『マスカレード・ナイト』を読んだ

刑事の新田とホテル従業員山岸が活躍するマスカレードシリーズ最新作。舞台はホテルというのが個人的には非常に魅力的。

あらゆる可能性を否定せず些細な疑念も解決に向けて繋げていく新田と、お客様からのどんな無理難題でも断らず対応する山岸の姿が今作もいきいきと書かれていて、テンポよく読むことができる。

ただ、それも途中までで、終盤は失速した感じがありやや残念だった。原因は謎が複雑すぎるのと話の畳み方が急速すぎるからだと感じた。
謎のほうは最後まで読めば確かに納得できるけど、それも結論を知っているから。逆から辿っていくと確かにそうなるけど、普通に読み進めていくとかなり困難。謎を複雑にするために関係者の動機を作ったのではないかと思うくらい。特に犯人の動機はまず推測できない。
話の畳み方のほうも急に関係者の語りになり、捜査本部やホテル関係者の会話で進んでいっていた構成からガラリと変わり、急に本をパタンと閉じられた感じがした。終盤までの構成で進んでいってほしかったなあと思った。

それでも最後の締め方は非常にうまく、新田と山岸のこの先も見られそうな終わり方だった。なんだかんだで続編出たらきっと買っちゃう。

マスカレード・ナイト