「欲望という名の電車」@シアタードラマシティ

 好天の連休最終日は秋山ブランチです。
 観たかったんだけれどチケット出遅れて、なかなか良い席に巡り会えず半ば諦めてたんですが、お誘いいただいて素晴らしい席で観ることができました!ありがとうございました。
 
 ともかく、秋山奈津子さんの可愛らしさと悲哀と愚かしさと健気さに、ただただ涙です。池内さんのスタンリーも、粗暴で子供っぽい男の匂いが溢れ出ていて、絶妙のキャスティング。随所に、大人計画らしい笑い…というか苦笑いが充満しているのも、今回のこの舞台については寧ろ「救い」に近い感じがしたのはすごく不思議でしたよ。何だろう、人間は生きるしかない!という安心感がそこから生まれてたのかもしれません。誰にも一瞥も加えずにこやかに去って行くブランチも、あの場では寧ろ、彼女の生きるしかない性を感じさせて、悲しいやら愛おしいやら…(涙)。
 
 前回この演目を観たのは、2007年暮れの、篠井ブランチ&有起哉スタンリーでした。
 篠井さんのブランチは気高く悲しく、問答無用に涙腺決壊。最後、お医者さんの腕を取って去る彼女は客席を歩んで行ったんじゃなかったかしらと思うんだけれど(朧気な記憶)、今回は、客席も舞台上もすべてから隔たって階段を上っていく、そんな演出でした……。あんな道、あったっけ?…(涙)
 そのどちらも良かった、というか、どちらであってもブランチの悲哀は、誰にとっても怖れであり憧れでもありつづける。それがこの戯曲の一つの魅力なんでしょうね。
 スタンリーは、筋骨隆々マッチョな池内さんが神懸かっておられました。いえ、有起哉スタンリーも、普段より体重増やして挑まれたとか、粗野さも子供っぽさも十分だったと思うけれど、如何せん、どうにもこうにも知的!(苦笑)その為、スタンリーの行動の背後に何か「計算」めいたものが有るのでは?と勘ぐらせ、それはそれでスタンリー像に不思議な影を与えていたと思います。
 でも今回、単純さそのものの持つ残酷と後悔と運命を際立たせた池内スタンリーは、秋山さんという圧倒的な魅力を寧ろ常に際立たせて、もうはまり役!としか言えないくらいの存在感でした。
 この人が、アオドクロで蘭兵衛だったなんてな〜〜〜(苦笑)。時にその記憶がムクムクとよみがえって、スタンリーと蘭兵衛の接近を脳内で一生懸命振り払ってましたよ、ああ単細胞な自分の脳みそが恨めしい(苦笑)!
 
 そうだ。篠井版ブランチで、曰く言い難い味を醸し出しておられた伊達暁さんのミッチ!これはもう、舞台上に「異質」を絵に描いたように際立たせて、ある種不穏で、ある種客席との橋渡しで…いや私は思いっ切りその存在感に惚れてしまったのですが、今回のオクイシュージさんのミッチときた日にゃ!いやあ……。別の意味で驚愕の演出!松尾マジックに大胆に染められながらも、その向こうにブランチに一番近い人としての存在がにじみ出る…そんな際どさを、ものの見事に演じておられました。
 は〜〜。
 
 他にも村杉さんの鳩胸&頭髪シャワーも、猫背さんのユーニスも、もちろん鈴木砂羽さんのビーナスのようなステラも、すごくすごくステキでした……。ああ、行って良かったなああ!
 
 終わった後、新しい三越伊勢丹をひやかして帰宅。
 次、この梅芸に来るのはワカドクロの時かな〜〜。うーん。チケット取れるのかな〜〜(苦笑)。