大阪府警取り調べ中の暴言事件

大阪府警東署警部補の取り調べ中の暴言事件。

録音された音声が全国ニュースであれほど長く流されたのは衝撃的でした。



殴るぞお前
手出さへんと思ったら 大間違いやぞコラ!
オウ
お前大間違いやぞコラ!


全然 記憶にないです
分かりません 言っていることが
謝る必要も よく分からないです


分からないですちゃうねん
お前しか分からんのじゃ


出せ 早よ(拾った)財布
黙っとったらあかんぞ お前のことやぞ


お前の関係してるところ
全部ガサ(捜索)いくぞ 脅しやないで
お前の家にも行くわ 全部
お前の実家にも全部行くぞ


お前の息子や娘にも(事件の事)言うんかい
あのちっちゃい子にも言うんかい


お前の家族が何回便所の水を流したか全部調べたるぞ


お前の人生めちゃくちゃにしたるわ

お茶の間で聞いていて、肝が冷えた方も多かったのではないかと。特に最後、子どもを傷つけるようなことを言ったり、トイレを盗聴(?)すると言ったり、挙句「人生めちゃくちゃにしてやる」だなんて、公務員とは到底思えません。まさに「やくざ」です(笑)。

しかし、警察官というのは日常的に「やくざ」と渡り合っている商売なので、「やくざ」に負けない言動が身についてしまうのは、ある意味、自然なことであると思います。(この点、毎日大変なお仕事ありがとうございます)

おそらく、警察官の同僚たちは、「運が悪かったな……。だが、負けるな! おれたちがこんなふうに取り調べしなきゃ治安は守れないんだ! 大阪が犯罪者天国になってもいいと思ってるのか!」と、激励していると思います。

また、優秀なヤメ検(検察をやめた弁護士さん)も多数紹介されていることと思います。


しかし、しかし……。やっぱり、こんなやり方は……。


大阪府の現役警察官だって、自分の息子や娘が東京の大学に下宿していて、サークルの飲み会の後、深夜の歌舞伎町を歩いていたら「おまえ覚せい剤やっただろ!」とあらぬ疑いをかけられ(えらく具体的だな)、

「手出さへんと思ったら 大間違いやぞコラ!」「早よ出せブツ(ドスのきいた声で)」「お前の人生めちゃくちゃにしたるで!」

と喚かれ続け、7時間ほど(!)監禁され、弁護士も呼べず、何を言っても聞く耳持ってもらえず、最後には「すみません言うて罪を認めれば、こんなこと目くじら立てるほどのことやない。そうか、帰れってなもんだ(←これは嘘。NHKではこの部分の録音も公開されていたはず。何時間も監禁された後だと本当にグラッと来るでしょう)」と、取引を持ち出され、その後、PTSDで寝込んでうつ病になってしまったら、やっぱり人の親として、「こんな取り調べは許せない……!」と思うと思うのです。


最近はネットも発達したし、冤罪も多いので、警察官や検察が大体いつもこういう捜査をしていることは、ある程度の(まあ、少ないだろうけど)人は気づいていると思うんですよね。
【佐藤優の眼光紙背】村木厚子元厚生労働省局長に対する無罪判決
足利事件 Yahoo!ニュースまとめ 17年半にわたり収監されていた男性が再審で無罪確定。
おまけ:”検察が逮捕したい人”一覧 →さすがちきりんさん! 一味違いますよね。

今のままでは、やはり警察と検察の取り調べは、「全面可視化」したほうがいいと思うのです。しかし、そのときには、警察官とか検察も、建前はやめて、「あなたねぇ、犯罪者を捕まえるんだから、多少荒っぽいことも必要でしょっ!」っと、本音で主張し始めるんじゃないかと期待しています。しないかな(笑)。でも、可視化をやみくもに拒むより、「犯罪者天国 vs あなたとあなたの知人がある日突然、監禁暴行取り調べ」をどうやってバランスをとるのか、現実的に考えた方がいい気がするんだけど。



【追記1】
録音がテレビで長々と放映された翌日に、別件で当の男性の再逮捕が報じられましたが、「推定無罪(逮捕や起訴されただけでは有罪じゃないよ)」という原則もありますし、「それはそれ、これはこれ」ですね。取り調べ自体が暴言だったことは取り消せません。
それにしても、検察が一度はこの事件を略式起訴にしようとしたことなんて、「身内に甘い」典型すぎて、何を考えてるんだろ、って感じです。バレないと思ったのかなあ。

【追記2】
自分の携帯でどうやったら音声を録音できるのかは、みんな確認しておくべきですね……。ちなみに、iPhoneは標準のアプリがないので、こういうのを入れておくとよさそうです。ただ、録音していることがバレると、マジギレされて、携帯を壊されてしまうかもしれませんね……(怖いですね!)