『ヴァラエティ』を読んだ

過去に書籍化されなかった短編、ショートショート、対談を集めたまさにヴァラエティな本。
「おれは社長だ!」「毎度おおきに」は脱サラ社長の小さな会社と家族、同僚の面白おかしい話で、「続きが読みたい!これもっと続けて一つの作品にして!」と思った。この2話で追えてしまうのはもったいない。
作者が自画自賛しているだけあって、「夏のアルバム」もまた非常に良かった。同時代ではないけれど同じように自然と友人、親戚の中で遊んできたガキの頃があるので、甘酸っぱさとなんとも言えない季節の暑さ、そして切なさを感じた。最後の場面は静かなんだけど全員の感情が一つに集約していてグッときた。


空中ブランコ」や「最悪」など読む人を夢中にさせる代表作はいろいろあるけれど、この一冊が奥田英朗作品の入り口でもきっとみんなハマるだろうなと思った。あ、今年発売の「向田理髪店」も最高です。


ヴァラエティ

ヴァラエティ