山名沢湖『委員長お手をどうぞ (2)』

委員長お手をどうぞ 2 (アクションコミックス)

委員長お手をどうぞ 2 (アクションコミックス)

 すばらしい。
 すばらしい。
 すばらしい。
 おまけにもうひとつ、すばらしい。


 高校生活における様々な委員長を取り扱った、世界初の「委員長オムニバス」コミックの完結巻。本巻では飼育委員長、選挙管理委員長などが取り上げられています。


 これだけ読んでいてワクワクドキドキできる漫画も他にないでしょう。多種多様のかわいらしい少女(と少年)たちの織り成す愉快なラブコメ(あるいはその一歩手前)は微笑ましく、心がぴょんぴょん跳ねるような感覚を覚えます。誰も彼もがんばって高校生活を楽しんでいるものだから、いつの間にか見ているこっちまで楽しくなってしまうのです。


 山名沢湖の、日常における、普通は気づかないような小さなファンタジーを拾い上げて、ふわりと読者に提示するその手腕は本当に見事なもので、そういった面が前面に推しだされているのが『スミレステッチ』『白のふわふわ』などに収められた短編群だと思うのですが、本作ではファンタジックな面は(基本的には)隠し味程度になりをひそめ、代わりに多種多様で魅力的なキャラクターの織り成すラブコメ(あるいはその一歩手前)を中心に据えています。しかし、よく考えてみれば恋愛だって日常の中の小さなファンタジーなわけで、すると本作もやっぱり以前と変わらないファンタジーな漫画なのでした。


 本巻で一番印象に残ったのは「犬も喰わない選挙管理委員長」。他がストレートなラブコメとは少しずらした話作りになっている中、この話は妙にどストレートで逆に新鮮でした。あとは「卒業アルバム委員長の窓」の終わり方に、ひとつの時代の終わりを感じ取って物悲しくなりました。


 ひとたび読めば心があったまること請け合い。好きな人へのプレゼントにも最適です(本当か?)。
 魂を込めておすすめするので(僕の魂にどれだけの価値があるのかはわからないけれども)、みなさんぜひ読みましょう。読みましょう。本当にすばらしいですから!