Hatena::ブログ(Diary)

mnishikawaの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-10-25

[]洗脳

洗脳 ~スピリチュアルの妄言と精神防衛テクニック~

洗脳 ~スピリチュアルの妄言と精神防衛テクニック~

タイトルの通り「洗脳」のメカニズムを軸に話が展開する。

仮想的なカルト団体(スピリチュアル系)を仮定して、いかに信者を集め、洗脳し、そしていかにお金に結びつけるかを、わかりやすくそして具体的に説明している。これがほんとバカなぐらい簡単そうに書かれているのだが、今も信じられないようなカルトに人々が引き込まれていて、忘れた頃にいろんな事件を起こしてる現実を見れば、こうしたテクニックの恐ろしさを感じずにはいられない。

言葉や見せ方は代わっているものの、テレビで「スピリチュアル」みたいな胡散臭いのが平気で放送されている現実をみると、こうしたテーマを考えさせられる。

なぜ、「霊」のような想像の産物に何かを求めるのか。

たとえば日本であれば、文化的に神学まじりの仏教で倫理観が形成されていたり、庶民宗教が広く人々のよりどころになっていたりと、根拠無く前世とかを受け入れてしまうのだろう。

霊は、文化的な幻覚です。  (p24)

教育とか文化的な土壌が「霊」のような幻覚を生み出してしまう。

その人自身がその人の中の世界で勝手に納得してしまうので非常にたちが悪い。

そして、霊みたいなものに寄り縋り、カルトにはまることで、人に「考える」ことをやめさせてしまうので、ある意味「楽」なのではないだろうか。自分で決めなくても良いのだから。

洗脳されていない状態というのは、完全に自由です。よりどころは自分です。自分で決め、自分で考え、自分で判断する。全てを疑うということではありません。疑うということは、その前提知識が必要となりますから、それ自体が洗脳されている可能性があります。洗脳されていない状態は、それすらからも解放されています。 (p214)

こんな良くまとまった文もあり、わかりやすくて面白かったのだが、

実はこの本自体がかなり胡散臭い。

所々、不可解な論理展開も散見される。

メタ・カルトというべきか、下手に読むと新しいカルト思想に導かれるんじゃないかという危険性すら感じる。

そうした点も含め、こうした本は客観視して読むと面白いのだろう。

2010-10-17

[]ノルウェイの森

Kindle3を買ったので、PDF化しやすそうな文庫本から読んでみようと思い、この本を選びました。最近でも映画化とかで話題になってたのもあるし、まだ手を出してなかった「1Q84」を読む前に、ゆっくり読んでおきたいと思ったからです。

ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)

ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)


「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」

(下巻p.226)

思ったより身近にある「死」について考えさせられる。生きる動機は驚くほど不安定なものの上に成り立っていることを改めて思い知らされる。


私たちは(私たちというのは正常な人と正常ならざる人をひっくるめた総称です)不完全な世界に住んでいる不完全な人間なのです。定規で長さを測ったり分度器で角度を測ったりして銀行預金みたいにコチコチと生きているわけではないのです。

(下巻p.219)

生きる動機もまた不安定なものなのだが、作品中露骨に描かれた「性」への向き合い方がそれを焙り出しているのだろうか。

自分とはまったく違うの世界の話、他人の話を読んでいるはずなのに、妙なリアリティを感じさせる。

終わりのページなんかゾクッとした。

ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫)

ノルウェイの森〈下〉 (講談社文庫)


[] Kindle買った。

9月末に買ったKindle3で「ノルウェイの森」の文庫版上下巻を読んでみた。

Kindle3は思ってたよりずっとすばらしい。

今回2冊分読みましたが、電子ペーパーが読みやすいのはもちろん、端末は軽いしページめくりなどの操作も軽快。

集中して読めるし、実際、一冊を読む時間が早いです。

僕の場合、読むだけなら本より早いと感じました。

難点を挙げると、僕の場合、もう一度読み返したいと思うことがよくあるのですが、「このへんに書いてあった」とかでなかなか戻れないところぐらいでしょうか。

全体的には楽しく読書できるので、とても気に入りました。

最近買った本は全部キンコーズで裁断してきて、FUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500PDFにしました。

これからKindleで読書を楽しみたいと思います!

2010-09-26

[]ヒトラーの経済政策

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

当時のドイツは世界恐慌にさらされ、ハイパーインフレ状態に陥っていた。さらに第一次大戦後の巨額の賠償が重くのしかかり、それまで築いた財産は否定され、普通の経済活動さえままならない。ドイツ国民は出口の見えない経済状況だった。この破滅的な状況に国民に求められて現れた指導者がヒトラーである。

ヒトラーというと歴史的にも悪い意味で名前を残している代表格と言える。ユダヤ人に対する迫害、第二次世界大戦に導いた独裁者というイメージを持っている人がほとんどだろう。

しかし、ヒトラーは当時の国民からの圧倒的な支持を集めてドイツを率い、奇跡的とも言える復活を果たした指導者でもある。破滅的な経済状況にあった国を一時的にでも好景気といえる状況に復活させた手腕に関しては、分析の価値があるだろう。

ヒトラーの経済政策は決して圧力的な指導ではなく、国民の将来に対する不安を取り除き、消費を促進させるという、ごく当たり前な手法。実際に、当時のドイツの国民はドイツが戦線拡大をしてしまうまでは非常に良い時代だったと思っているそうだ。

必要なときに必要な財政出動をする。最適なタイミングで、最も合理的な方法でそれを行う。現在の日本ではそれが全く出来ていない。日本も経済的には当時のドイツに近い危機が訪れる可能性は十分にある。少なくとも今のままだと確実に破綻する。ナチスを習うわけには行かないが、決断力、合理性、効率性といった部分では、学ぶべき部分は多いはずだ。

新書向けなのか、局所的な経済的効果を必要以上に持ち上げているような印象を受けてしまうのに残念な気がしたが、本書が扱っているのは、私を含めた世間ではヒトラー(ナチス)の功罪のうち罪の部分に目が行ってしまって見えてなかった部分なのかもしれない。一歩引いて考える分には読みやすいし興味深い内容だったと思う。

2010-09-09

[]知的生産ワークアウト

著者の奥野宣之さんから献本いただきました。

読んでてふと気づいたのですが、「仕事術」的な本はしばらく手にとってなかったと思います。

メモの使い方とか文具の使い方とかすぐに試せて楽しいし、何より読みやすいものが多い。仕事帰り(疲れているとき)に電車で読むのとかは結構好きだったりします。

ただ、最近は世間でもそうした部類の本が売れてしまうのか、方法論だけに走ってしまって、目的意識の低い本が量産されてしまったように感じます。それほど意識したわけではなかったのですが、私自身、自然と読むのを避けるようになっていたように思います。

そんな中、今回いただいた「知的生産ワークアウト」は、普通のサラリーマンからベストセラー作家になった筆者が、どのようにして知的生産性という牙を磨いたのか、自分を分析することでまとめられた本であり、ある意味正直な本。

手段が目的に置き換わってしまっているような、仕事術本とは違う印象を受けました。

紹介されている考え方、コツは身の回りのほんの小さなことですが、方向性ははっきりしています。

p10でまとめられている、ワークアウトのカテゴライズに注目。

・発想からアウトプットを作る

 集めた情報から、自分だけの考えや発想を深めて、人に伝わる形にする

・生きた時間をつくる

 モチベーションを上げたり、知的生産の作業に集中して確実に能力を

 発揮するための自己コントロール

・創造的な環境をつくる

 情報やモノの整理、ワークスペースの環境づくりなどを通じて、

 知的生産を助ける「場」をつくる

そして、それを実践するための取り組み事例も、日頃から心がけたいと考えてることに一致するので、自分のやりかたを見直す良いきっかけになりました。

仕事のムダが多そうに思う人や、アイデアに行き詰ってる人は是非読んでみてください。ヒントが満載です。

2010-09-04

[]「Android Hacks」(O'Reilly)発売。

Android Hacks ―プロが教えるテクニック & ツール

Android Hacks ―プロが教えるテクニック & ツール

「6章 デバッグHacks」

のところをちょっとだけ書きました。

執筆に加担したのを機に、Android勉強します!

2010-08-16

[]罪と罰

2008年から2009年にかけて出版された、亀山郁夫氏による『罪と罰』の新訳。

全3巻を少しずつ読み進めていた。

歴史的な文学作品について語る必要など無いだろう。

しかし、”読書とは、その時、自分の中に内在する知識や思いを投影する手段”とあるように、読書は読み手、読む時期、社会的状況など、様々な写像を映し出す手段であり、またブログなどでアウトプットしたところで、その読み手の印象もずれる。

この作品はおそらく、読み手の写像が如実に現れる。

ラスコーリニコフの思考過程など今読んでもやけにリアルに感じるし、スヴィドリガイロフの暗示的な役回りなど斬新にさえ思える。人間性回帰への道筋を示した倫理観への訴えは数世紀の時間も関係の無い根源的なものであるのだと思う。

実はこの作品、先に出版された同氏の新訳『カラマーゾフの兄弟』が読みやすいと何かで見て知ったのですが、調べてみるとやけに熱心な批判も転がっていた。

あらゆる翻訳書籍に共通して言えるとは思うのだが、原文の解釈の違いや誤り、原文とは違う言語での表現含め、非常に扱いは難しい。

これが重厚かつ精巧で、登場人物の台詞や行動一つ一つが重要な心理描写にもなるのだろうドストエフスキーの作品では看過できないことが多いはずだ。

各巻の巻末には、時代背景や訳の際の考察など、筆者(亀山郁夫氏)の丁寧な解説が読めて面白かった。その後Web上で拾い読みした批判文書も読み応えがあった。

一つの作品から、これだけ思考をめぐらせることができるのは、本を読んだ人の特権だろう。

2010-07-25

[]知識経営のすすめ

AgileJapan2010で野中先生の講演を聞いてから随分時間が経ってしまった。

今でもプロジェクトを進める際、自分の仕事をふりかえるシーンで、あの1時間ちょっとの時間に聴いたメッセージが何度も回顧される。

自分の考えも交え、整理しておきたいのだが、まとめて時間を取って一度にまとめるような類のものでもないのだろう。機会があれば何度も立ち返り、考えてみたい。本を読んだり、ふりかえりしたり、考える機会にできるだけ書き残しておくことにする。

この本は、野中先生の講演を聴く前に、「知識経営」という言葉を復習するために読んだものです。

「知識経営とは」

それは知識にもとづく経営、つまり戦略・組織・事業など、経営のあらゆる側面を知識という目でとらえ実践する考え方です。

(p45)

ビジネスの対象は、「モノ」から無形資産である「知識」にシフトしている。これを体系的に考え、実践に移すための考え方がまとめられています。

実際の企業での知識経営の導入事例など、具体的な話を挙げながら、その波及効果を考察していき、さらには今後の経営のありかた、ビジョンを示している。新書200ページちょっとに、ぎゅっとそのエッセンスを詰め込んでいます。知識経営の詳細な解説というよりも、基本的な考え方と効果を端的に見るための導入書に最適です。

短いページにまとめている為か、言葉の濃度が凄い。

読みながら大量のメモがたまってしまった。


以下、個人的なメモ書きを保存のために書いておく。

全社的共通指標を強引に当てはめないこと。

IBMのプルーサック曰く、知識は「現場的で、粘々していて、状況次第」だ。

(p152)

知識のあり方、前提を端的に表している。

何でも文書化や形式化できると誤解しないようにしたい。

こうした知識のダイナミクスは、単なる形式地の共有や情報検索の仕組みといったものからは生まれません。暗黙知も含めた組織的な意識付け、組織のデザイン、すなわち「場づくり」によるところが大きいとおもわれます。

(p155)

無形のものに名前を与え、共有、資産化するアプローチ。

プロジェクトファシリテーションを通して「場づくり」の重要性をメンバーで認識していきたい。ここでも、その有効なヒントが示されている。


そして、その「場」とは。

共有された文脈ーーーあるいは知識創造や活用、知識資産記憶の基盤(プラットフォーム)になるような物理的・仮想的・心的な場所を母体とする関係性

(p161)

ここで言う「文脈」とは、英語でコンテキストにあたるもので、その場にいないとわからないような脈絡、状況、場面の次第、筋道などを示している。これが、組織・集団(仮想的なものも含めて)で形成される。

この「場」をいかに仕掛けるかが、経営の鍵になってくる。


本書を読んで感じたこと。それぞれ考えてみたい。

  • 無形の知識こそが価値の源泉。Googleをはじめとする企業が体現している。
  • 知識をどうビジネス、すなわち「お金」に結びつけるのか
  • ベストプラクティスの共有といった、形式知に偏った「狭義のナレッジマネジメント」にとどまらず、暗黙知を育て、新たな価値を想像することが必要。
  • イントラネットやデータベースといったインフラを整えるだけの狭義のナレッジマネジメントは身の回りでも横行しているように思う。

知識経営で重要なのは「仕掛け」である。仕掛けには、ファシリテーター、CKO(Chief knowledge officer)、そしてリーダーシップが機能する。

  • アジリティを高める。顧客価値を高めるために、変化を受け入れ、イノベーションを創出する。「仕掛け」づくりが経営の鍵になる。

知識経営とは?SECIプロセスって何?という方のための導入として、

また、知識創造企業のまとめ・復習として、いろんな場面で活用できそうな一冊です。