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ゲームブック 温故屋

2015-05-10

文フリ購入本&感想

先日の文フリで購入した本の感想を書いておきます。
今回はファンタジーを多めにしました。
どの本もおもしろかったです。

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幻想植物ポケット図鑑』(超短編マッチ箱
20人以上の書き手によって生み出された、様々な幻想植物にまつわる超短編集。植物のイラスト及び解説と、それに関連した300〜500字程度の物語がセットになっています。幻想植物の数は全部で26。
私のいちばん好きな幻想植物は、葉原あきよさんの「スズランラン」。解説には「一本の茎に、金色の鈴のような花が十数個並んでつき、花を振ると音が鳴り、楽しくなる」とあります。この「楽しくなる」って部分がすごく好き。スズランランの音色を聞いて踊り狂うおばあさんの物語も良かったです。

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『カエルの超短編集』(超短編マッチ箱
カエルをモチーフにした超短編集。著者は、タカスギシンタロさんと松本楽志さん。
相変わらず想像力が刺激される超短編の数々、ああ心地よい、美しい。

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テーマコレクション 03ファンタジー』(ねこまた会)
奥付によると、ねこまた会は「5人の文字書きたちによる会」とのこと。
作品には、タイトルの「ファンタジー」の言葉通り、幻想的な雰囲気が漂う2つの素敵な掌編が収められています。

・「ワタリガラスのケーキ」(著・宮音詩織)
大切なお客をもてなすため、様々な場所でケーキの材料を集めるワタリガラスの子供の物語。健気でひたむきな主人公に、心の中で声援を送りながら読みました。
「です」「ます」調の文体が、安らぎを与えてくれます。

・「緑の娘と青の娘」(著・香月ひなた)
わがまま緑の娘&心優しい青の娘の姉妹主人公グリム童話風でいい感じだなと読み終えたら、筆者さんのあとがきにもそれを意識した旨が書いてありました。
関係ないですが、「(森に入って)道が二つに分かれている場所」という、ゲームブック者にとっておなじみのシーンが出てきてなんかおもしろかったです。

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『海に降る雪』(チャボ文庫
海辺の小さな街を舞台にした、美しくもどこか悲しげな雰囲気が漂う9つの短編集。
よけいな雑音がない、会話と波の音だけが聞こえてくるような、とても静かで不思議小説でした。表題作の「海に降る雪」がいちばん好み。

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12のはなし』(りとのとり)
干支の動物たちをモチーフにした12短編を収録。人との「つながり」をテーマにしており、ユーモアとあたたかさに包まれたほっこりする短編集でした。
小学生交換日記形式で話が進められる「【辰】たくさん」がとくにお気に入り。

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『動く〈〜萬華鏡奇談〜〉』(百福堂)
壊れた萬華鏡(万華鏡)の鏡を巡って起こる、不可思議ファンタジー登場人物たちのやり取りが楽しく、ほんわかした気持ちになれる物語でした。

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『箒木 第一回』(松笠書店
ある神社の古い絵詞(これが実在のものかどうかは不明)に書かれた文章を、著者さんの解釈も一部交えて現代語訳したもの。キツネの姿をした神様主人公
このコピー本原稿用紙に手書きの文字で書かれており、なるほどこういう表現方法もあるんだなと心を動かされたしだい。単に手書きのほうが楽だっただけかもしれませんが、手書き浮世離れした感じが作品にも合っていて、なんか新鮮でした。

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『絶海遺跡プラトイム』(お〜もりのゲームブック)
お〜もりさんの本格ゲームブック。項目数なんと700。
この本は、時間たっぷりあるときに腰を据えて遊びたいと思います。味噌グラムさんの挿絵もわくわくしますね。

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『突き抜け9』(突き抜け派)
個性豊かな執筆陣による短編小説集。今回久しぶりに購入したのですが、メンバーが増加しており今回は10編の小説が収められていました。『突き抜け』はいつもそうなのですが、執筆者1人ひとりの個性がとても強く作品に反映されていて、読んでいてとても楽しいです、体力を奪われるけど。
今回は「ライトノベル」のブース出展されていましたが、「ライトノベル」の要素あったかな??謎です。

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お仕事インタビュー(お試し版)』(さつき屋)
世の中には様々な職種がありますが、自分職種以外は案外わかんないものですよね。でも興味はある。
この作品は、社内システム管理をしている会社員の著者さんが、まったく違う職種の人から一般人としてはこんなイメージなんだけど、本当のところはどうなのよ!」と話を聞き、それをまとめたもの。今回頒布されていたのは、役者芸人の「山本ともだち」さんへのインタビュー演劇に進んだ経緯や役作りの工夫などが語られていました。
いろんな人生があるもんですね。

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『ペンネの日記』(A4しんちゃん)
5人の書き手によるエッセイ集(一部小説もあり)。
決して明るい内容ではないのに不幸自慢にならず、しかも笑えるのは書き手さんたちの力量によるものか。決して品があるわけではないのに(というかまったくない)、まるで「祈り」を聞いたかのような、まるで「遺書」を読んだかのような読後感。小川洋子さんの『人質の朗読会』を思い出しました。
どの作品おもしろかったのですが、とくに「断らない人」(著・こだま)は、ここ最近読んだあらゆる小説随筆凌駕するものでした。


以上です。

2012-11-10

『枕の供さ』(3G)

文学フリマで購入したおもしろかった本の感想を綴る文学フリマ書評のコーナー。
約10カ月ぶりとなる第11回目は、1年前の第13回文学フリマで購入した、
創作サークル3G」さんのショートショート集『枕の供さ』(著者名は「3g」)。

★質の高い30のストーリー
本書には質の高い30のショートショートが収められていて、
とても読み応えがありました。
多くの作品にはブラックユーモアや風刺が盛り込まれていますが、
あざとさや不快感をおぼえず、純粋に楽しめる作品になっています。
ときおり顔をのぞかせる技巧を凝らした文章も、いやみがありませんでした。
実にあざやか。

とくに好きなのが「お誘い」という作品。歌のうまい引っ込み思案の男の子が、
クラスの人気者からバンドのボーカルに誘われるというストーリー
男の子の揺れる心境がとてもダイレクトに伝わってきました。
フィニッシュも実に見事。
たった800字でこれだけ濃密な作品が書けるなんて!
 
3Gさんは今月18日の文学フリマに出店されるようですので、新刊とともに、
この既刊『枕の供さ』もチェックされてみてはいかがでしょうか。
(販売していなかったらごめんなさい)

2012-05-25

購入本の感想

第14回文学フリマから、まもなく3週間が経ちますね。
購入した本、次回の文フリまでに読み終わるかどうか……。
忘れないうちに読んだ本の一部をご紹介(順番に意味はないです)。
どれもおもしろかったです。


『スウォードロック』(お〜もり)
お〜もりさんの本格派ゲームブック。さすがの完成度!
弓の苦手なエルフがつぼでした。とりあえずラスボスにたどりつきたい。

『安全シールをはがしましたか?』(わたりさえこ/ナタリー)
表題作含む短編小説ほか数作品収録。
安心のナタリーブランド。文章うまい人は、最初の一行目からうまいです。

幻想生物事典』(エンハンブレ企画)
約30の幻想生物を、「事典」という体裁で編集した企画誌。
たぶん昨晩私が見た謎の生物は、最近関東地方で確認された「コネコビト」だと思います。
   

『メリーゴーランド』(+Lantern)
前作が良かったので新作も購入。2作品収録。
「が ん か け」(多々畳)……この方の、がつがつしていない「控え目」な作風が好きです。控え目だけど「前向き」な感じもとても好きです。
「フリーバード、ソングバード」(遊佐はなえ)……「人と人との関わり」から物語をつくろうとする作者の姿勢に、共感をおぼえます。

 
『オツベルと象』(萱島雄太)
宮沢賢治の名作を独自の視点で漫画化。昨年購入した『鼻』も良かった。

『王』(笹山笑/百福堂)
のほほんとした短めのファンタジーが読みたくて、たしか見本誌コーナーで見つけた本。ふとっちょの王様が椅子から抜けなくなり「さぁ、どうしよう」というお話。
 
『月刊シミュレーション第4号』(月刊シミュレーション編集室)
「明日、自分が消えてしまうなら?」という問いにせまった本。でも、全然硬めの本ではありません。文章・構成・デザインのすべてにセンスを感じました。
バックナンバーも全部読んでみたい。

  
『ひかり町ガイドブック』(超短編マッチ箱
複数の著者による超短編集。架空の町・ひかり町をガイドブック的に紹介した本で、名所や名物などとともに、それにまつわる物語が20以上おさめられています。
読んだ後、「ひかり町」について誰かと語り合いたくなること請け合いです。

2011-12-27

『魔法』(+Lantern<プラスランタン>)

 約2か月ぶりの文学フリマ書評
 第10回目は、前回の文学フリマで購入した文芸サークル「+Lantern<プラスランタン>」の『魔法』です。この作品は、私も掲載をお願いした「第13回文学フリマ小説棚」(「  」MAGAZINEさん作成)で事前にチェックしていた本で、表紙のイラストに惹かれて購入したのですが、中身も大当たりでした。
第13回文学フリマ小説棚はこちら
 本書には、「信じるなら、そのようなものを」(著・遊佐はなえ)、「な れ そ め」(著・多々畳)の2つの作品が収められており、ともに本書のタイトルともなっている「魔法」がテーマになっています。遊佐さんの文章も多々さんの文章も、とても読みやすく、かつたいへん気持ちのいいものでした。


★「信じるなら、そのようなものを」(著・遊佐はなえ)
下記、本作のあらすじになります。(※私[水本]が書いたものです)

相手が望んだ風景を、現実にしてしまう能力を持った少年ティモシー。
だがティモシーはその能力を自分でコントロールできず、その結果、
父親との関係もぎくしゃくし、思い悩む日が続いていた。
しかしそんなティモシーにも、心を落ち着かせることのできる場所があった。
森に住むダルトンさんの小屋だ。


 物語はこの後、ティモシー、世捨て人のダルトンさん、そして主人公同様孤独を感じている少女との交流が軸となり、ささやかな幸福感に包まれながら進んでいきます。しかし後半から新たなキャラクターが登場して展開が急変。状況の変化にとまどうティモシーですが、そこでいろんなことを考え学び、成長していくのです。
 
 読んでいてどんどん物語に引き込まれ、文章のうまさとともに、構成力の高さにも感心しました。とても素敵な作品です。


★「な れ そ め」(著・多々畳)
 小学5年生の男の子の目線で、その日常が描かれた作品。学校の友人や同じマンションの住人との触れあいが物語の軸となっています。
 起承転結のはっきりしていた遊佐さんの「信じるなら、そのようなものを」に比べ、こちらは比較的たんたんと物語は進んでいきます。なので、あらすじを書くのをあきらめました(笑)
 たまに切ないシーンもでてきますが、基本的には平和な小説。こうしたほっとする小説に出会えると幸せな気分になります。第13回文学フリマで購入したなかでは、これからもっとも読み返す作品となりそうです。

2011-10-24

『無限夜行』(めめ)

約一カ月ぶりの文学フリマ書評
第9回目はめめさんの『無限夜行』です。
めめさんは「くらやみ横丁」のサークル名で昨年の文フリに参加されていました。
作品は紙媒体ではなく、CD-ROMに作品がおさめられた、
ノベルゲーム(選択肢はなし)となっています。
私は「ノベルゲーム」「サウンドノベル」「ヴィジュアルノベル」の違いが
よくわかっていないのですが、同じようなもんと考えていいんですかね。

★あらすじ
 下記本作のあらすじになります(ホームページ上のあらすじを要約)。

10歳の悠太は兄と二人、祖父母の田舎へ行くために列車に乗った。
だが、幼い兄弟が乗ってしまったのは
「無限夜行(むげんやこう)と呼ばれる奇妙な列車。
列車は生き物のように意志を持って気まぐれに走り、
二人を見知らぬ異界へと連れて行く。
そんな中、ひとつの事件が起きた。
ふとしたことから兄弟は、「切符泥棒」に切符を盗まれてしまったのだ。
切符を失うと、目的地と帰る場所の記憶も失ってしまう。
兄弟は偶然再会した幼馴染の千夏とともに停車中の列車を降り、
切符を求めて不思議な夜の市場へ足を踏み入れる。

「忘れること」と「思い出すこと」。少年たちはどちらを選ぶのか。
そしてこの奇妙な旅の終着駅は……。
不思議な列車と記憶をなくした子ども達の、出会いと別れの物語



感想など
 かわいらしい少年少女のパッケージだったので、のほほんファンタジーかと勝手に思い込んでいたら、意外に重く、深い作品でした。子供の持つ残酷さや、失った記憶が徐々に戻っていく緊迫感などが、とてもよく描かれていたと思います。
 前半の展開がややゆっくりすぎるようにも思えたのですが、それも急展開する後半の疾走感を増幅させるための演出だったのかなと、読み終えて(観終えて)から感じました。
 ネタばれが許されない作品ですので、内容にあまり触れられないのが残念。
 ただ、今は「くらやみ横丁」さんのホームページからフリーDLできるみたいです。

 本は紙で読むものという固定観念からなかなか抜け出せないでいる私は、今まできちんとノベルゲームというのを読んだことがなかったのですが、これまでにない読書体験ができてなかなか楽しめました。食わず嫌いはダメですね。
 あと、本書はテキストやグラフィックはめめさんが担当されていますが、プログラムや映像表現は丹酌さんという別な方が担当されており、間の取り方などにいろいろ工夫を感じました。テキストや映像・音楽だけでなく、そういう所にも気をつかわないとならないんですね。ノベルゲーム、作るのたいへんなんだろうなぁ。