相当にきつい。特に味覚がなくなっては辛いでしょう。


そして明かされる世界真実。壁の外は人類の敵であるバーテックスたちの領域であり、人類は神樹に「勇者」を捧げることにより生き延びていたのであったと。勇者たちは力を得る代わりに体の感覚を神樹に奪い取られ、いつまでも戦いに明け暮れるだけの日々が待っていると。


この重苦しさと絶望感と言ったら。風が大赦に殴り込みをかけようとしたのも理解できます。というか、むしろそのまま突っ込んでほしかったくらいで。しかし、さら過激な美森の行動で物語クライマックスへ急展開。それでも、勇者活躍により世界危機は救われ、皆、また笑って過ごせるのでした。めでたしめでたしと。


正直、このままバッドエンド、バッドまでは行かないにしろビターエンドに収まるのかと思っていただけに、最後に一気にハッピーエンドに持ってくる力技には驚きました。嬉しい反面、ご都合主義という言葉がでかけますが、よく考えるとこれは、神樹が美森の反抗に肝を冷やしたということなのではないか、ということで僕の中では納得しております。つまり「まずい、こいつらを怒らせると何をされるか分からん」と恐れた神樹が彼女たちのくびきを解いたのではないかと。身も蓋もない発想ですが、辻褄は合うはず。そう考えれば、いたずらに危機を招いただけに見える美森の軽はずみな行動も、ラスト幸福につながっていたんですなあ。


やっぱり勇者物語にはハッピーエンドがよく似合うのです。勇者部五箇条! なるべく諦めない!


さて、そんなこんなで存分に楽しませていただきました。全体的な印象としては(散々言われているでしょうが)「ああ、これはまどか後の作品なんだなあ」というものまどか意識というか、影響を受けているのは間違いないんでしょうね。ただ、その上で違いを上げるのならば、彼女たちの絆の強さでしょうか。まどか場合、割と個々に分散しちゃってましたし。あ、あとキュゥべえがいない(笑)精霊はいましたが、直接的な悪さはしてませんから


あえてキュゥべえ的な存在を挙げるのならば大赦ということになるのでしょうが、ここについてはちょっと描写薄かったですね。一応海&温泉旅行プレゼントしたり、夏凛の転入を認めたりと、最低限の善意はあるようですが、風の言うとおり、システムのことを伝えないで戦わせるのはひどい話と言わざるを得ず。ここは改革してもらわないとですな。


なお、大赦に限らず、大人存在感の薄いアニメではありました。友奈の両親とか何やってるんだか全然からない。もっとも、これは狙ってそうしているのでしょう。あくま中学生女子たちの勇気こそが主題ということで。


原作タカヒロさん。「アカメが斬る!」好きなんでそういう意味でも波長が合ったかもしれないです。


さて、主人公の話になります結城友奈ちゃん。さっき、両親が何をしているかからないと書きましたが、このネーミングセンスはなかなかです。一見「ゆう」がかぶって下手なように見えますが、韻を踏んでいて呼びやすい。


結局物語最後に締めたのは勇者の適正値が一番という、彼女の心の強さでした。最初から最後まで良い子でしたねえ、友奈。これが良い子すぎると逆に不自然で嫌味になってしまものですが、そうならないラインを上手いこと押さえていたような気がしますよ。まあ、一度くらいは一人で落ち込むようなシーンがあっても良かったかなとは思いますが。「おめでとう、そしてありがとう、友奈」です。


さて、これで感想も書けたことですし、次の「鷲尾須美の章」もいってみましょう。幸いそちらもAmazonにあるようですし。それにしても、美森の足とか精霊の数とか記憶とか、上手い伏線だったなあ。うならされましたよ。

2018年01月07日

[]カードキャプターさくら クリアカード編 第1話「さくらと透明なカード」

そのハイクオリティな出来栄えとさくらの可愛らしさで一世を風靡したカードキャプターさくら。1期放映より約20年の時を経てまさかの新作開始とは!


嬉しいような怖いような心地で1話を視聴しましたが、これが予想以上に良い感じであり、至福の一時でした。時の流れを感じさせないキャラクターたちに、良い意味で時代の変化を感じさせる画質の高さ。1期も十分に高い画質だったんですが、それを遥かに超える美麗さではないですか。TVアニメでこれだけ精細度の高い映像って、ひょっとしたら初めて見たかもしれません。


さて、お話の方は原作未読なのでまだなんともですが、中学生になったさくらと小狼と知世たちでした。正直、小学校の制服とあまり見分けがつきませんが……。なぜか透明になってしまったカードをどうにかしていくということで、しっかり知世ちゃん製コスチュームに身を包んだカードキャプターの活躍を堪能できそうでありますね。


OPとEDもグッド。OPは1期を彷彿とさせる部分があり、EDは本編とは一味違う画風が素敵です。


浅香監督はじめ当時のスタッフが揃っているので期待はしていましたが、これなら文句なく、今期一番楽しみな作品となりそうです。


それにしても、中学への通学はローラースケートなしですか。まあ、もともと危険そうではありましたが。

2017年10月15日

[][]Fate/stay night [Heaven’s Feel]

我々は13年待ったのだ―――とでも言うべきところでしょうかねえ。とうとうこの時が来たか、と感慨深いFate・桜ルート、Heaven’s Feel編の開幕です。原作プレイ時に桜はかなり印象に残ったといいますか、応援したくなるキャラだったので、ここでようやく日の目を見ることになるのは嬉しいですねえ。もっとも、このルート自体は長くて鬱陶しくてグログロしいので一度しかプレイしておりません。適度に忘れているのが映画鑑賞上、さらにプラスになりそうです。


てことで、映画の内容ですが、3部作とは言えやはり多少のダイジェスト感はありましたかねえ。そこは原作の長さを考えればしょうがない。もっとも、UBWの劇場版と比べれば全然ゆっくりですが。逆に言えば、ケチを付けられそうなのはその程度で、全体的には大変力の入った素晴らしい出来栄えでした。監督のパンフレットコメントからしても、桜への愛を感じますよ。


構成として、最初に士郎と桜の出会った時期から描き出しているのが良いですね。だんだんと絆が深まっていく二人の姿があるから、桜がヒロインであるということが観客にもすんなりと入ってきます。そして、物語はおなじみの聖杯戦争開幕へと流れていくわけですが、セイバー召喚やランサーとの戦いをほぼすっぱりと省略したのは大英断でしょう。もうそのへんの共通ルート部分はFateファンなら何回も何十回も見ているところですからねえ。初見の人には優しくないかもしれませんが、そこで尺を取っちゃうのはもったいないという判断もあったことかと。


予想以上の迫力だったのがアクションシーンでした。もちろんZeroやUBWでもおなじみのufotableさんなので期待値は高めでしたが、期待以上のすごい画面。特にランサー対真アサシン戦はハイライトでしたね。これが劇場版の力ということでしょうか。「Heaven’s FeelもTVで見たかったなあ」などとぼんやり思ってもいたのですが、こんなクオリティを見せつけられては文句の言いようもありません。あとufotableさん関連で言うと、イリヤとセイバー、そして切嗣絡みのシーンでは、同じ本作がFate/Zeroの正統な後継作品であることを感じさせられたりもして、上手い演出でした。


さて、主人公である士郎と桜。士郎はあの災害のトラウマによって少しねじ曲がった性格になってしまっているわけですが、本ルートでの彼は一番人間味があるというか、比較的普通に見える気がします(まあそれでもバーサーカーに突っ込んでいったりするわけですが)。そしてそんな士郎に思いを寄せる桜ですが、普段の健気さの中に、時折見せる暗さと危うさがなんとも桜なわけです。士郎と慎二のケンカを止めるところの叫びが、普段の、「士郎の前で見せておきたい自分」から外れてしまった辛さが垣間見えて切ないといいますかねえ。境遇的にも人気的にも不憫な印象の彼女ですが、とにもかくにも本作メインヒロイン。全力で頑張ってもらいたいものです。


間桐臓硯と真アサシン勢の暗躍、「影」に飲み込まれていくランサーやセイバー。本ルートらしい不穏な空気を残しつつ、物語は次回へ。第2部は来年公開ということですが、来年のいつ頃なんですかね。第3部となるとさらに先になってしまうわけで、気の長い話です。まあ、冒頭に記したようにここまで13年待ったのですから、それに比べればどうということもないですか。まさか本作がここまで寿命の長いブランドになるとは、恐れ入りますよ。

2017年07月30日

[][]「魔法少女リリカルなのは Reflection」

http://www.nanoha.com/


さて、久々のなのはです。ちょっと迷ったんですよね。今回は監督も違いますし、なのは達もいまさらのように小学生に戻るようですし、迷走していやしないか、大丈夫かなと。それでも、考えてみれば僕も結構これまでなのはファンやってきましたし、一週間様子を見て評判もそれほど悪くないようなので行ってまいりました。音楽の中條美沙さんは続投なので安心。佐野広明さんはどうされてるんでしょう……。


どうもゲーム版のキャラや設定を一部持ってきているようですが、そちらは未プレイ。舞台時系列的にはA'sのあと数ヶ月というところのようで、魔法少女たちもいつも大きな戦いに巻き込まれて大変だなあと思ってしまうわけです。もうちょっとゆっくりさせてあげたい。というか、別に1年くらい飛ばして小学6年生にしちゃっても良かったんでないの、と思ったり。まあ、ゲーム版との整合性の絡みで難しいのかもしれませんが。SAOのオーディナル・スケールもマザーズ・ロザリオからたった2週間後の話らしいので、主人公は忙しいものですなあ……。


以下、微妙にネタバレしつつ。


ストーリー的には、キリエとアミティエの姉妹ゲンカに巻き込まれている感はありましたが、全体的にはしっかりと「なのは」でありました。考えてみれば、なのはは久々でも、この都築節は割と最近「ViVid Strike!」で見てましたっけねえ。キリエが家族のために無理をして悪役になってしまうのはシリーズのお約束的な部分がありますが、果たして彼女たちはこれからどうなってしまうのか。2部作なので後編をお楽しみに、と。


細かい点では、アリサとすずかの登場は嬉しかったですね。だいたい、アリサとすずかは本来、なのはの親友ポジションであるのに、すっかりフェイトやはやてにその座を取られてしまって寂しい話なのです。でも、少なくとも都築さんに忘れられてなくて良かったなあと。少々驚きだったのは、2人の両親まで割としっかり出てきてたことで、リンディも含めた母親組の交流は新鮮でしたね。もっとも、両親たちも割とフェイトの養子の話や魔法の話を受け入れているあたり、いったいどこまで魔法関連の話を秘匿しているのであろうかという疑問は生まれてしまいましたが……。


全体的にはバトル成分多めの出来でしたが、派手だった反面、単純な力押し&バインドたくさんという感じで、少々パターン不足が気になりました。あと、魔法攻撃はいまいち威力がわかりにくいというのも否めません。まあそこはいさらなのでしょうがいか……。


それと、やっぱりキャラが多いと。これはstrikersでも言えたことでしたが「味方が多い」→「敵も多くしないと」。ということで2倍に増えてしまう。難しいものです。「王様」のディアーチェたちは本来原作ゲームのキャラだったようですが、今作の範囲では、イリスにぽっと呼び出されて戦っているだけという感じで、キャラにあまり魅力を感じませんでしたねえ。後編では挽回がありますでしょうか。


最後になりますが、結局「なのははヒーロー!」ということで。僕がなのはシリーズで少々引っかかってきたのは、なのはが強すぎ、立派すぎというところだったんですが、今作のラストを見ると、もうそれでいいや、という気分にもなりました。彼女はすごい魔法でみんなを助けてくれるお姫様なんです。


……ま、アリサの前では少し年相応の表情も見せてましたけどね。こうしてスクリーンやテレビの前に映るとき以外の彼女は、そうした表情も多いと良いなあ、と結局思ってしまます


映画の点数にすれば75点くらいでしょうか。普通に楽しめましたし、後編も見にいくでしょうけど、1作目2作目の高い完成度に比べるとやっぱり点は落ちてしまますねえ。個人的には、なのは達が15歳くらいの時のエピソードをお願いしたいのですが。