雑種路線でいこう

2009年07月24日

景気回復後に予想されるSIer格差

景気は循環的だから遠からず企業のIT投資は回復する。しかし同じことが繰り返されることはない。ユーザー企業が開発を主導するかは別として、新技術やIT統制への対応、事故に対する責任顕在化で、担当者の身元や能力に対する管理責任も高まった。多重下請け構造ではリスクも施工能力管理できないから、余裕のあるところから統制に責任を持てる体制にシフトしつつあるのではないか。

SIer主導ではなく、ユーザ企業主導の開発体制になって欲しい。そうすることで、ユーザ企業は、やりたいことを素早く安く上手に行うことができるし、SI業界再生できる。これが私の願いです。

SIerの解体と再生 - ひがやすを blog

この不況をどう過ごすかで、SIerSEの命運は大きく変わる。仕事ブランクが生じても最新技術にキャッチアップし続けられるか、景気回復後もリスクを抑えつつ需要増へ柔軟に対処できる施工能力を持てるかが鍵となるだろう。

ネットバブル崩壊後、サーバー価格は大幅に下落した。Dellシェアが高まったかは別として他社にサーバー見積もりを出す場合も同構成でDellサイト見積もりを取り価格交渉に使うことが一般化したからだ。ブロードバンドの普及で企業向けネット接続の価格が下落した。1万円以下で100Mbps FTTH契約できるのに、たった数Mbpsで月数十万円も取る法人契約の積算根拠を説明できなくなったからだ。

企業システムクラウド活用するまで時間はかかるが、クラウドの料金体系は浸透前からSI案件価格形成に影響を与え始める。AmazonSalesforce日本で大きくシェアを伸ばすかは別として、ユーザー企業の担当者はベンチマーキングとしてAmazonSalesforceの料金体系を参照し、価格交渉に利用し始めるだろう。

これまで言い値で独自開発・個別運用できていたシステム提案が、透明な料金体系との比較で厳しい価格下落圧力に晒され、身を切るダンピング程度では対応しようのない差がつく。そういった時代を見越して投資余力とビジョンを持ったSIer仕事の少ない今を新たな時代へ向けた研究開発と構造改革に振り向け、余裕のないところは人件費抑制で優秀な技術者から手放さざるを得ない。

ユーザー企業も、ITを軽視し相見積もりさえ取れないベンダ丸投げ企業から、システム企画をリードして施工管理能力を持った優良企業まで、事業やコスト管理競争力で劇的な差が出る。後者は限られているが収益力があり投資余力も大きいから、力のあるSIerにとっての上顧客、優秀なSEにとっての魅力的な転籍先となるのではないか。

そうやってSIerユーザー企業も、業界地図が書き換わっていくのだろう。

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20090724/si
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
雑種路線でいこう by 楠 正憲 is licensed under a Creative Commons 表示 - 改変禁止 2.1 日本 License. このブログは楠正憲の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の所属する組織とは何ら関係はありません。