雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

いっそネット丸ごと京都府警の管轄に

また京都府警か。なぜ京都府警が東大の先生とか大阪電通大の学生を捕まえるのか謎は深まるばかり。いっそネット丸ごと京都府警の管轄にしてホットラインセンターもインターネット協会ではなく京都府警にぶら下げてしまえばどうか。現行法で刺せない有害サイトも片っ端から著作権法違反とか何かで検挙してくれれば、かったるい法改正の手間も省ける。

今回の事例も、京都府警はほかに立件できる罪名を見つけられないために、著作権法違反で逮捕したのですから、おそらく検察による公訴提起も著作権法違反を罪名として行なわれるでしょう。そこでは、純粋に著作権法違反の程度のみで刑罰が定まるのか、著作権法違反に付随するウィルス作成を加味して刑罰が定まるのかは注目が集まることでしょう。

昨秋に某大学で知財の授業を2コマほど担当したので、どんな話をしようかとサーベイしたところ「ニコニコ動画は合法ですか」という質問が出たので、技術革新と著作権概念がずっとイタチゴッコを続けてきた歴史について紐解いた。グーテンベルグ活版印刷を発明した昔から、著作権法は技術革新と商流との不均衡を是正するために進化し続けてきたのだ。いいか悪いかは別として。
KaZaAをつくったあとSkypeeBayに売り抜けてJoostを立ち上げた二人組と金子さんとを対比して、似たような技術を開発しても、こうも違う人生を歩むんだよ、だから日本に留まってお上に逆らおうなんて馬鹿なこと考えるより、日本を捨てたほうが賢いよーと煽ってから、どうして金子さんは捕まったのか*1学生のみんなに考えてもらった。
最初の回答は「捜査情報の漏洩で、京都府警に睨まれていたから」いきなりそれかよ。次は「GUIがアングラっぽいから。もっと早い段階でcoolなデザインにすべきだった」そういう問題か?とある研究会では「前年のACCS事件で警視庁が京大の先生を捕まえたから、意趣返しに京都府警は東大の先生を捕まえたんだ」と実しやかに語るひとも現れ。おいおい、この国の法執行に対する信頼って、その程度のものなのか。でもそういう空気読めって同調圧力が、実際のところ行政コストを下げてきたんだろうね。神様がみてるとかじゃなくって因果応報みたいな。
原田ウイルスの作者がやったことに弁解の余地はないし、実際に著作権法違反ではあるのだから脇が甘かったとしかいいようがない。京都府警グッジョブといっていい。未だに続く水戸黄門とかの人気をみても、この国じゃデュー・プロセスより、お上による手っ取り早い勧善懲悪こそが望まれてきた。これは権力の暴走ではなく国民の総意じゃないかな。そして忠臣蔵が好まれるくらいに、金子さんもヒーローだよ。
そういう訳で、何というか技術者として、神の国に生まれたことを深く自覚して、空気を読むか、国を棄てるか、選ぶしかないのだろうな。別にどっちでもいいけど。

*1:ちなみに通説をいくつか知っているだけで、本当の理由なんて知らないよ。というか実際の世の中って試験と違って、答えが一つの問いなんて非常に少ないんだよ。彼が有罪になった理由は判決文に諸々書いてある。どうして逮捕されたかについては、一般論としてはISPにせよ警察を含む情報漏洩元にせよWinnyで困っているひとが山ほどいて、刺そうと動いたのに対して、名を名乗らず、誠意ある対応もせず、社会に対して挑戦的な態度を取ったからでしょう。世の中にはYoutubeニコニコ動画も含めて法的にはグレーなものが山ほどあるけれども、たいがい時間をかけて誠意ある対応をしていれば、法廷の外側で問題を解けるもんだよ。匿名のまま困っている人々を追い詰めて頬被りしちゃったもんだから、困った連中が暴発しちゃっても文句はいえないんじゃないかな。だから別件逮捕していいという話にはならないけど。