画像診断その1(レントゲン検査)

画像診断はRadiologyと呼ばれるセクションの仕事です。これまた分業が徹底されてますよ〜。Radiologyの仕事は大きく分けてレントゲン、超音波、CT・MRIの3つになります。まずはレントゲンから。

診察でレントゲン検査が必要になると、レントゲン検査のオーダーフォームに記入します。

動物の情報、担当医の名前、病歴を記入し、あとはどこを撮影してほしいか。で、整形外科の場合は元気な個体が多いのでほとんどの場合はメデトミジン鎮静をかけて撮影します。



これは鎮静剤の処方せん。メデトミジン5μg/kgとハイドロモルフィン0.05mg/kgを混合して静脈注射します。レントゲン撮影室の隣に、専用の順番待ちケージがあって、そこで投与されます。静注ですからすぐに寝てしまいます。電気的なモニター(ECGとかPaO2とか)は一切付けません。嘔吐の問題は無いか?と聞いてみましたがまず問題ないそうです。



撮影そのものはレントゲン室専属のテクニシャンの仕事です。これがスゴいのですが、動物を人の手で保定することはほとんどありません。砂袋やスポンジなどが豊富に用意されていて、これらを用いてうまーく固定してしまいます。レントゲンのシャッターは,動物からパッと離れて、衝立てに隠れてタイミングよく押してしまいます(その瞬間の写真はありませんが)。で、でき上がったレントゲン写真は、そりゃあもう芸術的に完璧な体位で撮影されています。膝も肘も肩も、もう文句付けようが無い写真ばかりです。これぞプロって感じ!曲がっちゃったから取り直すとか,イヌがあばれてうまく撮れなかった、とか言い訳してるのは見たことありませんでした!!!



写真は十字靭帯断裂うたがいのラブラで、鎮静下での撮影です。後躯麻痺のダックスなんかだと鎮静すらしないようです。
ちなみにレントゲンはイメージングフィルムを使用してデジタル処理なので、カセットや現像処理などいっさいありません。シャッター押したらすぐに、でネットワーク配信(PACS)でどこのコンピューターでも見ることができます。PCはあらゆる診察室、検査室、廊下にまで配置されており、いつでもどこでもすべての患者のすべての画像を見ることができます(これはVMCでもできるはずなんだけど。。。)
レントゲン室は2つしかありませんが、ほとんど渋滞せずにどんどん流れてました。人手も時間もお金も節約されてます。



とは言え、胸部のVDとか、股関節のOFAポジションとかはさすがに人の手で押さえて撮影していました。テクニシャンはみなさん女性で、防護服はちゃんと着ていましたが、おそらくイメージングフィルムは感度が良いために曝射する線量も少なくて済むのでしょう。