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2017-07-25

[]人気声優のつくりかた「瀬能いつみ」シナリオの感想・レビュー

挫折系主人公×コーチング×お仕事成功譚。駆け出し声優と苦難を乗り越え成功するはなし。
役者崩れの主人公くんが就任したのは、夢を追う若者に最適な環境を提供する学生寮の管理人。
仕事が取れなくて凹むクールなカッチリ系黒髪ロングと二人三脚して芸風を広げさせましょう。
技能の向上を図り準備して努力して、人事を尽くして天命を待っても、TO☆RE☆NA☆Iお仕事。
不遇な時代の焦燥感に駆られる描写はグッときますね。そのあとはご都合主義成功譚だけれども。

不遇時代の苦悩が良く描けておりステキ


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  • 努力しても技術を磨いても練習を重ねても採用されない時は採用されない
    • 瀬野いつみは駆け出し声優。デビューして何役かこなしたけれども最近は仕事に恵まれずにいました。性格は生真面目でありカッチリしているため、上手くいかない時のモチベーションの保ち方がつかめず四苦八苦します。人生は山あり谷ありで調子がイイ時ばかりだけではなく、辛く苦しく成果が出ない時もあるのです。そんな壁にぶち当たりスランプ気味のいつみを主人公くんは支えていくことになります。
    • シナリオは典型的な挫折系主人公モノです。主人公くんは俳優であり小役時代から経験を重ねてきたのですが父の死を契機に役者に打ち込めなくなってしまったのです。芸能科に通いながらも仕事干されたーズとしてプラプラした毎日を過ごしていましたが、寮母をしていた実母が腰をやってしまったため、臨時で管理人となるのでした。そして持ち前の俳優スキルを活かして芝居経験から得た様々な技術を寮生たちに伝授していくことになります。「望む道に向かって全身全霊で打ち込める学園生活を提供してあげたい」という父親の意志は主人公くんに受け継がれていきます。主人公くんたちは声優たちと接する中で、自己の中の懊火に燃料が注がれ一気に滾っていき、役者として復活します。
    • いつみシナリオでテーマとなるのが努力モノのパターンとして有名な「努力しても成功するとは限らない。だが成功した者は皆努力している」展開です。いつみの努力の様子をご覧ください。個人的に好きなのは、割と初期段階のいつみが間違った「頑張り」に走り主人公くんに説教されるシーンです。声優の仕事を干されたいつみはスキル向上のために朗読会の経験を積むのです。一見それは演技の幅を広げる良いものかと思われたのですが、所詮は素人劇であり参加しても得るものは少なく、しかもいつみはボランティアとしてロハで出演していたのです。「承認欲求が簡単に得られるからってスケジュールを埋めちゃったら、今度はお仕事が入らなくなっちゃうよ?」は破壊力バツグン。

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  • いつみの不遇時代は、共感的恥辱により、私の黒歴史を刺激してやまない。
    • 主人公くんのおかげで覚醒したいつみは得られた仕事の役を一つ一つ丁寧に演じていきます。モブの端役でキワモノキャラだとしてもキャラづくりに余念がありません。そして主人公くんと共に渾身のサンプルボイスを仕上げるなど、できうる限りの努力をしていきます。しかし不運は重なるもので、決まっていた仕事を横取りされたり必死に作成したサンプルボイスをスルーされてしまったりと泣きっ面に蜂。そして自分が「いらん子」であると感じ、無力感に打ちひしがれるのです。この悲しさや切なさは私の黒歴史を刺激するものであり、共感的恥辱が発動して大変なことになりました。
      • すごくどうでもいい個人的なことなのですが、私がまだ専任になれず常勤講師だった時の話です。常勤講師というのは専任教諭と全く同じ職務内容にもかかわらず人件費を抑制するため安く使い潰され、若いというだけで様々な仕事を押し付けられパワハラも食らうため労働力搾取な上に人格破壊されるブラックな地位です。専任教諭の地位を餌にされ頑張って頑張って頑張って頑張っても昇格できません。だって安く使い潰すための常勤講師なのだから。また地元の教員採用試験を受け続けても受からない。少子高齢化が進み学級数どころか学校数も削減され教員の母数そのものが減っているにも関わらず、杜撰な雇用計画によりダブついた「デモシカ先生」がウヨウヨいるという負の連鎖。努力しても報われないいつみの様子は、私の黒歴史を刺激するのに十分なものでした。
      • 私はその後、故郷を捨て都市圏の学校を受けることを決意しました。するとどうでしょう。ソレナリの学校をいくつか受けたら、わりと複数の内定を得られて専任になれたのでした。さながら「故郷で就職できなかった俺はしぶしぶ上京を決意しました」ですね。
    • ゲームの方はハッピーエンドの成功譚なので主人公くんと二人三脚しながら成功の道を歩みます。紙芝居ゲーのお色気ヒロインをこなし、キワモノキャラで一発ブームを巻き起こします(※このキワモノキャラを修練するギャグパートが割と好き)。そしていつみはついにニチアサ女児向けアニメのメインヒロインを獲得し、大出世。仕事が取れなくて凹んだ時の経験が糧になったというのはお約束です。

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