STEPSギャラリーの吉岡まさみ展「secret memory」を見る

 東京銀座のSTEPSギャラリーで吉岡まさみ展「secret memory」が開かれている(7月2日まで)。吉岡は1956年、山形県生まれ。1981年に東京学芸大学教育学部美術科を卒業している。1982年に東京のかねこ・あーとGIで初個展、以来同画廊やときわ画廊、巷房などさまざまな画廊で個展を行ってきた。2007年からはアメリカやドイツなどでも個展を行っているし、2015年にはセルビア国立美術館で倉重光則とセルビア人画家との4人展を行っている。




 今回の吉岡の展示はインスタレーションだ。画廊の壁面2面と床の一部を使って作品を制作している。その制作方法について、

1.B1の大きさの紙にマジックインクでドローイングする。
2.ドローイングを縮小コピーし、透明フィルムに転写する。
3.プロジェクターを使って、フィルム作品を画廊の壁に大きく投影する。
4.投影された作品の線の上をなぞりながらデザインテープを貼っていく。
5.テーピングはすべてスタッフが行い、作家本人は制作に加わらない。

 吉岡の作品のユニークな点は、制作最後の画廊の壁面へのテープを貼る作業をスタッフにまかせ、吉岡が一切タッチしないところだ。もちろんドローイングは吉岡が描くし、テープの色もどの壁面に投影するかも吉岡が決めている。しかし仕上げには一切タッチしていないのだ。
 壁面へ直接テープを貼っているので、会期終了後は剥がしてしまい、作品は映像記録としてしか残らない。たった10日間という贅沢な展示だ。

 今回は同じようにドローイングしたものを、4号〜10号程度の大きさの板にプロジェクターから投影し、その形を吉岡本人が削ったものを着色したレリーフ状の作品も作って、奥の小部屋に展示している。いわばマケットみたいなものだ。
 会期終了とともに消えてしまうインスタレーション作品をぜひ自分の眼で見てほしい。ただSTEPSギャラリーは琉映ビルというエレベーターのないビルの5階にある。そのつもりで行かれること。なお同じビルの4階はギャラリー58になっている。
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吉岡まさみ展「secret memory」
2016年6月22日(水)〜7月3日(土)日曜休廊
12:00〜19:00(土曜日17:00まで)
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Steps Gallery(ステップス・ギャラリー)
東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル5F
http://www.stepsgallery.org/
晴海通りから天賞堂GUCCIの間の道を入った右手