天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

知ってはいけない隠された日本支配の構造 矢部宏冶

 知ってはいけない、と言われると知りたくなるのが人情。この本のタイトルはまさにそこを突いたもので、本当は知らせたいので書いている。などと言わなくてもそうに違いない。

 中身は、日米地位協定と日米合同委員会について、これらが出来上がった歴史的な流れと、現在も機能しているあり様を要領よく解説している。
 地位協定というのは、旧の安保条約に代わるものだが、表向きの協定のほかに「密約」により、実態は以前と何も変わっていない。
 日米合同委員会のメンバーは米軍と官僚。ここで確認されることは密約として、日米の間で施行されてしまう。つまり国のトップは、米軍+官僚ということだ。帯の副題の、私たちの未来を危うくする「9つの掟」の正体、と書かれている9つがそのまま章立てになっていて。
1.日本の空はすべて米軍に支配されている
2.日本の国土はすべて、米軍の治外法権下にある
3.日本に国境はない(これは米軍にとってということで、通関なしに基地に降りた米兵は基地外を自由に行動する)
4.国のトップは、米軍+官僚である
5.国家は密約と裏マニュアルで運営する
6.政府は憲法に縛られない
7.重要な文書は、すべて英文で作成する
8.自衛隊は米軍の指揮の下で戦う
9.アメリカは「国」ではなくて「国連」である(これは「国連軍」が=米軍であることを意味している)
 今の憲法の条文がどのようにして作成されたかについての、歴史的背景について明らかにされている。誰が原案を作ったかとかいうことではなく、ポツダム宣言や降伏文書、また英米二国間の協定である大西洋憲章そしてそれが基になった国連憲章。こういった条文の流れの末に、日本が二度と他国への侵略行為ができないようにと作成された。
 憲法9条は、国連軍があることを前提に日本は軍隊をもたないとした。しかし、朝鮮戦争により日本駐留の米軍が留守になった埋め合わせに、今の自衛隊のもととなった警察予備隊が作られ、米軍の指揮下に入ることが密約された。
 今の日本と米軍のおかしな関係は、米軍が駐留から撤退するときに、実質駐留時代の軍事面での支配関係が残るようにされたままだというのだ。
 ではどう取り組むかについても触れられている。簡単なことではないが、正論を通してゆくことで、米国側に譲歩させることができるはず。
 3年前に強行採決された戦争法は、密約の内容を明文化して確定させてしまったとも言える。早急に葬り去らなくては、自衛隊がどんどん海外に派兵されてゆく。