想刻のペンデュラムII:鳥生浩司

いや、普通に面白いですよ? 近親相姦で修羅場を描くという特徴を、一巻に比べてさらに前面に出してきた感じです。まあ、一巻の細かいところとか全然覚えてないんですけど。


さて、人間関係をまとめてみましょう。


料理の得意な大人しい系少女・かれんは、兄である主人公・洸にベタ惚れです(ブラコンとかのレベルじゃなく)。洸の幼馴染である沙夜に、友情を感じていながらも、実はかなり嫉妬してます。
かれんの中には、リリスという、かれんの分身みたいな存在が入っているのですが、彼女も洸にベタ惚れです。かれんの中に封じられているので、彼女の人格は外に出てくることが出来ず、洸と直接触れ合うことができません。そのため、洸と触れ合うことが出来るかれんや沙夜に、内心では嫉妬しています。
洸の幼馴染・沙夜は、昔は重度のブラコンで、兄がいなくなった後は、洸に好意を抱くようになります。兄に対し、「妹でなければ、あんなにいい香りのする女が婚約者にならなければ、あたしの気持ちは洸に向いたりはしなかったのに――」とか言っちゃう少女です。素敵ですね。
その兄・一磨は、婚約者がいたにもかかわらず、どうやらかなりのシスコンのようです。ラスボスっぽい風格を醸し出しながら、妹思いなところを見せてくれます。


どうですか。主人公を中心に、妹と幼馴染が並び、さらに外側に「妹の分身」と「幼馴染の兄」がいるという、『秘技・近親五角関係ィィィ!』とかって男塾に出てきそうなほどの修羅場でしょう?


しかし俺は、敢えて近親五角関係には期待しておりません。何故か? 大鎌を振り回す戦闘少女・絢こそがメインヒロインだと思っているからです。
いちおう言っておきますと、絢は洸に恋愛感情を抱いているわけではありません。好きだった人(既に死亡)もちゃんといます。
では、彼女の何がこうも俺の心をかき乱すのか? つまりですね、彼女は洸を取り巻く人間関係の「外側」に立っているキャラなのです。近親五角関係に目を奪われていると、背後から不意に喰らわせられる強烈な一撃。それが絢の真骨頂なのです。だからこそ彼女の何気ない言動がなんかこう妄想を掻き立てるわけですよあーこんちくしょう洸と絢くっつかねーかな。


ふう、熱く語りすぎちまったぜ。キモイな、俺。


まあ、ここまで持ち上げといてなんですが、そもそも続きが出るかわかりませんしね。劣化とは言いませんが、コピーにコピーを繰り返して出来たような作品ですし。普通に地雷扱いされて消えてしまいそうです。ご冥福をお祈りします。じゃないや。なおいっそうのご躍進を祈っております。


…自分で書いてて自分が嫌になった。