2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

コスモスのアブラムシ

半月ほど前、娘がコスモスの花が見たいと言った。季節としては少し遅かったので花屋にはもうないだろう。田舎へ行ったときに路傍で見かけたが、まさか東京まで持って帰るのは諦めた。写真を撮って帰ったが、実物が見たいと言う。 昨日、たまたま近所の公園に…

本陣房の蕎麦

私が2番目に好きな蕎麦屋が新橋の本陣房だ。ここは「せいろもり」と「田舎もり」が基本で、田舎もりは黒くて太くてやや硬い。どちらも670円。せいろと田舎が1枚ずつの二色もりが1,000円だ。久しぶりに二色もりを食べてみたが、私はせいろの方が好きだ。 こ…

好きなバイオリニスト

娘が小さいときカミさんがバイオリンを習わせていた。その先生にバイオリニストは誰が好きですかと聞いたら、グリュミオーだと言う。聴いてみたらパールマンとは違うが美音のバイオリニストだった。それでグリュミオーでバッハの無伴奏バイオリンパルティー…

40年前のキャバレーの料金

40年ほど前、キャバレーのボーイをしていた。渋谷にあったエンパイヤという大きな店で。ホステス700人、ボーイ70人、メンバー70人がいた。元は力道山が経営していたリキパレスの建物で、現在はオフィスビルに建て替えられている。当時の給料が36,000円だった…

11月の花

近所を歩いて11月の花を撮影した。 まずイソギク(磯菊)、西日本の海岸に多い。花弁がなく、香りが強い。 ツワブキ(石蕗)、何か私小説に登場したような気がするが、思い出せない。 サザンカ(山茶花)、いろんな色彩があるがこれは白。 ヤツデ(八つ手)…

管理可能な金額はいくらか

人には管理可能な金額、つまりその上限の金額があると思う。 1992年飛鳥新社の発行した「磯野家の謎」が200万部を超えるベストセラーになった。その収益により新聞事業に進出し、夕刊紙「日刊アスカ」というマンガ新聞を発行するが25億円の赤字を出して半年…

吉田秋生「真昼の月ーー海街diary2」

久しぶりに本屋のコミックコーナーを覗いたら吉田秋生「海街dairy」の第2巻「真昼の月」(小学館)が先月発売になっていた。第1巻「蝉時雨のやむ頃」が出たのが昨年の5月で、続編を待ち望んでいた。これは吉田秋生の日常への回帰ともいえるコミック、鎌倉…

変わった仕事

世の中には変わった仕事がある。普通に見られるのが捨てられている雑誌集め。駅のゴミ箱を漁って捨てられた雑誌を集めている。これは1冊20円で買ってもらえる。道路脇などで売られている雑誌の仕入れ先がこのおじさんたちだ。販売価格は1冊100円、差額の80…

30年ぶりに会った従妹のこと

金沢文庫で叔母の葬儀があり不肖の甥私も列席した。そこで30年ぶりに従妹に会った。当時20歳くらいだった彼女がもう50歳になっている。かわいい娘だったが今もかわいくてきれいになっていた。不思議だったのが、30年の時をいっきょに飛び越えて20歳の彼女が…

過剰な人たち

画廊回りをしていると同好のお仲間たちに会う。その中でも一番すごい人は三浦仂さん、ギャラリーの人たちは愛着を込めてイカさんと呼ぶ。名前の「仂(いさお)」の字を分解しているのだ。もう70歳くらいの方だが、年間に回るギャラリーの数が5,400軒だという…

コチニール色素

中央道の双葉サービスエリアで買ったサンドイッチの原材料の一つにコチニール色素とあった。帰宅してそれをネットで調べてみた。食品の着色料の一種で、メキシコのコチニールカイガラムシから抽出したものだ。赤色の色素として使われている。従来の赤色2号…

渡辺保によるスタニスラフスキー著「俳優の仕事」の書評

渡辺保がスタニスラフスキー著「俳優の仕事ーー俳優教育システム」(未来社)の書評を書いている(毎日新聞2008.11.16)。 この本には四つの側面がある。 第一に、俳優教育のテキスト。(中略) 第二に、演劇の入門書として。(中略) 第三に、身体論あるい…

秋山画廊の小林聡子展

渋谷区千駄ヶ谷の秋山画廊で小林聡子展を見る(11月29日まで)。紙で作った箱のようなものを22個画廊に並べたインスタレーションだ。箱は蜜蝋が塗られていて折り畳むことができる。箱の中には何も入っていない。これは何だろう。 作家と話した。箱は容れ物で…

山本弘の作品解説(14)「秋雨」

山本弘「秋雨」油彩、F10号(53cmx45.5cm) 秋雨の季節としては少し遅かったかもしれない。1978年制作。 題名「秋雨」を知ると、何が描かれているかよく分かる気がする。絵はほとんど縦のストロークで描かれている。中央下方に池だか水たまりがあるようにも…

中澤まゆみ「おひとりさまの『法律』」を勧める

上野千鶴子「おひとりさまの老後」(法研)の姉妹書として同じ出版社から中澤まゆみ「おひとりさまの『法律』」(法研)が出版された。著者の中澤は高校の時の同級生で、先日一緒に飲んだときに読んでよと言われた。普段この手の本を手に取ることは少なかっ…

日本海の見慣れぬ大きな島

もう大分前のことだが、新聞の広告に衛星写真の日本列島が掲載されていた。それが電力会社の広告だったのか、夜の写真だった。海岸線を明るい光が象って日本地図が再現されている。東京や大阪、名古屋などはことに明るく輝いている。ところが見慣れないとこ…

私の自選「良かったら読んでね」エントリー集

12月に「シュンポシオン横浜」という集まりがある。 http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20081013/p1 それに向けて、倉田id:atkuraさんよりご提案があって、 いままでにみなさんが書いた記事の中で「これを読んでもらえると嬉しいな」「これはがんばりました…

小磯良平の自己評価

以前「小磯良平と山口長男」(2006年3月14日)というエントリーを書いた。 小磯は在学中に帝展で特選をとり画壇に認められる。2004年世田谷美術館で行われた小磯良平回顧展を見た。若い時からすでに完成の域に達していて小磯の婦人像はすばらしい。肌や着物…

私の画廊巡りの手順

私の画廊巡りの手順を紹介する。画廊のスケジュールが掲載されている雑誌「月刊Gallery」を購入し、毎回必ず訪れている画廊と、今月見るべき展覧会を黄色のマーカーでチェックする。また先月から引き続き開催されている展覧会ですでに見たものはピンクのマー…

隠されたものは現れる

机の上に硬貨を置きその上に白い紙を載せる。硬貨は隠されて見えない。紙の上から鉛筆で線を引く。真っ直ぐな線が何本も引かれる中、硬貨に当たった線は硬貨の縁をなぞってまた離れてゆく。何本も何本も線が引かれるとそこにくっきりと硬貨の形が現れてくる…

言葉の生まれるところ

文章をつづる。言葉を考える。別の言葉を探す。言葉が浮かび出る。その言葉を文脈の中に組み込んで検討する。また別の言葉を探す。新しい言葉を文脈の中に入れる。それに決める。 探し出した言葉が妥当か否かは、具体的に文脈の中に入れてみないと分からない…

スタニスワフ・レム「宇宙飛行士ピルクス物語」

SF

スタニスワフ・レム「宇宙飛行士ピルクス物語」(ハヤカワ文庫)上下巻を読む。28年前に単行本で発売されたものの初文庫化。一応SF小説だが、もっと深い哲学的な小説なのだ。2006年に84歳で亡くなってしまったが、ノーベル文学賞はレムにこそ与えるべきだっ…

五代目桂米團治の襲名披露

NHK-BSで五代目桂米團治の襲名披露を見た。襲名の口上が面白かった。桂小米朝改め五代目桂米團治を舞台の真ん中に、左から実父で師匠かつ人間国宝の桂米朝、小さんの孫の柳家花緑、三遊亭圓歌、林家正蔵、桂文珍、桂ざこぱが並び、司会を桂南光が勤める。落…

禁欲的で厳しい抽象ー早川重章展を見てほしい!

銀座1丁目のギャラリーゴトウで早川重章展が開かれている(11月15日まで)。早川は1924年生まれ、今年84歳になるという。戦後しばらく自由美術に属し、その後数年間ロサンゼルスに行っていた。若いときにアンフォルメルや抽象表現主義の影響を受けたのでそ…

ギャラリー58の吉田公美展は注目だ

銀座4丁目のギャラリー58で吉田公美展が開かれている(11月8日まで)。ギャラリーの真ん中に鉄片を溶接した大きな作品が展示されている。なんか変な形だ。不思議な形だがユーモラスでもある。周囲をぐるぐる回って見ていたら、ギャラリーオーナーの長崎さ…

なびす画廊の新井コー児展が面白い

新井コー児の個展が銀座1丁目のなびす画廊で開かれている(10月8日まで)。これが面白い。新井コー児は昭和48年生まれ、そして彼が描いているのは昭和40年代の日本の社会だ。当然彼はまだ子どもだったので本当のことは知らない。資料を集めて調べながら描…

玄人の言葉

先日、ひょっとこ乱舞という劇団の芝居を見た。初めて見る劇団だが、「タダ見でゴー」という無料チケットをもらったので、吉祥寺シアターへ行って「プラスチックレモン」という芝居を見てきた。作・演出:広田淳一。 その感想をmixiの日記に書いた。 これが…

佐野眞一による政治家たちの人物月旦

佐野眞一はノンフィクション作家として私が一番信頼する人だ。これらの本をいつも感嘆して読んできた。特に『カリスマ』と『阿片王』はすばらしかった。並の作家ではない。 『遠い「山びこ」 - 無着成恭と教え子たちの四十年 - 』(新潮文庫) 『カリスマ─中…

立川談春「赤めだか」が面白かった

立川談春の「赤めだか」(扶桑社)は評判どおり面白かった。談春は中学生のころから競艇選手になりたくて、サングラスをかけ髭を描いて競艇場に入り浸る。しかし高校1年のときに身長が172cmになってしまう。競艇選手は170cm以内でないと書類審査が通らない…

絵画バブルの崩壊

ギャラリーアポロの秋山さんが絵画バブル崩壊について書いている。(「APOLLOMEDIATE」2008年11月号) 美術品と株価の動きはどうなっているかと言うと、株や土地というのは金融経済の親方商品で、美術品はその最末端の金融商品に位置づけられる。途中には商…