鳥籠荘の今日も眠たい住人たち5：壁井ユカコ

うおう、なんという読後感。これまでホラー風というかサスペンス風な感じの作品だったので、激しく燃え尽きるように終わるかと思っていたけど、まさに「宝探しも毒ガスも殺しあいも陰謀もデモも闘争もサスペンスもホラーもない」ような、穏やかな終わり方だった。なんだか良い具合に肩の力が抜けた、ちょっとした遊びがあるような、余裕があるような、そんな雰囲気。とてもおもしろかった。とか書くとまるで最終巻みたいだけど、この巻は最終巻のひとつ手前らしい。まあストーリー的にはここで終わり、ということで。
特に面白かったのは第1話「そして誰もいなくなった」。こういう無限ループ的な終わり方は、これまでなかったような気がする。全体的にコミカルというかユーモラスというか、やはりどこか余裕がある感じ。
さて最終巻はどういう話になるんだろう。過去話かなぁ。個人的には後日談みたいなのを読みたいんだけどな。期待。