東京都美術館の「精神の〈北〉へ」を見る

 東京上野の東京都美術館ギャラリーAで「精神の〈北〉へ」が開かれている(6月18日まで)。企画者の丸山芳子がちらしに書いている文章の一部を引く。

……「精神の〈北〉へ」は、各人にとっての「北方的精神」とは何かを探り、世界的な視野でその共感を図ろうとするプロジェクトです。アーティストや様々な分野の研究者による、知的・感性的な交流と融合を実践し、民族やフィールドの違いを越えて、新たな北方論を紡いでいきます。……

 会場の中央に丸山常生のインスタレーション作品が立っている。東京都美術館の備品である公募展の彫刻を展示する台座を組み合わせて8メートル近い塔を作っている。本展のシンボルのような存在だ。塔の直径の大きさと高さの比率から、見あげると東京スカイツリーを連想する。同時に上の階から見下ろすと、高く組み上げられた塔に台座の上面=平面が様々な高さで並べられていることが分かり、ある種の複雑な位相を見せている。



 丸山芳子は床に丸く拡げた布?の上に石膏の破片のようなものを多数並べている。無造作に投げ出されたような造形だが、丸山の示唆を受けてよく見ると、それらの破片は文字を構成している。それは、「どうしたら たがいに わかりあえる だろうか」と読める。






 また丸山芳子の絵画作品も良かった。


 久しぶりに千葉奈穂子の写真が見られた。サイアノタイプ写真技法とあるが日光写真に近い手法だと聞いた記憶がある。東北の古い家屋などを撮っている。銀座の小野画廊やMOT アニュアルで見たのだった。


 ほかに、アマンダ・ビルバリやヴィグディス・ハウグトゥロ、ヘレナ・ユンティラ、石倉敏明、高島正志、田附勝が参加している。
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「精神の〈北〉へ」
2017年6月9日(金)−6月18日(日)
9:30−17:30(金曜日は20:00まで)会期中無休
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東京都美術館Aギャラリー
東京都台東区上野公園8-36
電話03-3823-6921(代表)
http://www.tobikan.jp/exhibition/2017_groupshow.html