水正果(スジョンガ)おいしいなあ。身体があったまる。
 今日は年末年始の舞台おさらいやっておきます。随分時間が経ったものもあってあまりちゃんと憶えてないのですけれど(苦笑)。でも、昨日のビューティ・クイーン・オブ・リナーン、よかった!難点は題名が長いことくらいかな〜。

『RENT』(大阪厚生年金会館芸術ホール)@12/25マチネ

 映画は見ていたのですが舞台は未見。これ程まで多くのファンを惹きつける舞台、いったいどんな空間を創り出すんだろう。ともかくドキドキの参戦です。
 入場してすぐにパンフレットを買おうとしたら、天よ!売り切れです(涙)。『欲望という名の電車』に続いて二回目です。大阪の大千秋楽までの分、パンフレット確保しておいてくださいよ〜〜。収容人数は決まってるんだから〜(涙)。
 気を取り直して、客席へ。1階だけれど後ろから5列目くらい。でも、芸術ホールはいい会場だなあ、扇形で傾斜もハッキリしてるので全体が見渡せてとても良い感じです。
 Season of Loveは、ホントに素晴らしい歌です…。映画では冒頭初っぱなに登場するこの歌、舞台だと2幕の冒頭なんですね。もうもうテンションが上がります!なんせ、パンフレットが無いので(苦笑)、キャスト名もわからないままなので何ともなんないのですが、皆さんともかく歌がすごい!ガツンと胸を捕まれてぐいぐい引き込まれる。
 若いんですよ皆さん、たぶん役柄通り(ミミのハイティーンって以外)に、20歳前半ってところでしょうか。アンサンブルの人たちも揃いも揃ってとんでもない歌唱力。ジェニファ・ハドソンも真っ青☆って声が、アンサンブルで次から次へと登場するんだもん、もうお手上げだよ〜〜。
 エンジェルの人は、映画より華奢なんだけれど、ダンスがとってもうまかった。ミミの人のダンスも良かったなあ。バルコニーの手すりに足をからませ、腹筋だけで身体を上下させてしかも歌い続ける、その身体能力にも目が点になりました。うーん、これ、ミミをする女性にもモリヤマミライ級の身体能力が必要なんじゃないか??(苦笑)コリンズの人が意外や意外、高音で、それだけがちょっとイメージと違ったんだけれど、それも良かったですよ、うん。そういうと、ロジャーがちょっと体格のいい人で(少し体重がある?)、繊細で優男なロックミュージシャンという、私が勝手にもってたイメージとも少し違ったかしら…。でも、マークとロジャーのWhat You Ownは、聞きながら涙がにじみました。良かった…若さの希望と鬱屈とが歌に乗って迫るもんだから、いやあ、いろいろ揺さぶられました(涙)。主役であり狂言回しの役割も担うマーク、小さな身体で優しい美しい歌声でした。それと、映画よりもずっと踊るのでびっくりしました。タンゴ・モーリーンだけじゃないのね〜。
 私が一番気に入ったのはモーリーンです。とーってもチャーミング。ショートカットでイメージ通りちょっとぽっちゃり。歌もよかったなあ。満を持して登場のOver The Moon、moo!では盛り上がった盛り上がった、一気にヒートアップ!
 いやこれだけじゃなく、ともかく最初から最後まで、客席の熱気がすごいんですよ!!
 楽曲が終わる度に、いや曲によっては始まった途端に、大歓声と拍手が会場全体を包み、ともかくその熱さったらない! なんて多くの人に愛されている作品なんだろう。
 1回しか観られなかったけれど、私もその気持ちがわかった気がする。映画とは違う熱さが会場を覆うし、楽曲がすべて胸を打つものばかり。。音に言葉がストーリーが人の心が乗っかっている…。ああ、時期さえ許してくれてたなら、私も何回か通いたかったよ〜。*1
 どうか、BWキャストの方々、是非是非、毎年来てください。次回は何回か通います!というか、通える時期に来てください(苦笑)!といっても、ドラマの舞台がクリスマスだもんなあ、仕方ないのかしら…。

*1:それならパンフも買えた(苦笑)

テイクフライト(梅田芸術劇場メインホール)@1/3マチネ

 もちろんじゅんさん目当てです♪
 じゅんさんとなるしーはライト兄弟、主演の天海さんがアメリア・エアハート、城田優くんがリンドバーグ、それだけの情報で臨みました。ライト兄弟リンドバーグは時代が違うからどうなるのかなあと思っていたら、アメリアも含めて(まあリンドバーグから少し時代は下るんですよね)、三つ巴に物語が進行するんですね。狂言回しはラサールさん扮するリリエンタール。
 この構成が、うーん、どうなのかなあ…。三者が等しい比重で進行するために、短い尺ではそれぞれにエンジンが掛かり出すまでのドラマが散漫になり、ぶつ切れの印象を残してしまう。だから、ステージ自体の時間は短いのに、特に一幕目が起伏に乏しくて、私にしては極めて珍しく、ふとした瞬間に眠気が襲う程で…苦笑(寝なかったけれど)。もちろん、ライト兄弟の所は一番チャーミングなシーンだから、しっかり楽しみました。声を出して笑っちゃったし、もちろん手拍子にもしっかり参加しましたよ!二階席だったけど(笑)。
 じゅんさん、声いいなあ。腹筋が音を響かせてるような声、大好きです!なるしーも良かったです。ついつい、真面目な芝居をしておられても何かボケはるんやないかと思って身体が笑う準備に入るのが我ながらおかしかった(笑)。
 それと、何と言っても特筆すべきは城田君の歌です!昨日、mnmさんも書いておられたけれど、基本がしっかりしていて、腹から響く声。タッパのある身体を生かして見事な存在感でした。いやあ、アイドルっぽいカラオケ唱法とは全然違ったです。お見事!髪も金に近い明るい色に染めておられてお顔立ちとマッチ、時代に合わせて短く刈り上げた髪型も似合ってて、テレビドラマで観るよりずーっと魅力的でした〜!
 この人も、舞台で一層華やぐ人だなあ。どんどんミュージカルの舞台を踏んで欲しいです。
 ただ楽曲は、私には少々難しかったです(苦笑)。メロディーラインが掴みづらくって…。
 あ、舞台美術はおもしろかったですよ!
 飛行機の機体を思わせる砂丘、可動式のアルミでできたような飛行機工場、コンテナの組合せみたいなの、それの出し入れと、開く場所によって時代や場所や時間を変えていく。そのアルミ風の物体が時にスクリーンのようにもなって、群衆はそこに投影される人影で表現される。三次元と二次元が交錯している演出は、多分に暗示的だった。

ビューティ・クイーン・オブ・リナーン(シアタードラマシティ)@1/5ソワレ

 白石加代子大竹しのぶ、この2人が親子となり、いがみ合い傷つけ合う、これが凄まじくならないはずがない!もう、圧倒されっぱなしです。膨大な台詞、しかも憎悪や独占欲や懐疑や騙し合いやらといった、声にも身体にもとてつもない負荷がかかりっぱなしの言葉の山…。
 この言葉の山を全くよどむことなく、感情の緩急自在に、表情もめまぐるしく変化させ(特に白石さんは騙しの演技が入るので、くるくる表情がかわる)、つぶてのように台詞をグサグサと投げつけ続ける。いやあ、お二人ともすごい役者さんです。1人が大竹しのぶなら、もう1人は白石加代子以外有り得ない。逆もまた然り。そういう意味ではまさに必然のキャスティングです。すごすぎる。
 このドロドロした2人の合間にあって、パト役の田中哲司さんが、とーっても爽やかでステキでした。長身で、明るい茶色の髪(クリフ色に少し赤が入った感じ)、男前でした。僕たちの戦争でも正義感溢れる下から慕われる上官役でしたが、誠実で正直な男。ひたすらにオアシスのようでした(苦笑)。
 とんでもないドロドロのストーリー、傷つけ合う台詞の数々、だのにおかしいんですよ。客席からはお腹を抱えて笑う声もあちこちに見られ、ほんとに不思議な世界でした。えっと、もう少し詳しく書いてみたいのですが、ちょっと休憩(苦笑)。晩ご飯食べて、篤姫みなきゃ、12歳の瑛太


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 ということで、瑛太を見た後ちょっと緊張がとぎれてましたが(笑)、残り書いちゃおう。
 それにしても、久しぶりに「はなむらさーん!」な瑛太の笑顔を見たなあ。花ちゃん、結婚しちゃったなあ…。


 で、ビューティ・クイーンです。
 この母と娘、実は少し似た関係を現実に知っていて、私には少々笑えないものがありました(苦笑)。娘を独占し、妨害し、傷つけながらも、自由にならない身体を理由にあれこれと注文をつけ、世話を焼かせ、拘束する。娘に完全に依存しているのに、その娘を貶め辱める続けないではいられない…。娘はその母を憎み、乱暴に扱いながらも、世話は焼き続けている。呪縛のように母に拘束され、時折母に暴力を加えながらも…。
 幸せになりかける娘を徹底的に妨害する母。その母の故意の妨害に気づかずに、わざわざ卑猥な動作などをして、パトと一夜の関係を持ったと嘘をつかないではいられない卑屈な娘…。それが母を苛立たせると信じてその為に嘘をつく。母はその嘘に騙されるふりをし続けるのが我慢ならず、とうとう馬脚を現してしまう。母の悪意の裏切りを知り、ズタズタにされた自尊心を皮膚にぶら下げて、最後の悲劇へとひた走り出す娘。いや、悲劇は最後でもないのかもしれない。周りに悲劇はとうの昔から満ち満ちてたのだし、それはこの後も継続していくのだし…。悲劇の連続性というと、血の婚礼もそうだったね。というか、断ち切れないことこそが悲劇なのかな…。
 有り得ないことじゃない。特異なケースじゃない。アイルランド特有のものでもない。こういう母娘関係、どこでも、現代の日本でも、十分に存在する…。最後の悲劇まで突き進むことはさすがに稀であっても。

 この戯曲を書いた人が、まだ30代の劇作家ということに驚きです。1971年生まれだって…。長塚さんは『ウィー・トーマス』『The Pillowman』に続いて彼の作品を演出するのは三作目とか。
 マーティン・マクドナー。憶えておこう。