雑種路線でいこう

2007年09月22日

どっこいSIerは簡単になくならない

SIerが変わらなきゃってことには同意。けど日本SIerは当分なくならない。少なくとも解雇規制がなくならないとね。米国で何故ユーザー企業専門家を雇えるかというと、要らなくなったらクビにできるからだ。例えば汎用機とCobolシステムLinuxJavaに移行する場合は、汎用機オペレータCobolプログラマを切って、LinuxオペレータJavaプログラマを雇い入れる。そういう世界だ。

日本じゃ簡単にクビを切れないから、潰しのきかない技術者はできるだけ雇いたくない。そこのところはSIerに押しつける訳だ。重層的な下請け構造が何故あるかというと、SIerも簡単にはクビを切れないんでバッファを必要とするからで、6次とか7次になれば会社そのものが吹けば飛ぶ世界で、労働基準法なんか形骸化しているしね。

今後はユーザー企業がどんどん内製で出来るようなシステム作りを支援する方向に向かわねばならないのは明白。SaaSなんてその典型例に見える。大きな方向性とは、地道にユーザー企業SIerに丸投げさせない仕組みを作るか、SIerが今の奇形児から形を変えて新生児として生まれ変わるか。道は2つに1つでしょう。

GoTheDistance - SIerという奇形児と、SIという珠玉の仕事

実のところ丸投げ自体が悪いとは思わない。経営にとって重要じゃない機能であれば、丸投げで型通りのものを使った方が安上がりだ。これまで重要かどうか腑分けせず、さらに丸投げなのに手組みするものだから、おかしなことになっていた訳だが。口入れ稼業の意識が抜けない会社が多いから手組み前提で提案書を書くし、ITをよく分からない情シス部門がホイホイそれに乗るという構図ではないか。プロジェクトデスマ化してから、巻き返しのためにパッケージを使うという話を少なからず聞く。客にとっては最初からパッケージを使えば安上がりな訳だが、SIer人月が減って困る。手組みに失敗した時点で工数が嵩み、パッケージも買うわけだから、二度手間の二重費用である。

現実問題としてSaaSベースの廉価なソリューションと価格比較されるようになると、これまでのような殿様商売は減ってくるだろう。数年前にDellWeb直販でサーバー価格見積もりを透明化した途端、各社の主力製品の価格が1桁下がったのと同じことが、きっと近い将来SIerでも起こる。SalesforceとかNetSuiteのWeb自動見積もり機能で出てくる価格が、発注額のキャップとなってしまうのだ。そうなると売上を膨らますために手組みで提案することが難しくなる。利益率が下がるとプロジェクトの失敗をカバーする糊代も減るので、手組みのリスクを取るよりパッケージコンポーネントの活用でコストと期間の不確実性をできるだけ減らそうとするだろう。

そもそもSIerが無理に手組みで仕事を受けていたのは、プログラマがだぶついていてクビを切れなかったからで、プログラマが逼迫して事業そのものの利益率が縮小してリスクを負いにくくなれば自ずと業界近代化する。IT業界に限らずユーザー企業コアコンピタンスに基づいて設備投資にメリハリをつける。ただ今のように解雇が難しく、技術ライフサイクルが短いままだと、社内でプログラマを抱えても仕事を与え続けることが難しいので、引き続き主契約企業として責任と開発期間中のキャッシュフローを負担できる大手SIerを頼る可能性が高い。

裏を返せば技術が成熟してライフサイクルが長期化するかプログラマ解雇が容易になり、開発失敗時の紛争解決が容易になり、システム開発のキャッシュフローファイナンスする別の仕掛けができれば、日本情報サービス産業米国型に近づく可能性がある。

即ち日本日本的な業界構造、取引慣行が維持されるには制度的・文化的な背景があるのであって、必ずしも米国風が正しい訳ではない。とはいえ多くのパッケージ製品は米国の事業構造を前提としているので、ソフトスタックの大部分を米国から持ち込む場合には、業界構造や取引慣行を米国型に近づけた方が効率的・合理的ということもあるだろう。それが日本にとって良いか否かは、ケース・バイ・ケースとしかいえないが。

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