マジェスティック


マジェスティックとは、映画の中では映画館の名前で「威風堂々」と訳されていた。舞台は1950年頃のハリウッド。ある脚本家が、「赤狩り」で共産党員であることを疑われる。ある晩、彼は泥酔し車ごと橋から落ち、海岸で見つけられ、その街にいたルークという戦死した青年に間違われ、町中の歓待を受ける。本人は記憶喪失状態にあり、息子と信じる父といっしょに、それまで閉館していた『マジェスティック』という映画館を再生し、街の人々も元彼女も彼を英雄のように扱ってくれる。まずは、そこまでの展開が実に面白いのだが、ある日上映している映画を見ていた彼は、その映画が自分の脚本であることを思い出し、そして自分の過去もよみがえる。彼はFBIにつかまり、法廷に立つ。彼は弁護士の指示通り用意された文書(知りもしない共産党員の名簿)を読み上げれば、釈放されていたはずだったのだが、元かの(結局は赤の他人だったのだが)からの真実を語らなければいけないという言葉に、投獄を覚悟の上で自分の思いを語る。(この場面が素晴らしい)そして、彼はまたその街に英雄としてもどるという。まあ現実には、そんなのありえんか?とも思ったが、このお話を信じたい。
 なにしろ廃館になった映画館を再生するという過程が面白いし、記憶をとりもどそうと、彼女と思い出の場所に行ったり、ピアノをいきなり弾かされたら、クラシックピアノが上手なはずのルークが、ジャズを見事に弾きまくるシーンなど楽しい。そういえばこの映画全編ジャズ?音楽もよかったな。『ショーシャンクの空に』があんまりよかったので、監督名で見つけた映画。A
2001年 フランクダラボン監督