よくわかる現代魔法 無印/ガーベージコレクター/ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ:桜坂洋

三冊一気に。
かなりおもしろかった。今まで読んだ現代が舞台の魔法モノ(大した数は読んでない)の中でもトップクラス。例えば禁書目録よりも面白い。最初にタイトルを見てあらすじを読んだ時は、「魔法をコンピュータと結びつける」という一発アイディアだけの作品だと思ってたけど、これはむしろ「コンピュータを魔法と結びつける」というアイディアだった。作者はコンピュータのエンジニアかなんかそのあたりの関係の方でしたっけ? コンピュータの知識がしっかりあるから、魔法の原理とか設定がしっかりしている印象。魔法→コンピュータの発想順だったら、こうはいかないと思う。実際はどうなんだろう。
んで、キャラもまた上手く作られてて、俺はもうこよみにめろめろです。3月29日生まれの女に弱い俺。意外とドジっ子が主人公の小説ってないんじゃないかと。三巻の活躍は素敵でしたね。弓子も聡史郎もこよみの魅力にやられちゃってるじゃないっすか。おまけだが、嘉穂もいい。やたらと2ch口調なのはどうかと思うが。
文章の方は、一巻はデビュー作にしては上手いと思ったし、それからかなり進化してるし。ただ、たまに誰の行動なのか分からなくなる時があるのは、All You Need Is Killでも改善されてなかったなぁ。理系だと森博嗣みたいな論文調あっさり系の文章を書くようなイメージがあるんだけど、桜坂はけっこう表現豊かだと思う。「コンピュータ」でなく「コンピューター」と書くし。プログラムに詳しい文系(俺的にそんな存在は信じがたい)なんだろうか。実際はどうなんだろう。
難点を言えば、美鎖さんがこよみに魔法を教えているシーンが少ないところ。こよみが金だらいから大して進歩していないのは美鎖さんの怠慢じゃなかろうか。個人的には、こよみの成長物語としての部分を期待していたりするので、そういうところを描いて欲しいんだけどなぁ。あと、一巻の嘉穂の過去話とか、「All〜」だとギタイの正体とか、あまり書く必要のないことをわざわざ書くあたり、作った設定は全部書かないと気が済まない人なんだろうかとか思ったり。実際はどうなんだろう。
ともあれ、良い作品です。jini使いに期待。