クイックセーブ&ロード:鮎川歩

クイックセーブ&ロード機能を駆使して、人生をやりなおしまくる男の話。幼馴染が死なない未来を掴むために、連続殺人犯の正体を捕らえるために、何度も何度も自殺する主人公(クイックロードするためには死ななければならない)。『紫色のクオリア』と同じ時代に生まれなければ…感がなくもない。同期の『その日彼は死なずにすむか?』ともよく似ているけれど、ループ構造を生かしたサスペンス要素の方に重きを置いているあたりが特徴だろうか。個人的な好みでは『その日〜』の方に軍配が上がるものの、決して劣らぬ良作だと思う。
表紙をめくったら大写しにされる前髪ぱっつん眼鏡っ娘が素晴らしい。彼女こそが、探偵役であり、スーパー高校生であり、主人公の頼れるパートナーであるところの常盤先輩である。この作品は、常盤先輩が幼馴染キャラの前に、敢えなく敗れ去るまでの話でもある、あれだけ主人公に尽くして、積極的にアピールしていた常盤先輩が、エピローグには回想でしか登場しないあたり、涙なくして読み終わることはできない。続編での更なる活躍を希望する。ついでに慧さんも出番増量で。