銀座ニコンサロンの新田樹写真展「サハリン」が印象的だ


 東京の銀座ニコンサロンで新田樹写真展「サハリン」が開かれている(5月5日まで)。新田は1967年、福島県生まれ。東京工芸大学工学部卒業後、麻布スタジオ入社。1991年半沢事務所入社。1996年独立。写真展に、2003年コニカ・フォトプレミオ「SURUMA」、2007年「樹木の相貌」(以上、コニカプラザ)などがある。
 タイトルのサハリンは、北海道の北に位置する島の名前。現在ロシア領だが、第2次世界大戦までは樺太と言って南半分が日本の領土だった。
 ニコンサロンのホームページのテキストを引用する。

日本統治時代に樺太と呼ばれたこの地には、1945年8月の太平洋戦争敗戦時、約35万人の日本人と、2万〜4万3000人の朝鮮人が取り残されていた。戦後、ソ連(当時)領となったこの地から日本人の多くは引き揚げたが、朝鮮人とその配偶者であった日本人は、その後数十年にわたり、この地を離れることはかなわなかった。
作者が初めてサハリンを訪れたのは1996年のことだった。終戦からおよそ50年、この地で未だに日本語が日常的に使われている事を知った。それは、単に話せる事とは違う何か、その後永く繰り返される問いの始まりとなった。
歴史が記憶の堆積物ならば、降り積もって埋もれてしまう前に、単純に割り切ることのできない思いを抱えて生きる姿に、今なら向き合えるのではないかと動き出したのは、それから14年後の2010年のことだった。カラー53点。

 すばらしい写真展だ。写真の横に新田の文章が展示されている。取り残された朝鮮人や日本人のお婆さんたちとの会話が綴られている。その文章=エッセイがとても印象的だった。写真を見ながら文章を読めば忘れられない写真展になるだろう。多くの人に見てほしいと思った写真展だった。
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新田樹写真展「サハリン」
2015年4月22日(水)〜5月5日(火)
10:30〜18:30(最終日は15:00まで)会期中無休
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銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/