雑種路線でいこう

2008年12月11日

gdgdな国、日本

数日前に白金でフランス料理をご馳走になった後、飲み足りなくて地元のバーに顔を出した。雨上がりだし空いてるかなあと思ったんだが、この不景気で普段なら銀座で遊んでいるような人々が結構きているようで混んでいた。カウンターの隣の席に座ったひとがジョニ黒のボトルを飲んでて、捜査だとか千葉にも張り込んでいて云々というので、警察関係の方ですかと聞くと、警察を張る方です、とのこと。で、「顔みてあれっと思ったんですよね。責任能力があるか分からないのに名前を出すのって、どうなんでしょう」って振ったら「だってさー、みんな知りたいでしょ、どんな奴がやったか」だってさ。

捜査本部は当初、容疑者の氏名を匿名の「甲男」と発表。理由について「精神発達遅滞という診断のため」と説明した。しかし「事案の重大性をかんがみ、後は報道各社の判断で」と住所・氏名を発表した。

東金の5歳園児変死:容疑者逮捕 懸命捜査実り、住民安堵 /千葉 - 毎日jp(毎日新聞)

端的に言えば、容疑者実名顔写真報道の問題である。本事件の報道に関しては、記者クラブの横並び意識がもたらした弊害が如実に現れたとみている。

警察発表によれば、容疑者特別支援学校に通っていた。軽度の知的障害を抱え、その病歴からも、単純に責任能力が問えるかどうか疑問の余地は残る。

にもかかわらず、すべての記者クラブメディア実名顔写真容疑者を報じた。

東金女児遺体事件で容疑者を実名報道したメディアへの違和感|週刊・上杉隆|ダイヤモンド・オンライン

後で聞いてみると、いわずと知れた通信社記者。どうもバーの近くに取材対象警部が住んでいて、夜討ちしたものの他社が張り込んでいたので諦めて飲みに来たという。で、飲んでいたのはその警部のボトルで、お店を出るとき「警部がお店にきたらケータイに連絡くださいねー」って。記者クラブでの取材対象記者との馴れ合いって話には聞いていたけれども、取材対象である警部のボトルを飲むって、どんな感覚なんだろうねー。で、記者氏はタクシーで遠い自宅へとお帰り遊ばされたのであった。

記者クラブが腐敗の温床っていわれてもピンとこないけれど、サツ回りの夜討ち朝駆けって、どうもそういう世界なんだね。そういう関係になることを、ちゃんと刺さって体を張って取材していると捉えるか、緊張感に欠けた癒着と捉えるかは価値観だけれども、まあ、記者と警察ってのは、どうもそういう関係らしい。で、そういう馴れ合いを念頭に警察発表では匿名としつつ口頭で氏名を伝えるというのは、それはそれで隠微なマスコミの野次馬根性と、責任転嫁したい警察の姿勢が見え隠れする訳だ。

わたしはマスコミメディアスクラムを組んで、推定有罪の実名報道を行うことに対しては強い違和感を感じる。同じ犯罪を繰り返して報道して過剰な不安煽り、重罰化へと世論を誘導し、野次馬根性で責任能力がないかもしれない容疑者まで晒し上げてしてしまうことが正しいのか。警察がいうところの事案の重大性が何を指すか、意味が分からない。まあ、マスコミが群がるのが重要ってことなんだろうか。これで地域から知的障害者を排斥するような動きが出てきたとき、野次馬根性で群がったマスコミや、不用意に名前を出した警察は責任を取れるのか。

どうにも後味の悪い事件だし、こういう報道の影響を受けた普通の人々が裁判員として裁くことになったとき、事案の重大性や更正の困難さをかんがみ死刑、みたいな判決が増えなきゃいいなあとか茫漠とした不安もある。あと今回は物証もあるのだろうけれど、反論できない人々って冤罪の格好の対象でもあるし、地域住民の証言だって偏見とか体のいい所払いって可能性もあろうに。ここは慎重な捜査と裁判に期待したい。

yujiyuji 2008/12/12 00:02 裁判員制度って上の文脈でいくと、中世の火あぶりみたいなものになる危険性はないのでしょうか?魔女ってレッテル付けて、あとは公衆が裁いてくれるだろうような。

shakaijinshakaijin 2008/12/12 23:24 本当に障害者を知っていれば、死なせてあげたほうが幸せな障害者もいるような気がするが…

ichiichi 2008/12/16 01:46 責任能力がない?そんなの殺された(る)側からすれば関係ない、むしろ無差別的である人よりたちがわるい。全部さらしたらいい。そして無罪ではなく病院送りにしないと意味がわからないし、いつまた同じことがおこるかわからない。

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20081211/hr
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
雑種路線でいこう by 楠 正憲 is licensed under a Creative Commons 表示 - 改変禁止 2.1 日本 License. このブログは楠正憲の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の所属する組織とは何ら関係はありません。