俺の妹がこんなに可愛いわけがない2:伏見つかさ

これは良い。元が一発ネタなのでシリーズ化されればつまらなくなるかもと思っていたけど、作者に地力があるのでラブコメとして普通に面白い。インタビューによると、作者がやりたかったのは前半の幼馴染ネタで、編集者が推したのは後半のコミケネタだったらしいけど。そこらへんの意識の違いが、オタクネタを生かしつつもあざとくなりすぎないように作用しているんではないかなぁ、と思う。これで作者まで悪乗りしちゃったらバランスが崩壊する。
幼馴染ネタは、友情以上恋愛未満的な二人の関係がとても素朴で、味わい深い。オタクネタって基本的にあれなんだよな、「おまえんちの母ちゃんけっこう美人だよな」って言われたときの感覚っていうか、どういうリアクションをすればいいのか困るようなところがある。美人だろーと誇るのはマザコンだし、そんな良いもんじゃねーよとか言うのも違うし、むず痒い。その点、幼馴染の癒しフィールドは何も考えずに身を任せられるので気楽である。ロックも良いキャラしてるしな。
新キャラは非常に素晴らしい。主人公とフラグが立ったかと思わせてあのシーンである。LOVEフェイントである。ちいい作者の手のひらの上で弄ばれているぜって感じ。幼馴染と妹とその親友で修羅場、というのも素敵だったんだが、それは加奈子ちゃんの活躍に期待するとしよう。つかこの作品にはLOVEが足りないんだよLOVEが。
79ページの挿絵では「ついに禁断の近親相姦ががが!」と興奮してしまったが一線を越えず残念無念。焦らしプレイか。