Plain Facts/ファクトシート(factsheet)のeasy-read版

先日書いた plain text の続きである。

plain text について(misc., 2008-02-16)


で、
いわゆるfact sheetとは、研究結果や諸データ、あるいは事業概要について要約し広く提供するための文書を指すが、これを知的障害のある人にもわかりやすく編集した文書ならびに音声テープが作成されている。
その格好の例が、Norah Fry Research Centre の発行する Plain Facts である。

彼らの Plain Facts はホームページから閲覧できるとともに、音声でも聞くことができるようになっているようだ。(ただしどうもリンクが上手くいっていない部分もあるので注意)


http://www.bris.ac.uk/Depts/NorahFry/PlainFacts/


講読希望者には発送しているようだ。また音声テープ版も作られており、ウェブサイトでも聞くことができる(一部リンク切れのような)。

中を見ると、plainな言葉と関連したイラストで、簡潔にメッセージや情報が示されていることが分かる。


参考までに最近の発行記事を挙げると、次のようになっている。

  • Issue 51 Leaving a special residential school or college
  • Issue 50 Support for living
  • Issue 49 Helping parents with learning difficulties to speak up
  • Issue 48 Information young people need as they grow up
  • Issue 47 Being good parents
  • Issue 46 Feeling stressed
  • Issue 45 People with learning difficulties getting jobs
  • Issue 44 Employing people with learning difficulties
  • Issue 43 Giving people with learning difficulties power through research

47号と49号が、parentingに関することだと分かる。他に、11号と38号がやはりparentingのテーマである。関心のある方は確認されたい。


以上のようなことについて、plain textとは何か、現状ではどのくらい検討されているのかなどを以前に書き記している。こちらを参照。ダウンロード可能。

名川勝・渡辺勧持・薬師寺明子・杉田穏子・花崎三千子・堀江まゆみ・鈴木義弘・鈴木伸佳・岩本真紀子:「わかりやすい表現」(plain text)活動・研究の現状と方向性.独立行政法人福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)助成平成17年度「グループホーム支援方策推進事業」報告書, 97-107,2006.(pdf書類、約1.2MB)

easy-read版で仕事が出来るようになればよいのだが

このところ、plain text や Plain Facts について少し書いてきた。


plain text について(misc., 2008-02-16)
Plain Facts/ファクトシート(factsheet)のeasy-read版(misc., 2008-02-18)


他国だと知的障害者の情報アクセシビリティを高めるというのは結果のひとつであって、言語的なマイノリティの権利を保障する観点からも easy-read版の発行が進んでいる国はある。
日本はというと、残念ながら言語的・民族的なマイノリティが認識されにくい国である。知的障害者も大して理解されていないからどっちもどっちなのかもしれない。いずれにしても、情報アクセシビリティという観点が視覚・聴覚的な保障以外にも展開されていくことを望みたい。


easy-read版で仕事が出来るようになればよい、と思う。
行政が刊行物を出すときに、並行して点字版の発行も予算化される場合がある。これと同じように easy-read版も予算化する。

作業は作業所でもNPO法人でも、地域の団体に出す。easy-read版原稿を書く人と、それをチェックする知的障害の人が居て、仕事を請負い、納品する。あまり予算的には大きくならないはずだ。実際、某市に持ちかけた際に計算してみたことがある。
しかし請け負う作業所などにとっては、行政からお金を受けることができるので、例えばこれを年間に一定数請け負うことができれば、それなりに活動していけるかもしれない。

既に例えば自立支援法に関するパンフレットの easy-read版などで実績があり理解もある厚労省が始めても良いが、都道府県や市町村だってできることだ。それで多くの発注が発生するのではないか。


こんな仕事を展開しているのが、例えば英国の CHANGE という団体だったりする。彼らは自分たちで easy-read版に使うイラストも作成しており(下記の Words to Pictures プロジェクト参照)、これを適用して政府の発注に応える。そのようにして、私がこれまでに紹介した多くの版を作成している。


CHANGE
Words to Pictures(CHANGE)


このようなことを先日、千葉の仲間に話したところ、出来なくもないかなとの答えが返ってきた。その後私が忙しくしていたので上手く回っていないが、面白そうだから一緒にやろうと言ってくれる人がもっと多くなれば嬉しいのだがと思っている。

もう少しエネルギーがあったら、次年度の民間事業助成に出せるようにしても良いかもしれない。出来れば厚労省都道府県ででも採用してくれないものだろうか。


こういうのって、言った人間が歯車を回さなければどうにも動かない場合がある。このネタもそうだろうか。だったらなんとかしたいとも思う。


関連ページを再掲しておく。
知的障害者にもわかりやすい成果報告のプロジェクト(mnagawa's site)