mmpoloの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-01-26

[]大八というラーメン店があった



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 東京六本木に大八という名前のラーメン店があった。地下鉄日比谷線六本木駅を降りて国立新美術館またはSHOUNANDAI MY ギャラリーへ行くとき、近道で東京ミッドタウン前に斜め左に抜ける小路がある。小路を入ってすぐのところにその大八があった。今は写真のとおりまるで廃屋のような姿をしている。抵当物件にでもなっているのだろうか。

 大八について20年前のグルメ本にはこう紹介されていた。

六本木ラーメン屋としては20年を越える老舗といえる店。自己流で始めたというが、ファッショナブルな街六本木に良く溶け込んでいる。めんは細く、ゆで方に充分な神経を使っている。鶏がら、豚骨、野菜を長時間煮込んでとったスープに、生じょうゆを加えた味付けは、さっぱりしたなかにもこくがある。具はチャーシューとメンマに、青いいんげんが加わるだけのシンプルなもの。ラーメンのほかにはワンタンメンの人気が高い。(後略)

●メモ/夕刻から深夜にかけて営業している。「支那ソバ大八」の大きな看板が目印だ。

 グルメ本によるとメニューは、ラーメンが600円、ギョーザ500円、ワンタンメン800円、チャーシューメン800円となっている。現在にくらべて多少は安いようだ。10席しかない小さな店だった。

 グルメ本の出版された20年前ころ、クライアントの接待で六本木のクラブへ行った帰りに寄った記憶がある。大通りから少し外れているとはいえ、営業するのに悪い場所ではない。何があったのだろう。

2014-11-10

[]あこがれの草ボケの酒



 画家の山口晃東京大学出版会のPR誌『UP』に漫画「すゞしろ日記」を連載している。雑誌は月刊誌で連載はこの11月号で116回になる。てことはもう9年を超えているのだ! 雑誌がA5判と小さいのに、その1ページを24コマに割っている。まとめた単行本も羽鳥書店からすでに2冊刊行されている。さすがにそれはB5判と大きいけれど。

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 今回は山梨県富士吉田市へ行った話。山口が富士山信仰に絡めた富士山の絵を依頼されてその取材とある。宿へ着き関係者で夕食会となった。そのメニューが紹介されている。ジャガ芋とヒジキの煮もの、ちりめん山椒に竹の子煮、カボチャの酢のもの、はなまめ、ぶりの煮つけ、さしみとエビフライ、酒は一升瓶入りワイン「ルバイヤート」(まとも!! とコメントしている)、自家製薬用酒がシンドメ酒と五味子酒とある。

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 さて問題はこのシンドメ酒で、中に草ボケの実が入っているという。これはボケ酒だ。だがボケの実ではなく、草ボケの実が使われている。私もときどきボケ酒を作っているがすべてボケの実だ。まだ一度も草ボケの実を使ったことがない。果実酒の本によると、ボケより草ボケの方がおいしい酒ができるという。草ボケは長年あこがれの実なのだ。

 ときどきボケ酒を作っていると書いたが、ボケの実はときどきしか手に入らない。ほぼ3年に1回くらいか。果樹特有の生り年がボケには顕著にあるようだ。今年が豊作だと、その後2〜3年はほとんど実をつけない。だいたいボケの木そのものがあまりないし、栽培している農家はゼロだろう。昔、神田にある老舗の果物屋、江戸時代から続くという「万惣」に探しに行ったがなかった。それで改めてボケの実の入手を頼んだら翌年手に入りましたと電話があった。かなり高価だった。ボケにしてこれだから、草ボケなんか図鑑や写真で見ただけでまだ実物にお目にかかったことがない。その草ボケの酒を山口さん飲んだんだ。ちょっと羨ましい。

 ちょっと羨ましいと書いたが、実は飲むことにあこがれているのではなく、作ることが好きなのだ。だから古いボケ酒も飲まないで残っている。今年もボケは手に入らなかった。団地の植え込みのボケに珍しくたくさんの実が生ったのだったが、おそらくクソガキどもが悪戯して青いうちにほとんど採られてしまった。銀座の道路わきに植えられているボケも実は1個しか着かなかった。まあ、来年に期待しよう。


山口晃『すゞしろ日記 弐』が楽しい2014年1月29日)

山口晃「すゞしろ日記」発行される(2009年8月6日)

2013-11-17

[]牛脂注入肉のニュースで思い出した



 牛脂注入肉という加工肉の記事が朝日新聞に載っていた(11月14日)。

 ほとんど脂のない赤身の肉が、剣山のような機械を通り抜けると、霜降り肉のような姿に変わっていた。その間、わずか1、2分。(中略)

 赤身肉の塊がベルトコンベヤーを流れていく。主に豪州産とニュージーランド産の、出産を経験した「経産牛」を原料に使うという。

 剣山のような機械は「インジェクター」と呼ばれる。下向きに長さ20センチほどの針が200本以上あり、下を通る肉を突き刺しては上がる。この動作を肉が通るたびに整然と繰り返す。突き刺したときに注入される牛脂は国産牛の脂を精製したもの。風味がよくなるアミノ酸などの添加物も入っているという。(中略)

 加工前と後の肉を焼いてもらって試食した。加工前の肉はかたく、かみきれない。食感もパサパサで、うまみがほとんどなかった。

 牛脂注入肉は一度でかみ切れるやわらかさ。何よりジューシーで、うまみが口に広がった。(後略)

 これを読んで思い出したことがある。もう10年ほど前になるか、取引先の印刷会社の営業マンをしていた川上さん(仮名)が脱サラして、安価なステーキを食べさせるフランチャイズ店に参加し、店長だったかオーナーだったかになった。案内を受けて食べにいってみた。ランチのステーキ定食が1,200円ほどだったか、量もそこそこで結構うまかった。知人にも勧め、ランチを2、3回ほど食べに行ったと思う。

 ある時、ランチのステーキ定食を食べたが、いつもと違って肉が何の味もしなかった。食感だけは肉なのだが、旨味がほとんどなかった。川上さんがいなかったので店員にまずかったと言い、名乗って川上さんに伝えてくれるよう言って帰ってきた。

 帰社したとき、川上さんから電話があったことを伝えられたが、もうランチのことは忘れていて、別の川上さんに電話すると、自分は電話などしていませんと言われて、そのことはそれっきりになってしまった。その店はまだ京橋の同じ場所にあるが、それ以来一度も行っていない。

 それまでおいしいと思って食べていた肉が、なぜこの時おいしくなかったのか、もしかすると何らかの方法で加工していたものを、その時食べた肉だけ加工し忘れたのかもしれないと漠然と思っていた。今度の牛脂注入肉の記事を見て、あれは牛脂注入をし忘れた肉だったのかもしれないと思っている。

2013-02-15

[]本当のマテ茶は何か



 最近ペットボトルに入ったマテ茶が売られている。これはマテ茶だろうか。マテ茶は南米のマテの葉から作るお茶の一種だ。本当のマテ茶がレヴィ=ストロースの『悲しき南回帰線』(講談社文庫)に紹介されている。ブラジルのマト・グロッソ地方で、

……日に二度は−−朝の11時半と夕方の7時には−−住宅の廻りに巡らした露台に皆が集って、南米特産のマテをストローで飲むシマランという日に二度の仕来りがある。マテの木は樫と同科の灌木で、その細枝を地中に掘った炉の煙でかるく焙って、灰緑色の大粒の粉にひき、小さな樽に詰めて、永い間保存されたものがいわゆるお茶(マテ)であることは知らぬ人はない。しかし、本物の南米のマテとなるとそうはゆかない。この商標をつけてヨーロッパで売られているものは、大がいすっかり変質してしまっていて、原産地のお茶とは似ても似つかないしろものだからだ。

 このマテの飲み方には幾通りかある。調査旅行の途次に疲れ果てたときなど、一杯のマテで疲れをさっぱりと忘れたくてたまらなくなり、われわれは水をさっと沸かし、火をひいて−−これが大切なことだ−−沸とうした瞬間に一握りほどのマテを投げ入れる。こうしなければマテの風味は味わえない。そうするのをシャ・デ・マテ(マテ茶)、これは煎茶の逆を利用したのだ。色は濃緑で、濃縮コーヒーのようにどろどろしている。ひまがないときには、水に一握りほどの粉を入れて、管で吸い込む、いわゆるテレレを試みるのもよい。茶のにが味を好まない人はパラグアイ風の甘茶、マテ・ドセの方がよいだろう。そのときはマテに砂糖をまぜて火にかけ、飴のようにして、この熱いどろどろを沈ませてから濾すのだ。ところで私の知っているかぎりでは、このマテ好きの人たちは皆シマランを最上のものとしている。これは社会的な仕来りであると共に、個人的に見れば悪風ではあるが、ファゼンダではこれがなければ、日も夜も明けないのである。

 まず皆は湯沸しと七輪とクイアを運んで来るシーナ(お茶係)といっている少女を囲んで円坐をつくる。クイアは銀のたがをはめた口のある瓢箪だったり、百姓が彫った瘤牛の角を使ったりしている。容器には3分の2のところまでお茶の粉が入っていて、女の子がそこへお湯を徐々にさしてゆく。それがかき混ざってどろどろになると、穴のあいた球が先についた銀の管で慎重に隙間をあけ、その一番底の汁が集まってくる小さいくぼみの中へ吸引管を入れる。銀の管の方はそのどろどろの壁を水気もちょうどよくて崩れないようにしておかなけれなならない。こうしてシマランの用意ができると、汁がたまるのを待って、まずその家の主人に出す。主人が2、3度吸うと、底を開けて、また同じ操作がそこにいる全部の人に対して繰り返される。順序は男が先で、女が後廻しだが、それは必要に応じて変えることができる。そして湯沸かしが空になるまで、何度でも廻されるのだ。

 最初の幾服かのマテには言うに言われない風味がある。少なくともそれは慣れた者の話で、初めての者は火傷する。熱湯に浸した銀と沸とうして泡状になった熱湯とが一つになって、ねばった感じがするからだ。そして、その2、3滴の中に大森林全体の感じが煮詰められているように、香気があってほろ苦い。マテはコーヒーや茶やチョコレートと同じようなアルカロイドを含んでいるが、鎮静力と共に強壮力があるのを見ても、その含有量が(その媒介物のほろ苦い理由も)わかる。マテは数回廻すと、気が抜けたようになるが、それでも吸引管で気をつけて探すと、思いがけないほろ苦さを感じるような、まだ手をつけていない隠れた場所が見つかり、それにはまた一段と味わいがある。

 これが本当のマテ茶であり、その飲み方なのだ。ペットボトルのマテ茶なんて、ノンアルコールビールにも劣るのではないか。ちょっと違うかもしれないが。

 偉そうなことを言っているが、私も本物の本場のマテ茶は飲んだことがない。ただ乾燥した葉の状態で売られているマテ茶はけっこう好きで飲んできた。これには2種類あって、緑茶状のものと紅茶状のものがある。後者はやはり発酵させているのだろうか。それは飲みやすいが、癖のある緑茶状のマテ茶も悪くないのだ。まあ、「すっかり変質してしまっていて、原産地のお茶とは似ても似つかないしろもの」ではあるのだろうが。


マテ茶と交差いとこ婚(2007年8月13日)


悲しき南回帰線(上) (講談社学術文庫)

悲しき南回帰線(上) (講談社学術文庫)

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

2012-04-13

[]糞は食えるか?



 若い頃、もう30年以上前になるが、横浜で屋台をしていた。夜、屋台でラーメンを作って売っていたのだ。これはテキ屋の仕事で、大元に組長がいた。その下に代貸しがいて、代貸しが屋台の組織を仕切っていた。その下にわれわれがオヤジと呼んでいた直接の責任者がいた。代貸しとオヤジとの金銭的な関係は知らなかった。

 屋台は代貸しの所有になっていたと思う。毎日オヤジがわれわれ若い衆のところにラーメンの素材を持ってきた。麺、鶏や豚の骨(トリガラ、トンガラ)、豚の腹脂や牛の背脂、特製のタレ、チャーシュー、メンマ、ネギ、ニンニク、ショウガ、卵、割り箸、化学調味料などだった。鶏ガラや豚ガラを煮込んでスープを作るのはわれわれだった。

 あるとき材料の中に豚足が入っていた。スープをとるためだ。豚足の扱いが分からないので、そのままスープに入れて煮込んだ。どんな味がしたかもう憶えていない。

 後日、豚足を使うときは脚の毛を火で焼き、爪の間の糞をきれいに洗ってからスープに入れるのだと誰かに言われた。知らなかった。焼きもせず、洗いもしないで、そのまま釜に入れて煮込んでいた。まあ、私も同じ釜のスープで作ったラーメンを一晩に2杯ずつ食べていたし、完全に煮沸消毒していたので許してもらおう。30年以上前になるし。

 そんな話を若い女性に話すと、まあ! ウンチって食べられるんですか? と驚かれた。いえ、ウンチは食べられませんと答えたが、後日食べられることを思い出した。やはり中国の話だ。茶に関する本を読んでいたら、中国では虫の糞をお茶にして飲むと書かれていた。茶の葉だけを食べる虫がいて、その虫の糞を集めて乾燥させ、茶葉と同じように湯を注いで飲むのだという。それを読んだあと、知人がこんなお茶があるんだと少し分けてくれたのが、正に虫の糞のお茶だった。早速飲んでみたが、もらった糞茶の量が少なかったのか、特に印象に残る味ではなかった。

 だから、糞を食べることはできるのだ。残念ながら、糞茶の名前もそのことを紹介した茶の本の題名も忘れてしまった。誰か知っていたら教えてほしい。