芥川賞・直木賞を検討してみる

候補が発表されたので、どのサイトを見ても絶賛予想中。当然私も乗るわけで。
芥川賞については全く分からない要素も多いので予想は難しい。松尾スズキが候補になったのはただの話題作りなのかどうか。まあ、書店側の都合で言うなら、伊藤たかみ絲山秋子あたりが受賞するのが理想的。


さて、直木賞だ。
最大の焦点はなんといっても東野圭吾『容疑者xの献身』をどう見るか。このミス・本ミス・文春と制して、直木賞も獲れれば「グランドスラム」だ。今までも「今度こそは」と言われながらも受賞を逃してきたことを考えれば、今回のは言わば「最後の決め球」。これで受賞を逃すともう縁はないかも知れない。最大の有力作品であることは疑いないし、心情的にもそろそろ獲って欲しい……のだが、そこに立ちはだかる「渡辺淳一」の壁を乗り越えられるかが鍵。「冬ソナ」のような純愛を批判した上で、日経新聞に「アイルケ」を連載中のかの人が『容疑者x』の純愛の形を認めるはずがない。他の選考委員が束になって渡辺淳一を押さえ込む、くらいの勢いがないと受賞は難しいのではないかと考えてしまう。
伊坂幸太郎『死神の精度』は文春だし人気作家だし完成されているし、ということで有力だが、個人的には『砂漠』で次回(2006年度上半期)の直木賞を文句なしの満場一致で受賞して欲しい。恒川光太郎『夜市』は『花まんま』と同系列のホラー枠(そんな枠ないけど。朱川湊人もホラー大賞短編賞を受賞しているので似たようなもの)だが、デビュー作でいきなり受賞は至難の業。「もう1,2作見てみたい」と言われるはず。荻原浩が読みにくいのだが、今回は「他が強すぎる」感じがする。というわけで、


本命:姫野カオルコ『ハルカ・エイティ』
対抗:恩田陸『蒲公英草紙』


と予想してみる。姫野は評判と実績を考えれば一番順当。恩田は『光の帝国』の続編だが、直木賞の選考に「続編」も何も関係ないので(今までも大沢在昌原りょう京極夏彦奥田英朗など、シリーズ作品でも多く受賞している)、マイナス要因がなければ受賞まで残りそうな気がする。