友人から「DVを受けてるかも」と相談を受けたとき、どうしたらいい?

私は、これまで友人からパートナーとの関係の相談を受けてきました。同時に、「友人から相談を受けたんだけど、どうしたらいいんだろう?」という相談にも乗ってきました。最近もそんなことがあったので、友人からDV相談を受けたときに、やるべきこと、やったほうが良いことをまとめてみました。

友人はあなたを信頼している

まず、意識してほしいことは、相談を持ちかけてくれた友人はあなたを信頼しているということです。DV被害者は、自分の発言によってパートナーとの関係が悪くなることを恐れています。身体的な暴力がなくても、緊張関係になるのが怖いのです。それにもかかわらず、あなたに相談をもちかけるということは、あなたならわかってくれるかもしれないという、期待と信頼をもっているからです。さらに重要なのは、DV被害者は多くの場合、信頼できる身近な人がとても少なくなっています。友人とコミュニケションをとるときは、そのことを常に意識してみてください。

友人の話を聴く

加害者は、被害者の友人関係をできる限り切ろうとします。そのため、被害者には、話を聞いてくれる人さえいなくなってしまいます。あなたは、友人の話を聴く数少ない人の一人です。できる限り、ゆっくり友人の話に耳を傾けてください。それだけで、友人の不安は収まります。

「あなたは悪くない」と言う

DV被害者は、常に加害者から「お前が悪いから暴力になるんだ」と言われ続けています。そして、加害者の暴力は「自分のせいだ」と思っているのです。また、第三者にも「あなたにも問題があったんじゃないの?」という人はたくさんいます。でも、どんな理由があろうと暴力はいけない。だから、「あなたは悪くないよ」と言ってあげましょう。いつも「お前が悪い」と言われ続けている被害者に対して「あなたは悪くない」という言葉は、いくら言っても言い過ぎるということはありません。

解決しようとしない

一番重要なのは、友人が危機的な状況になったとき、すぐに相談できる人の存在です。そして、あなたは相談に乗れる数少ない人の一人なのです。あなたは「解決しよう」とする必要はありません。「なにかあったらすぐに連絡してね」と伝えましょう。解決しようとすると、友人が連絡をくれなくなることもよくあります。それよりも、つながりを切らないことが大事です。

加害者を否定しない

友人が被害を受けながらも、加害者の元を離れられないのは理由があるはずです。友人にとって「加害者を否定すること」は「自分自身が否定されること」でもあります。加害者の行為(暴力)は否定しても、加害者の人格を否定しないようにしてください。加害者を否定することで、友人とあなたとの関係も切れてしまうかもしれません。

友人自身の決断を尊重する

あなたは、友人の話を聞いて「危険だから早く対応しなきゃ」と思うかもしれません。その気持ちはよく理解できますが、ここはじっくり時間をかけて、友人自身の決断を待ちましょう。友人は、長い間「自分で決断する」という経験をしていないかもしれません。さらに、子どもがいる場合などは、決断するのに長い時間がかかるかもしれません。しかし、ここであなたが友人を動かすのは、加害者がやっていることと同じことなのです。時間はかかっても、友人自身の決断を尊重しましょう。

一人で抱え込まない

最後に重要なことは、一人で抱え込まないことです。あなたが精神的に辛くなる状況では、友人の相談を受けるのも難しくなるでしょう。DV問題に詳しい知り合いがいたら、その人に相談してみましょう。そして、相談を持ちかけてくれた友人に被害が及ばないように気をつけながら、いろんな人に相談をしてみましょう。そうすると、あなたにとっても、友人にとっても、いい方向を継続できると思います。

私の考える望ましい解決

DVの渦中にいる被害者は、自分が被害者であることに確信が持てない状況です。そのため、長い時間をかけて「どんな理由があっても暴力はいけない」と思えるように、話を聞く必要があります。そうすると、ある段階で「加害者から離れたい」と、自分から思えるようになってきます。被害者が「家を出たい」と声に出して決断したとき、初めて外からサポートができるようになります。ここまでくると、あとはシェルターを紹介して、被害者の身の安全が確保できれば、よりよい方向に動いていくはずです。

ただし、具体的に行動を起こしたあと、被害者自身は、そのような道筋が見えていないことが多いように思います。無我夢中で動いているのだから当然ともいえます。だからこそ、第三者として冷静に道筋を示してあげられるような存在になれると、被害者にとって心強いだろうと思います。

実は、家を出てからも大変な状態は続きます。しかし、まず「被害者自身が家を出ることを決断する」ということが、スタートラインになるんだろうと思います。