『中野ブロードウェイ脱出ゲーム』を読んだ

行ったことのない私でも何となく知っている、ニッポン文化のごった煮である中野ブロードウェイ。そこで地震なのか破壊行為なのか、突如建物に異変が起こる。何が起きたのかわからないまま危険から逃れるため脱出する二人。
渡辺浩弐作品なので現代科学や未来に生まれるであろう技術を巧みに取り入れたSF話だろうと最初は思っていたが、建物自体が生き物のように動いてどんどん住人が残虐な最期を迎えていく展開に、「あれ、今回は思いっきりホラーでいくのかな?」と思いながら読んでいた。


そのようなホラー展開で進んでいったが、半分ほど読むといつもの渡辺浩弐作品になる。なぜ中野ブロードウェイにこのようなことが起きたのかというのが時代を遥かに遡り壮大な話で説明される。その説明も突拍子もないことではなく、本当にそんな計画があってもおかしくないだろうなと思わせるものなので、ここから一気にのめり込める。そしてどんでん返しの最後まで一気にジェットコースター展開を楽しめる。
タイトルが「中野ブロードウェイ脱出ゲーム」という、テーマパークのアトラクションでありそうな軽い感じだけど、これ、全然そんなもんじゃないぞ。過去から未来まで壮大すぎる。


全部で680ページ以上の長い長い話だが、後半になるにつれ渡辺浩弐要素が思いっきり出てきて面白くなる。それだけに前半部分がもう少しぎゅっと濃縮できなかったのかなあと思っちゃう。最初だけ読んで脱落する人がいませんように。最後まで読んでみんなで脱出しよう。