雑種路線でいこう

2008年05月05日

僕の記事は就活アドバイスじゃないよ

僕は新卒就職活動というのはやったことないのでアドバイスできない。3月の文化系トークラジオLifeなんかで聞いた雰囲気だと、僕の知っている自分の売り込み活動とはだいぶ異なる世界らしいね。アドバイスが溢れててメタゲームになってる感じ。だから、トラバをくれた新人さんのように、穿った見方アドバイスを聞く姿勢って大事だと思うんだよね。

とはいえ、参考にさせていただいた記事は、100%間違ったアドバイスじゃないんだよね〜。ひとつの真理でもある。だからこそ、アドバイスを鵜呑みにした学生にとってたちが悪い瞬間があるということを、アドバイザーに伝えたいわけでもある。

何を意図して書いているのか、実は気になる - ジャヴァ〜

僕は大きな就職を3度くらいしていて、それとは別に小さなコミットメントを含めると両手で数えるよりは多く自分を売り込んだことがある。打率はかなりいい方だと自負している。とはいっても口コミで僕に興味を持って呼んでくれたひと相手のプレゼンだから、期待を違えていなければいい訳で、数百分の一、数千分の一といった難関をくぐり抜けてきたロスジェネ新卒採用の兵たちとは少し立場が異なる。

たぶん大事だったのは大学2年の時で、夏ごろメーカーECサイトの社長さんから突然しゃぶしゃぶ屋で接待され、困っているのでシステムレビューしてくれと頼まれた。2ヶ月くらいかけてヒアリングを行い「全体的にカネかかり過ぎだから全てつくり直しましょう」とレポートを書いたら、それも頼まれてベンダ探しから行う羽目になった。その案件がきっかけとなってライターや受託調査で糊口を凌いでいた頭でっかちの僕が、システム構築の企画・設計から運用が軌道に乗るまで面倒を見ることになった。

同じフロアに親会社も入っていて、時々親会社の帽子でコンサルをいじめたり来客をもてなして遊んでいた。前の会社との接点も僕が親会社であるメーカーの帽子で一端の口を聞いたのがきっかけだった。その後、技術アドバイスをもらうために何度かその会社に通い、1月ごろ「遊びにおいでよ」と誘われたら面接だった。いま考えてみると、すごく長い気がしていたECサイト専属での仕事が、たった半年ちょっとだったのかと驚かされる。掛け持ちで2年くらいは関わったが、途中からはアキバジャンク屋で店番をしている時に知り合った友だちに運用とかは任せた。

前の会社には4年半ほどいたが、子どもが増えたのに給料が上がらず悩んでいるところへ、先に辞めた仲間からけしかけられて一念発起した。とはいっても真面目に転職活動したのではなく、客として捕まえていた今の会社に「独立するか、御社に行くか、悩んでいる」と相談した。「独立しても仕事を出し続けられるか分からないけれども、入ってくれれば面倒みるよ」といわれて転職した。3年持てば御の字と思っていたが、気づいたら5年半近くもいる。

クドクドとしょうもないことを書き連ねたが、僕が少しでも新卒の連中にアドバイスできることがあるとすれば、社会に出てから最も身を助くのは周囲の評判だよ、ということだ。成績とか能力とか資格じゃなくてね。学生とか若手社員に対して誤った強迫観念を植え付けるメッセージばかり流布されるのは、就活転職も商売のネタにされてしまったからではないか。みんなリクナビエージェントも結局のところ商売だって考えて使ってる?みんな恋愛じゃ機縁を大事にしてるだろうに、こと仕事となった途端に最初から出会い系頼みってどういうことだよ!という違和感がある。

僕が大学講義していて必ずといっていいほど聞かれる質問に、どうすればそこに就職できますか、というのがある。新卒採用は数百倍、数千倍という倍率らしいので無責任アドバイスもできず「倍率が2桁超えると宝くじのようなものだ。だから最初から人気企業を目指すより、同じ会社の中途採用枠をよく調べ、数年後にどういったスキルを身につければ転職できるのかというスキル目標を立てるといい。そして最初は、そのスキルを身につけるために必要な経験を積ませてくれて、比較的地味で小規模だけど儲かって人材開発に投資している会社を狙うといい。新卒より中途の方が2桁は倍率が低いので、ずっと確実だ」とアドバイスしている。

僕自身、大学2年の時から今の会社と付き合い「どうすれば入れますか」と聞いた時「中途で入れよ」とアドバイスされ、実際、前いた会社が傾いた時、その人に中途採用で助けてもらったのだった。あまり人生の大事なことに対して、自分尺度でアドバイスすることは危険という気もするが、商売のための広告に騙されるな、HOWTOに騙されている時点で君はコモディティだ、青い鳥じゃないけど本当に素晴らしい機会って意外と身の回りにあるかも知れない、というくらいしかアドバイスできることはないかな。

就職って終わりじゃなくて始まりなんだからさ、そこをよく考えて生きろよ、とは思う。特にIT業界なんか新卒での就活に失敗したってリベンジのチャンスが山ほどあるんだから、仕事に打ち込んで胸を張れる成果を出すなり、コミュニティで人脈を広げるなり、長丁場の勝負を意識しつつ投資することが大事なのだろう。そして本当の強みは形式的なスキル資格とかじゃなくて、コピペしようのない経験に裏打ちされた人となりだということを忘れないで欲しい。

anonymousanonymous 2008/05/06 04:36 s/糊塗を凌いでいた/糊口を凌いでいた/ かな?

mkusunokmkusunok 2008/05/06 08:06 おっと直しました。

isaokatoisaokato 2008/05/06 10:11 僕も3回転職した口ですが、そのわりに転職や就職に対して芯の通ったアドバイスができずにいました。今回のエントリーは僕のいいたい事よりさらに一回り大きくまとまっています。楽しく読みました。次にアドバイスする機会があれば、このエントリーを読ませようと思います。

the48the48 2008/05/06 11:45 親世代に転職経験が無いのが多いのよね。

oyooyo 2008/05/06 14:49 同い年の私も、ケモノ道を通って現在の会社にいますが、卒業後、しばらく就職せずにニートしてた私は、今の上場企業のコンサルやっている私を想像できないだろうな。とたまに思います。

人生に勝ち負けがあるとしたら、それはトーナメントでなく、試合数に制限のないリーグ戦なので、連敗しても何度か欠場しちゃっても、恐れず次の試合に臨むことが大事なのかなと思います。

Takuya_STakuya_S 2008/05/06 14:59 「本当に素晴らしい機会って意外と身の回りにあるかも知れない。」ってのは、良い言葉ですね。思えば僕も、身の回りにある思わぬ機会を繋いで、現時点まで歩いてきました。

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