"3Dサラウンド"音楽作品のオーサリング

AV watchに"3Dサラウンド"オーサリングについての記事が載っていた。ここでの"3D"とは高さ方向のことで、平たく言えばDolby Pro Logic IIz相当のフロントハイトを想定した音源ということになる。

この方式でオーサリングされた音源をFLAC7フォーマットと呼んでいる。Pro Logic IIzのデザイン同様、基本的には残響成分の出力を想定しているように見える。結局DolbyではDolby Atmos Homeで7.1.4構成、つまり天井にサラウンドバックスピーカーを設置する構成を残した。映画の音響では頭上での移動をカバーする必要があるため、楽曲とは要求が異なるとも言える。
もっとも、Atmosやdts:xは5.1.2構成のようなハイトスピーカが2台のみという環境も想定はしている。(設置性の問題からか、ハイトスピーカ1台という構成は無い - Auro3Dのようなチャネルベースサラウンドでは提供されていることも有るが。。)ゲームでは3D 7.1( http://www.blueripplesound.com/3d7.1 )が提案されているが、これはスピーカをHigh/Lowに振り分け、センタースピーカだけが視聴位置水平に位置している。
... では普及しそうなレイアウトはというと、Atmosやdts:xは基本的に柔軟な姿勢を見せている:

  • 麻倉 - snip - では、極端な話2chでもDTS:Xは楽しめるんですか? 最低限必要なスピーカーはどうなるんでしょう?
  • 黒川 サラウンドを楽しむという意味では基本は5.1chだと考えています。

いわゆるAVアンプは7.1chを基本としているので、それ一台で再現できる5.1.2chが普及帯と言えるかもしれない。FLAC7では、LFEは無視してサラウンドバックをハイトスピーカに振り分けている。

オグジャリーがLss-Rssに相当しますので、皆様の7.1chスピーカ環境で左右寄りのサラウンドスピーカから「オグジャリー・レフト」、「オグジャリー・ライト」と聴こえれば、ITU-R配置準拠となっていると考えて良いでしょう。

本ファイルではオグジャリーにハイトチャンネルを割り当てています。制作時にはハイトチャンネルが前方の天井近辺にスピーカを設置されることを想定してミキシングしていますが、ハイトチャンネルは、前方、後方いずれに有っても効果を発揮します。従いまして、チャンネル確認信号でオグジャリーとアナウンスされたチャンネルを出来るだけ高い位置に設置して聞いてみて下さい。設置位置は高い方(仰角45度程度)が効果的ですが、例え50cm程度しか上方に設置できなくても、ハイトチャンネルの効果は確認できるものと思います。ドルビーAtmosのイネーブルドスピーカの様に、オグジャリーチャンネルのスピーカを天井に向けるのも良いかもしれません。

逆に、このようなレイアウトが普及することを考えると、Atmos/dts:xやFLAC7のためにある種非標準のサラウンドスピーカ配置をサポートする必要があるかもしれない。
ヘッドホンでの鑑賞にはHPL11と呼ぶフィルタリングを提供して、事前エンコード済みのストリームを提供するようだ。

入交氏は博士論文として 演奏音の最適残響レベル を考察しており、興味深い。

もちろんゲームでは常に教会のホールなり劇場で戦闘を行っているわけではないが、効果的な演出手法の一つとしてオーディオエンジンの自動的なオーディオデザインに応用できるかもしれない。(クラフト系ゲームのような動的環境への対応はあまりオーディオエンジンで追求されていない問題と言える)