mmpoloの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-10-11

[]西原理恵子をちょっと読み直す



 西原理恵子の「上京ものがたり」(小学館)のあるエピソードを見たくてパラパラめくっていたが、結局また始めから読み直してしまった。西原の人間観察は本当に鋭い。

「私」は四国の田舎から上京し美大に入学するが、学費や生活費を稼ぐために歌舞伎町水商売のバイトをする。仲よしになった近所のじいさんが、親戚が出版社に勤めているから絵を見てもらえと有名な出版社へ連れて行ってくれる。親戚はその出版社で倉庫の荷下ろしをしている人だった。

 応接室で待っていると、現れたのはキャリアウーマンであろう女性編集者で「彼女は(私が)仕事先でも学校でも親のまわりでもみたことのないかっこいい女のひとでー」私のイラストを1枚ずつ丁寧にみてくれ最後に言った。「一番得意なタッチでもう1枚かいてきてもらえますか」しかし、もってきたイラストはとにかくどんな小さなカットでももらえるようにと、エロからスポーツ・風景すべてを誰かにマネたカット集で、それは私が何でもないただ者だという事の証拠だった。「私」は深く恥じ入っている。顔が青紫色に塗られていてそれが分かる。

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 ただマネだけしているイラストレーターの卵と一流出版社の一流編集者の対比が描かれている。しかしこの立場は10年しないうちに逆転する。「私」西原は多額の所得税を課されて、母親に問う。私去年いくら稼いだのよ? 母親の答えが8千万円よ、だった。一流のキャリアウーマンには到底到達することのできない世界なのだった。

 さて、10月9日付けの毎日新聞に掲載されている西原理恵子の「毎日かあさん」は「息子育て」が副題。「息子育てがちょっと一息ついて思う。男の子を育てて良かったこと」として、いくつか箇条書きされる。「怖がらせて楽しめる」「一緒に外を走りまわれる」「一緒にもりもりごはんを食べる」「肉料理が得意になる」「虫や電車にくわしくなれる」「くだらないギャグが得意になる」「一緒にUFOを信じる」、そしてラストのコマが……

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「好きな人の子供のころが見られる」

 それは子どもたちの父親で先年亡くなった鴨志田穣のことだ。アル中が原因で離婚したものの再婚を考えていたらしい。でも亡くなってしまった。このコマがとても哀切だ。

上京ものがたり

上京ものがたり

2011-04-07

[][]西日本東日本の違い



 毎日新聞に、連載マンガ「毎日かあさん」の連載10年目、400回を超えたのを機会に作者西原理恵子へのインタビューが掲載されている(2011年4月3日)。西原は高知県の出身だ。ここで西原による西日本東日本の人情の違いが語られている。

 −−今年で連載10年目、400回を超えました。

 最初の頃は評判の悪い連載だったので、こんなに続くとは思ってもいませんでした(笑い)。

 支持されたとすれば、全体に流れる「西」のテイスト(味)かなあ。高知出身の私から見ると、関東は子育ても細やかで厳しい。神経質すぎる。

 私ら西日本は、おおらかというか、いいかげんなところがありますから。子育てなんて、そんなちゃんとせんでもええやん、という。

 筋を通すのが東の文化なら、西は情の文化。それぞれいいところを取ればいいと思うけど、男女の関係とか子育てとかは、西の文化の方がいいと思う。女性として過ごしやすい文化なんですね。

 そのへんの規律が窮屈すぎて、壊れていく夫婦や家族がたくさんいますから。お父さんも悪いとこがある。お母さんも悪いとこがある。それでええやん、それでやっていこう、という。「毎日かあさん」のそういうところが受けたのかもしれません。

毎日かあさん」は毎週楽しみに読んでいる。私ら東日本から見れば、西原の描く世界は正に「おおらかというか、いいかげん」な世界だ。いつも驚き呆れている。これが西日本の文化なのか。そういえば、いしいひさいちも関西出身だった。共通するものがたしかにあるようだ。

毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編

毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編

2011-04-03

[]いしいひさいち「死斗!! SF巨編 地底人 対 最底人」


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なんだ これはーっ!

新兵器の未確認匍状前進物体ですが。

こんなもんが戦力になるかっ!

キモチ悪いだけやないかっ!

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と、まあ、このように地底人たちが、相も変わらず

地上の地表人(我々のことである)侵略の計画に憂身を

やつしていたそのころ……

その地底人の足元のその下の

さらに地底の奥深く、

はるかはるか地底の最深部の漆黒のその中に

この地底人民共和国の侵略をたくらむ

世にも不気味な侵略者の一団があったのである。

そおっ! あのっ!

最底人である!

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お おまー

あっあ、あほやろー

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わ、わーは、

あ あっ

あほっちゃうどー

 いしいひさいちの「地底人」(双葉社)は1987年の発行だ。もう24年前になる。これらの表現は現在だったら出版社が自己規制して発行されないだろう。井上ひさしの45年前の傑作人形劇「ひょっこりひょうたん島」も差別語の問題でいくつかの巻がNHKによるカラー版での再制作から外されたのだった。そういえば筒井康隆も度を超した差別語狩りを批判して断筆したことがあったのを思い出す。