天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

代表的日本人

 umryuyanagi104さんのお薦めで取り寄せた。内村鑑三の「代表的日本人」のはずが、齋藤孝氏の本が届いた。まさかこういうタイトルの本がほかにあると思いもしなかったので、よく確かめないで注文してしまったのだろう。
 この人(著者)は誰なんだ、と思ったら教育者だった。そして内村鑑三の名著を現代に継承したいという思いで書いたそうなので、タイトルの一致は偶然ではなく確信犯だ。でもこの本が来たことは失敗ではなかった。

 内村鑑三は代表的日本人として、西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮上人の五人をあげて書いている。原文は英語。というところがすごいというか、当時の時代を物語っている。
 一方こちらの斎藤孝氏の方は、与謝野晶子、加納治五郎、佐藤紅緑斎藤秀三郎・秀雄、岡田虎次郎をあげて書いている。はじめの二人はよく知られている。佐藤紅緑氏は、佐藤愛子やサトーハチローの父親で、80代以上の人ならだれでも知っているそうだが、私は若いのであまり実感がない。
 次の斎藤親子や岡田氏に至っては今回初耳。誰なんだこの人たちは。などと思いながら読んだらなかなかすごい人たちだった。
 著者の齋藤氏は、教育者であることもあり、教育に関わることで、あまり世間に知られていないが大きな功績を残した人たちについて、世の中に少しでも紹介すべく書いているようだ。
 最初の与謝野晶子は、自由奔放な歌人として知られているが、この人の存在の大きな意味は明治の時代にあって平安時代に行われたひらがなの和歌を日本の文化として根付かせたことがおおきな意味を持つ。影響を受けたのは女性ばかりでなく、当時の歌詠み、詩人はみな影響を受けたといっても過言ではないようだ。
 そして加納治五郎。柔道家として知られている。が、彼は「武士道」を柱に人を育てることを目的として、当時までバラバラだった柔術の各派の技を整理し、戦ってけがをしないスポーツとして体系建てた。そのおかげで柔道と武士道は世界に広まり、オリンピック種目にもなり、日本の文化として位置づけられるようになっている。
 斎藤秀三郎は英語の辞書をいくつも書いた人、と言えばそれまでだが、明治の時代にあって日本人が外国の文物を正しく理解するために英語教育に重きを置いて日本語と英語の橋渡しに貢献した人だ。その子息の秀雄氏の父の意を継ぎつつ音楽家として活躍した。その弟子には小澤征爾氏もいる。
 そして最後の岡田虎次郎氏の解説の及んで、呼吸法が出てきた。氏は、西洋文化に振り回されない、日本人の持つ自己を見失わないために静座会で、静かに座って腹式呼吸で自らを取り戻す運動をしたそう。心と体を整える方法として、座禅よりも昔から普通に行われてきた正座の姿勢で静座する。
 臍下丹田という言葉は、最近はあまり使われなくなっているが、私の習っている呼吸法も含めて腹式呼吸の基本はここに意識を集めて静かに息を吐く。吐ききって力を緩めることで十分な酸素が体内に入る。私の先生によれば、これでミトコンドリアが活性化してエネルギーとなり、癌にも勝つ免疫力もつくというものだ。
 以上要するに、あまり世間に知られていなくても、世の中に貢献している人はいるもので、現代にもそういう人たちが必ずやどこかにいる。そこに希望をもって、その真似事でもできればというところか。